Skip to main content

「ARM® Cortex® -Aシリーズ」内蔵マイコンとして世界で初めてARM® mbed™プロジェクトに参画

~「Cortex-M」では実現できなかった高性能・高機能な組込みシステム開発環境の提供を容易に~

August 21, 2014

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、このたびARM社の「Cortex-A9」をCPUコアに採用したマイコン「RZ/A1グループ」にてARM mbedプロジェクトに参画することにいたしました。

 RZ/A1グループは、400MHz の高性能CPUであるCortex-A9、世界最大(注1)となる10MB(メガバイト)の大容量内蔵RAMおよびヒューマン・マシン・インタフェース(以下HMI)に必要となる、カメラ入力、グラフィックス出力、オーディオ機能を有しており、「Cortex-M」を採用したmbedと比較し、DMIPS値(注2)換算で約4倍のCPU性能、約40倍のRAMサイズを実現したマイコンです。

 mbedは、ARM社が運営しているクラウドベースの無償の開発環境で、ユーザーは開発環境やコンパイラ(注3)をPC等にインストールすることなく、コミュニティーベースで開発された、オープンソースの様々なハードウェア・ソフトウェア資産群を利用可能になるため、デバイス開発用プラットフォームとして、近年注目を浴びています。

 ユーザーは、RZ/A1グループの性能とmbedのエコシステム(注4)を活用することで、従来のCortex-Mでは実現できなかった高い性能レンジの機能が実現できるため、今後のInternet of Things(以下、IoT/モノのインターネット)向け組込みシステム開発の可能性の拡がりが期待されています。

 またルネサスは現在、初心者からコアユーザーまで手軽に電子工作を楽しめるコミュニティ「がじぇっとるねさす(略称「がじぇるね」)」(注5)の活動を推進しております。このプロジェクト参画により、マイコンを搭載した小型のガジェット(電子工作ボード)と、マイコン用のプログラムを専門知識がなくても容易に作成できるmbed環境を提供できるようになるため、今後は電子工作を身近なものとして楽しんで頂く活動をより積極的に開催する計画です。

 mbedに対応するRZ/A1ボードは、株式会社 コア開発で株式会社 若松通商が製造・総発売元となり、2014年末から発売される予定です。また、本年9月のがじぇるねイベントにて、βユーザーを募集致します。詳細は、9月上旬より、がじぇるねWebサイト(http://gadget.renesas.com/ja/)でご覧下さい。

 今回のプロジェクト参画によるユーザーメリットの詳細は以下のとおりです。

(1) 世界初、Cortex-A9のmbed採用により、Cortex-Mとスケーラブルな高性能・高機能な組込みシステム開発が可能

 従来、mbedプロジェクトで採用されていたマイコンのCPUはCortex-Mをベースにした製品のみであったが、Cortex-A9をCPUコアとするRZ/A1グループを採用することで、Cortex-Mで開発したソフトウェアがCortex-A9で流用可能となる。RZ/A1グループは、mbedで採用されているCortex-M用のリアルタイムOSであるCMSIS(Cortex Microcontroller Software Interface Standard)-RTOS「RTX」(注6)に対応しているため、ユーザーはソフトウェアの大きな修正をせずに、Cortex-Mのソフトウェア資産をCortex-A9に移行することが可能。

 またRZ/A1グループは、CPUコアに400MHzのCortex-A9を採用、最大10MBの大容量RAMを搭載しているため最新のmbed製品と比較した場合、DMIPS値換算で約4倍、内蔵RAMサイズで約40倍の性能を提供。また、RZ/A1グループが有するカメラ入力、グラフィックス出力、オーディオ機能を使う事により、mbed上で表現力豊かな使いやすいHMIが実現可能となる。

(2) 自社製CPUコアだけでなく、ARMコア採用マイコンにおいても電子工作の機会を提供

 ルネサスはこれまで、自社製CPUコアにて一般の方々に社会貢献としての電子工作サポートを行ってきたが、このプロジェクト参画により、ARMコアを採用したマイコンにおいても、同様のサポートを提供可能。また、ARMの豊富なエコシステムを活用することで、更なるビジネスユース・ホビーユース開発に貢献できる環境を提供可能となる。

 当社のRZファミリは、高性能プロセッサやSoCにしか使われていなかったCortex-A9をマイコンに採用する事により、マイコンの使いやすさを保ちつつ従来のマイコンでは得られなかった大幅な性能向上を実現しました。本提携により、そのコンセプトを更に加速させ、IoT時代での組込製品の可能性を拡げる、IoT時代に即した開発環境を提供してまいります。

 RZ/A1グループの主な仕様は、以下の製品ウェブサイトを参照ください。
 http://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rz.html

 なおルネサスは、本年9月2日にザ・プリンス パークタワー東京(東京都港区)で開催するプライベート展「Renesas DevCon Japan 2014」で、新製品のデモンストレーションをご紹介する予定です。

 同プライベート展は、当社が国内では初めて開催するもので、ルネサス幹部による基調講演およびルネサスの最新技術をご紹介するソリューションセミナー/ソリューション展示/ワークショップで構成されています。以下のWebページで事前登録の上、ご来場いただけます。

http://www.renesas.com/ja/about/events/2014/devcon-jpn/report.html

以 上

(注1)2014年8月時点、ルネサス調べ。 主記憶メモリとして使えるマイコン内蔵RAMとして世界最大。(マイクロプロセッサのキャッシュメモリは単独で主記憶メモリとしては使えないため除外)

(注2)DMIPS値:Dhrystoneベンチマークによる性能指標。

(注3)コンパイラ:プログラムをマイコン用のコードに変換するソフトウェア。

(注4)エコシステム:同一CPUアーキテクチャを軸にしてOS、コンパイラ、デバッガなどの開発環境やデベロッパー、ソリューションプロバイダなどが集まり大きなビジネスを形成している集合を指す。語源である「生態系」をITビジネスに見立てて「エコシステム」と表現している。

(注5)がじぇっと(ガジェット):小型の装置や、携帯用の電子ボードという意味。

(注6)CMSIS(Cortex Microcontroller Software Interface Standard)-RTOS「RTX」はロイヤルティフリー・BSDライセンス・ソースコードで、ARM社より提供される。

*ARM、Cortex、mbedはARM Limitedの登録商標または商標です。その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

Share this news on