~当社従来比約25%の損失(オン抵抗)低減により、機器の省電力化、小型化に貢献~
December 20, 2011

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、自動車の室内灯スイッチ、およびエンジン制御用ソレノイドや各種センサの駆動用のパワー半導体「サーマルFET(過熱遮断機能内蔵型MOSFET(注1))」として、当社従来比約25%の低損失化(低オン抵抗化(注2))を実現した「RJF0604JPD」など5製品を本日よりサンプル出荷します。

 新製品の量産は2012年4月から開始し、2015年4月以降は合計で月産50万個を計画しております。また、サンプル価格はパッケージにより異なり、DPAK(当社外形コード:9.5mm×6.5mm)採用の「RJF0604JPD」、「RJF0605JPD」、「RJF0611JPD」が100円/個、LDPAK(当社外形コード:10.2mm×13mm)採用の「RJF0606JPE」、「RJF0611JPE」が200円/個となっております。

 「自動車の室内灯スイッチなど用電装機器に多く使用されるメカニカルリレーは、近年の高機能化・高信頼性化・小型化などの要求からパワーMOSFETなどの電子スイッチへと切り替えが進み、さらに異常検知時の自己保護機能を内蔵したスイッチに移行してきています。また環境負荷低減のため、低排出ガス化が求められるエンジンなどのパワートレインでは、環境への配慮から、低排出ガス化が求められるため、O2センサ(注3)やA/Fセンサ(注4)など各種センサが搭載されています。こうした、電子スイッチやセンサ駆動用に使用されるサーマルFETは、スイッチ用のパワーMOSFETを保護するために、規定外の温度を検知した時には回路を遮断して電流が流れないようにする過熱遮断機能をパワーMOSFETに内蔵した製品であり、負荷短絡等による異常発熱から自己を保護することが可能です。そして、当社従来品に比べオン抵抗を低減することにより機器の電力損失を低減すること、もしくは、同一オン抵抗であればチップ面積を削減できることからより小さなパッケージで提供することにより、機器の小型化に貢献することが望まれています。

 こうしたニーズに対応するため、今回、会社統合効果によりサーマルFETに最適なプロセスを選択、発展させた新型Nチャネル微細プロセスを採用し、当社従来比で約25%オン抵抗を削減可能なサーマルFETを製品化したものです。

新製品の主な特長は以下の通りです。

(1)当社従来比約25%のオン抵抗低減を実現

新型Nチャネル微細プロセスを採用し、パワーMOSFETのセル構造(注5)を最適化したことにより、当社従来プロセス比で約25%オン抵抗を低減しました。これにより、例えば60V耐圧、30Aの「RJF0606JPE」では、オン抵抗が25mΩ(VGS=4V時)までと低く、電力損失を抑えられるため、システムの高効率化による省電力化が図れます。また従来品と同程度のオン抵抗品はより小型のパッケージに搭載することができるため、セットの小型化に貢献します。

(2)乗用車やトラック等の幅広いバッテリ電圧に対応

新製品は、内蔵する過熱遮断機能における電流制限回路の電流制限値を最適化したことにより、24Vバッテリ使用時の負荷短絡においても製品が破壊しないよう保護し、システムの信頼性向上に貢献します。乗用車等の12Vバッテリに加え、トラック、商用車等の24V系バッテリ使用のアプリケーションにも対応可能です。

 加えて、新製品は、車載部品の品質規格AEC-Q101に準拠しています。

 今後本プロセスを活用し、SOP-8(当社外形コード)等の小型パッケージへの搭載や、2出力品、および、さらなる低オン抵抗品などのラインアップを順次展開していきます。

新製品の主な仕様は、別紙をご参照下さい。

以 上

(注1)MOSFET:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor(金属酸化膜半導体 電界効果トランジスタ)の略。

(注2)オン抵抗:パワー半導体素子がオン状態のときの抵抗成分。オン抵抗と電流の2乗の積が電力損失となるため、低いほうが好ましい。

(注3)O2センサ:排気ガス中の酸素濃度を検出するセンサ。理論空燃費に対し高/低で検出する。

(注4)A/Fセンサ:Air by Fuel ratio(空燃費)センサの略。空燃費をリニアに検出。

(注5)セル:パワーMOSFETの最小単位。MOSFETの出力はセルが並列接続され形成されている。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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