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待機時の消費電力を約90%削減した「RX600シリーズ」の発売

~民生・OA向け「RX630」、ネットワーク機器・産業機器向け「RX63N/631」として18品種376型名を投入~

October 12, 2010

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、待機時の消費電力を約90%削減できる32ビットマイコン「RX600シリーズ」の新製品として、民生、OA、産業機器等向けの「RX630グループ」、ネットワーク機器・産業機器向けの「RX63N/RX631グループ」、合計18品種376型名を2011年1月より順次サンプル出荷を開始します。

 新製品は、(1)従来製品から消費電力を約90%削減した「RTC(Real Time Clock:時計)」を搭載し、かつ電源オフでCPUが動作していない間のシステムの状態変化を3端子が独立に検知してタイムスタンプ(日時記録)を押す機能を追加しました。また、(2)通信・周辺機能強化による使い勝手向上として従来品に対し「RX630グループ」ではUSBファンクションを標準搭載しました。さらに、「RX63N/631グループ」ではUSBホスト、USB OTG、Ether、CAN(注1)の機能追加やチャネル数(本数)増加を要求に応じピン上位互換でサポートします。加えて、(3)内蔵メモリ、パッケージ等の組み合わせで合計376型名におよぶ豊富なラインアップにより、各種機器への対応や、同一モデルでの上位から下位機種までの対応が可能となります。新製品のサンプル価格としては、1Mバイト・フラッシュメモリ、96Kバイト・RAM内蔵の144ピンLQFPパッケージ品を千個注文した際の単価が、「RX630グループ」は840円となっています。量産は2011年6月より順次開始し、2012年10月以降は「RX63N/RX631/RX630グループ」の合計で月産100万個を計画しております。

 近年、POS周辺機器、FA等のネットワーク端末においては、機器間やシステム間ネットワークの高速化、低消費電力化が求められており、民生・OA・産業機器等の組み込み機器でもシステムの高機能化や大規模化、省電力化が進んでいます。このためマイコンには高速・高性能化、内蔵メモリの大容量化、および低消費電力化が要求されています。

 こうした市場ニーズに対応するため、当社では昨年、高速100MHz動作で165DMIPS(Dhrystone(注2)MIPS[Million Instructions Per Second]:ドライストーンミップス)の高性能を実現した「RX62N/RX621グループ」、「RX610グループ」を製品化しています。しかし、更なる低消費電流化、および、各種応用システムへの幅広い対応、同一モデルでの上位機種から下位機種までのプラットフォーム化に対応するため、豊富な周辺機能内蔵や、幅広いメモリ展開、様々なパッケージ対応を行った3グループ「RX63N/631/630グループ」を新たに製品化しました。

 新製品の主な特長は以下の通りです。

(1)2V動作のRTCで低消費電力を実現

マイコン用の時計であるRTCに専用電源(Vbatt)を採用し、2V動作を可能としました。これにより、共通電源を使用していた従来製品「RX62N/RX621グループ」での3V動作時に比べ待機時の消費電力を約90%削減可能です。さらに3端子が独立に状態変化(HighからLowないし、LowからHigh)を検知してタイムスタンプを押します。これにより、ホームセキュリティやPOS周辺機器など電源オフでCPUが動作していない間、システムの開閉や第三者の侵入などの年月日と時刻をタイムスタンプで記録することができます。

(2)通信機能や周辺機能強化により使い勝手向上やシステムコスト低減に貢献

①「RX630グループ」は、通信機能としてUSB 2.0ファンクション(フルスピード)を標準搭載しました。周辺機能では、使い勝手向上からa)シリアル通信(同期、非同期)のチャネル数(本数)を従来の6から13チャネル、b)16ビットタイマを従来の12チャネルから最大22チャネル、c) A/Dコンバータは、従来の16チャネルから増強し、最大29チャネル(12ビットA/D:21チャネル、10ビットA/D:8チャネル)搭載しており、パッケージ別に最適なチャネル数をピン互換で選択できます。

②「RX63N/RX631グループ」は、「RX630グループ」との上位ピン互換性を維持しつつ、EthernetコントローラとUSB 2.0ホスト/ファンクション/OTG(フルスピード)2ユニットなどの通信機能をユーザの用途に応じて自由に追加できるようにしました。さらに、産業機器等で要求される様々な外部デバイスとの接続、システム内での基板間通信に対応するため、従来の「RX62N/RX621グループ」と比較し、I2Cバスインタフェースを2から4チャネルに、CANインタフェースを1から最大2チャネルに拡張しました。また、「RX63N/RX631グループ」は外部バスを内部バスと独立でデータ転送できるEXDMACを搭載しています。これにより、セキュリティパネルなどQVGAやVGAクラスのTFTパネルの表示を専用のLCDコントローラがなくても、簡単に画面表示できるようになりました。また、3つの電圧検知が可能なローボルテージディテクタ回路(LVD)やオンチップオシレータを搭載するなどの、周辺機能の追加や使い勝手向上を図っています。

 これらの通信、周辺機能追加により、従来品でチャネル数不足により外付けで対応していた部品を削除でき、システムの小型化やコスト削減が図れます。

(3)メモリ、パッケージ等の豊富なラインアップで幅広い用途に対応

①「RX630グループ」は、256Kバイトから大容量の2Mバイトのフラッシュメモリ、64ピンから177ピンのパッケージラインナップを揃えました。

②「RX63N/RX631グループ」は、「RX62N/RX621グループ」の512Kバイトから1Mバイトへフラッシュメモリを拡張し、また、より小型な177ピン(7mm×7mm)のパッケージを揃えました。

③パッケージタイプは、本3グループ共通してLQFPやLGA、BGA等の小型パッケージに対応しています。

 これらにより、3グループ18品種376型名をラインアップし、様々な組み込み機器により適した製品を提供可能です。

 このほか本3グループでは、データ格納用に10万回の書き換え可能な32KバイトのE2データフラッシュを初搭載しています(従来のデータフラッシュは1万回書き換え)。また、開発環境としては、RX600シリーズの既存製品と同様に安価でフラッシュライタとしても使用可能な「E1エミュレータ」と、トレース、RAMモニタ等の高機能な「E20エミュレータ」を準備しています。また144ピン未満のパッケージ製品の全機能ピンを効率よくデバッグするためのデバッグMCUボードも準備しています。

 なお、「RX600シリーズ」は従来の「RX610グループ」、「RX62N/RX621グループ」に今回の「RX63N/RX631/RX630グループ」を加え、合計500型名を超えるラインアップを実現しました。充実した製品群のもと、「RX63N/RX631/RX630グループ」を「RX600シリーズ」の中核として日本、北米、欧州およびアジアに対し、積極的な販売活動を進めていきます。

新製品の仕様は別紙をご参照下さい。

以 上

(注1) CAN:Controller Area Networkの略で、独Robert Bosch GmbHが提唱している車載用のネットワーク仕様です。

(注2) Dhrystoneとは、コンピュータの演算性能を評価するプログラムのこと。本製品の165DMIPSという性能値は、測定基準Dhrystone2.1で測定したものです。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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