~2.2Vまでの動作下限電圧拡大に加え、低消費電力化も実現~
2013年4月22日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:鶴丸 哲哉、以下ルネサス)は、マイコンとアナログ半導体とを組み合わせたセンサ向けのシステムソリューションとして、回路構成や特性を変更可能な新タイプのア ナログ回路を搭載した製品群を「Smart Analog」として展開しています。

 2011年10月に発表した「Smart Analog IC」、11月に発表した「Smart Analog MCU」に引き続き、今回は低電圧・低消費電力版である「Smart Analog IC300シリーズ」を2品種製品化しました。

 新製品は4月にサンプル出荷を開始し、6月より量産予定です。サンプル価格は、回路構成可変型が520円/個、計装アンプ固定型が350円/個となっております。

 新製品の「Smart Analog IC300シリーズ」の主な特長は、センサが感知した微小なアナログ信号をマイコンで処理できるよう増幅するアナログフロントエンド回路を1チップ化したICです。従来の製品の動作保証範囲が3.0V≦VDD≦5.5Vに対して、2.2V≦VDD≦3.6Vと低電圧化すると共に、全てのアンプにレールtoレール入力機能を備えています。また、消費電力も最大62mWから22.4mWへと大幅に削減しています。白物家電、ヘルスケア機器、防犯装置などに加 え、バッテリー駆動のセンサ搭載機器への応用も容易になり、長時間稼動やバッテリーの小型化によるシステムコスト低減が可能になります。

Smart Analog ICの主な特長

(1)ダイナミックな回路構成や特性の変更が可能

動作中にも回路構成の変更や特性の設定を行なえるため、複数のセンサを本製品に接続し、センサに応じた回路構成や特性を動作中時分割で切り替えることができます。センサ入力端子も複数有しており、複数のセンサからの信号へもスムーズに対応でき、複数のアナログフロントエンド回路の機能を1チップで実現可能です。加えて、アナログ回路の間欠動作も可能であり、システム全体の低消費電力化も可能になります。

(2)様々なセンサとの接続が可能

アナログフロントエンド回路を1チップ化し、マイコン制御によりセンサの種類にあわせて回路構成と特性を変更できる機能を有しています。(注)反転アンプ、非反転アンプ、I/V変換、計装アンプを実現でき、それらのオフセット電圧も調整できます。このため、電圧、電流、差動出力といった異なるセンサ出力に対し本製品1つで対応可能になります。

(3)センサシステムの開発期間短縮に貢献

回路構成変更、特性設定用のGUI(Graphical UserInterface:情報がグラフィックスで表示され、直感的に操作することができる)ツールを準備しています。このため、ブレッドボードや基板上にアンプや可変抵抗やコンデンサ等を半田付けして回路調整を行うことなく、GUIツールからパラメーターを変更するだけでシステム開発を短期間に行うことが可能です。加速度,圧力,磁気,光,温度など、11群1000種を超えるセンサの事前評価が行えるWebシミュレータ(Renesas VA)も準備しています。

(4)センサシステムの小型化・低コスト化が可能

アナログフロ ントエンド回路を1チップ化していることで、オペアンプ(アナログ演算回路)などのディスクリート部品で構成した場合に比べ、当社比で部品点数を約90%、基板サイズを約75%それぞれ縮小することが可能です。また、多数のアンプや抵抗、コンデンサの在庫管理を行うことなく、一種類の「Smart Analog IC」を用いるだけで様々な製品の展開が可能になります。

(5)マイコンと協調した自動キャリブレーション

センサ搭載製品を製造する際、センサ特性のばらつき吸収を目的としたトリミングやキャリブレーションを手作業で行なうのが一般的ですが、「Smart AnalogIC」はマイコンによって様々な状況に応じたアナログ回路の構成変更や特性設定を行なえるため、製造段階でのトリミングやキャリブレーションの自動化が可能となります。これにより、製造コストの低減が図れると同時に出荷後のセンサの経時変化に対する補正による長寿命化も可能となり、センサ搭載製品の校正やメンテナンス費用トータルの低減が可能になります。

背景

 近年、使い勝手の向上やエコシステムの拡大、ヘルスケアの浸透、セキュリティの強化などから、民生、産業、医療を始めとした各種機器でセンサ搭載が進んでいます。

 しかしセンサには様々な種類があり、センサに応じて異なる回路構成、特性設定を行うことが必要となることからアナログ設計にはノウハウを要し、アナログ回路の設計期間をなかなか短縮できないをという課題がありました。

 こうした課題へ対応するため、当社ではマイコンから回路の構成や特性を柔軟に且つ容易に変更できるアナログ回路「Smart Analog IC500シリーズ」と、アナログ回路とマイコンを1パッケージ化した「Smart AnalogMCU500シリーズ」を製品化しています。

 今回の製品「Smart Analog IC300シリーズ」は、従来の製品の動作保証範囲が3.0V≦VDD≦5.5Vに対して2.2V≦VDD≦3.6Vと低電圧化しており、消費電力も最大62mWから22.4mWへと大幅に削減しています。白物家電、ヘルスケア機器、防犯装置などに加え、バッテリー駆動のセンサ搭載機器への応用も容易にな り、長時間稼動やバッテリーの小型化によるシステムコスト低減が可能になります。

 「Smart Analog IC300シリーズ」センサアプリケーション対応版では、回路構成を変更できる製品のほか,計装アンプに固定した製品を揃えており、システムにより最適な製品を選択可能です。

i)回路構成可変型

 回路構成と特性を変更できるセンサ信号増幅回路(計装アンプ、差動アンプ、反転アンプ、非反転アンプ、I/V変換アンプなどの回路構成に変更可能。ゲイン、オフセット変更可能)に加え、ノイズを除去するフィルタ回路を内蔵。

ii)回路構成固定型

 微弱な信号の増幅に適した計装アンプ方式の回路構成で、ゲイン特性変更のみ可能。

 「Smart Analog IC」を制御するマイコンを含めたソフトウェア開発環境としては、ルネサス新統合開発環境「CubeSuite+」とオンチップデバックエミュレータ「E1」を揃えており、GUIツールと合わせ容易にシステム制御等のプログラムを開発できます。

 「SmartAnalog IC」は今後、さらに対応できるセンサ種類の拡充を行うと共に、低電圧、低消費、高機能、高耐圧化や、当社マイコンとの一体化を含めた製品の開発を進め、よりユーザのニーズに合った製品をタイムリーに展開してまいります。

なお、当社は本年5月8日から5月10日まで、東京ビッグサイトで開催される「ESEC 2013/組込みシステム開発技術展」にて新製品の評価ボードと開発環境を展示いたします。

新製品の仕様は、別紙をご参照ください。

Smart Analog ICの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/smart-analog.htmlをご覧ください。

以 上

(注) マイコン制御によりセンサの種類にあわせて回路構成と特性を変更:「Smart AnalogIC」内に搭載されるレジスタをマイコンがソフトウェア(プログラム)により命令を与え設定。

* 本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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