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デジタル電源の低消費電力化に貢献する高精度の電源制御マイコン「RX62G」とインバータ制御向け高性能・小型の「RX63T」を発売

~民生機器および産業機器のデジタル電源やモータ制御向けに、さらなる省電力化を実現可能~

November 8, 2011

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、PCサーバや無停電電源装置(UPS)などのデジタル電源向けに、高速・高性能ミッドレンジマイコン「RX600シリーズ」において電源制御の大幅な高精度化(当社比)を実現した「RX62Gグループ」2品種8型名と、民生機器や産業小型モータ制御機器などのインバータ制御向けに、「RX600シリーズ」で小型、最少のパッケージピン数(端子数)48ピンを実現した「RX63Tグループ」2品種6型名を製品化しました。それぞれ2011年12月から順次サンプル出荷を開始します。

 新製品は、「RX600シリーズ」におけるインバータ/デジタル電源制御等向け「RX62Tグループ」から、下記用途向けに特化した製品であり、次の特長を有しています。

(1)「RX62Gグループ」は、省電力化等のために採用の進むデジタル電源に要求される高速応答、細やかな電源制御に対応するため、「RX62Tグループ」に比べ約32倍、当社マイコンで最高の分解能となる312.5ピコ秒(ピコは1兆分の1)にPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)出力機能を強化し、高精度の電源制御を実現。省電力化に重要な電源の高効率化が図れます。

(2)RX63Tグループ」は、小型モータに対応するため「RX62Tグループ」から内蔵メモリを小容量化(32K~64Kバイトフラッシュメモリ内蔵)する等によりパッケージピン数の少ピン化(48ピン、64ピン)を実現。このため、特に欧米のインバータ家電におけるモータ制御で一般的となっている1つのマイコンで1つのモータ制御(1モータマイコン)にマッチした機能を少ないピン数で提供でき、かつニーズが高い48ピンへの対応を実現しているため、配線数の削減等による機器の小型化・低コスト化が図れます。

 新製品のサンプル価格は内蔵メモリの容量やパッケージピン数などにより異なりますが、「RX62Gグループ」では、256Kバイトのフラッシュメモリ、16KバイトのRAMを内蔵した100ピンLQFPパッケージ品を千個注文した際の単価が620円、「RX63Tグループ」では、64Kバイトのフラッシュメモリ、8KバイトのRAMを内蔵した48ピンLQFPパッケージ品を千個注文した際の単価が350円となっています。量産は、2グループとも2012年4月より順次開始し、2013年4月には合計で月産50万個を計画しております。

背景

 近年、地球温暖化対策やエコへの関心の高まりから、エアコン・冷蔵庫などの家電や民生機器に対して、省エネ機能を持つ製品が重視されており、また、産業機器等の組込み機器にも低消費電力設計が求められています。このような機器の低消費電力化を実現するため、インバータ/コンバータによる電力マネージメントが採用されると共に、その効率を高めるため、電力制御の高精度化が重要となっています。

 当社では、既にインバータ/コンバータ制御に特化した「RX62Tグループ」(100MHz動作時に165DMIPS(Dhrystone(注) MIPS [Million Instructions Per Second]:ドライストーンミップス)の高性能を実現)を既に製品化しており、UPSやパワーコンディショナー(電力制御装置)、モータ制御機器等の多くに搭載頂いています。一方、PCサーバ用電源、携帯の基地局電源等のデジタル電源制御応用では、負荷変動に対する高応答性や最適な電力をシステムに供給するためより精度の高いPWM出力が必要であり、既存の「RX62Tグループ」の仕様では対応が困難でした。このニーズに対応するため今回、PWM出力の細かさを示す分解能を大幅に向上した「RX62Gグループ」を製品化したものです。

 また、家電・産業分野では、モータ1つを制御する1モータマイコンのニーズが高まっており、特に欧米市場におけるインバータ家電製品のモータ制御においては、1つのマイコンで1つのモータ制御が一般的です。その際の小型化、低消費電力化を実現するため、内蔵メモリを小容量化し、パッケージピン数を削減した少ピンマイコンが望まれており、特に48ピンクラスのマイコンに対する高いニーズがあります。このため、今回、48ピンを実現した「RX63Tグループ」を製品化したものです。

 これらのラインアップ拡充により、インバータ/コンバータ向けの幅広い対応が可能となり、より最適な製品で機器の省電力化に貢献できます。

特長

「RX62Gグループ」「RX63Tグループ」の主な特長は以下の通りです。

RX62Gグループ

(1)ルネサスマイコンで最高の分解能312.5ピコ秒のPWM出力機能を搭載

電源制御に重要なPWM出力の精度(分解能)として、従来製品「RX62Tグループ」の分解能10ナノ秒(ナノは10億分の1)から32倍の分解能である、最大312.5psec (100MHz動作時)の分解能を実現。この高分解能PWM出力機能とRXコアの高いCPU性能が組み合わせることで、インバータ/コンバータ制御の精度を高めることができ、サーバ電源や汎用電源システムなどのデジタル電源制御における高効率な電力マネージメントが可能となります。

(2)「RX62T」との互換性維持により、機能の再利用が可能

新製品は、「RX62Tグループ」のピン配置、メモリ配置、周辺機能などの互換性を持たせており、「RX62Tグループ」で好評価を頂いている機能を使用可能。例えば、安全機能を使用し、搭載機器のフェール制御(異常発生時、誤動作しないようにインバータ制御のタイマ出力を切るための[HI-zに切り替える]機能など)を簡易に実現可能です。

RX63Tグループ

(1)RXファミリ最少パッケージピン数により、小型モータの低コスト化に貢献

「RX600シリーズ」で最少のパッケージピン数48ピンを実現し、洗濯機や冷蔵庫など民生機器の1モータ制御や、産業機器の小型モータ制御にマッチした機能を少ないピン数で提供可能。このため、1モータ制御の実現や、配線数を削減によるシステムの小型化、開発期間短縮など、低コスト化に貢献します。

また、RX600シリーズの中でも最少のピン数・小容量メモリのマイコンであり、モータ制御応用に限らずシステム制御等の少ピン高性能マイコンとしても広く使用できます。

(2)周辺機能等を強化

  • 「RX63Tグループ」は従来製品「RX62Tグループ」から安全機能を強化しており、RAM状態確認用のデータ演算回路や、設定した範囲内の周波数であるかを確認するためのクロック周波数精度測定回路などを搭載。よりフェールセーフ設計を容易にできます。
  • データ格納用データフラッシュとして、10万回まで書き換え可能とした8KバイトのE2データフラッシュを搭載しています。

 今後も継続して、RXファミリによる、モータなどインバータ制御向けマイコンや、デジタル電源向けマイコンのラインアップを充実していく計画です。

  また、それぞれの開発環境としては、「RX600シリーズ」の既存製品と同様に安価でフラッシュライタとしても使用可能な「E1エミュレータ」と、トレー ス、RAMモニタ等の高機能な「E20エミュレータ」を準備してい ます。「RX62Gグループ」においては、100ピンパッケージ製品の全機能ピンを効率よくデバッグするためのデバッグMCUボードも準備しています。

新製品の主な仕様は、別紙をご参照下さい。

以 上

(注) Dhrystoneとは、コンピュータの演算性能を評価するプログラムのこと。本製品の165DMIPSという性能値は、測定基準Dhrystone2.1で測定したものです。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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