~RX100からRX700までのスケーラブルな製品ラインナップによる開発期間・開発費の削減と、強化したセキュリティ機能によるデータ漏洩からの保護に貢献~
January 26, 2015

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:作田 久男、以下ルネサス)は、このたび32ビットマイコン「RXファミリ」のフラグシップ製品としてCPUの動作周波数を従来品の120MHzの2倍となる240MHzまで向上したRX700シリーズの第一弾製品として、最大4MBのフラッシュメモリを内蔵したマイコン「RX71Mグループ」を産業機器向けに開発し、本日より順次サンプル出荷を開始いたします。

 RX700シリーズは、RXファミリのCPU、周辺機能、開発環境、ピン配置等の互換性を維持しながら、従来の120MHzの2倍となる240MHz動作を可能とし更なる高性能化へのご要求に応えます。RX700シリーズの第一弾製品となるRX71Mは、パッケージの端子数が100~177ピン、内蔵フラッシュメモリサイズが2~4MBの計112品種をラインナップで、①IoT (Internet of Things)/M2M (Machine to Machine)化の進む産業機器のスケーラブルなプラットフォーム展開に最適なマイコンを同一アーキテクチャ、互換性を持つRXファミリから選択可能となり開発期間・開発費の削減に貢献、②産業機器のIoT化に伴う通信インタフェースの多様化、高機能化と、それに伴う開発のグローバル化により重要度の高まる開発段階からのコード・データ秘匿性の確保と不正コピー防止機能を拡充、③ルネサス独自の高速フラッシュ技術と大容量メモリ内蔵により、最大45%のBOMコスト低減しながら従来の2倍の性能を実現、といった特長を有しております。新製品の量産は2015年6月より開始し、2016年5月には月産50万個を計画しています。

 プログラマブルロジックコントローラ(PLC)やモータ制御機器等に代表される産業オートメーション機器では生産効率向上、高付加価値化のためシステムの高性能化・多機能化が進んでいます。 特に、産業機器のIoT化に向けて従来はクローズなシステムであった産業の各種機器がネットワークに接続されるようになってきており、M2Mで相互に接続されるケースも増えています。これに伴いシステムが複雑で大規模になり、開発期間・開発費の増大に対処するため製品開発のプラットフォーム化が図られています。従来、これらの産業機器では、中級機~普及機帯において性能とシステムコストのバランスからフラッシュ内蔵マイコンが多く採用されていますが、上記のニーズからさらなる処理性能向上、システムの高機能化が求められています。これと合わせて産業機器のM2M化に伴い、30MHz程度のマイコンを使用するセンサノードから200MHzオーバの制御機器までが相互に接続していく上でも要求性能に最適なマイコンのラインナップとソフト開発、システム開発の工数増大を回避できるスケーラビリティが求められています。

 また、IoT化に伴う新機能、高機能化に、開発費を抑えつつ短期間で効率的に対応するために、産業系のお客様においてもシステムを、海外も含めた多拠点で分散して開発したり、特定の技術に強みをもつパートナーとの共同開発を行うことが一般的になりつつあります。しかし、海外での分散開発や共同開発においては、自社のコア技術(重要アルゴリズム)の漏洩・不正コピーがリスクとなり、自社のソフトウェアを守りつつ開発を進めたいというニーズが出てきています。

 これら産業機器では、モータのフィードバック処理等において、データ入力から演算処理、演算処理から結果出力までの一連の処理を、常に一定時間内で終了させるリアルタイム性能が重要となります。CPU動作速度に比べてフラッシュメモリへのアクセス速度が遅いマイコンの場合、専用の内蔵高速SRAMを搭載し、リアルタイム処理が重要なアルゴリズムを高速SRAMで実行していますが、内蔵フラッシュに加えて専用のSRAMが必要となり、コスト増加の要因となっています。さらに従来のフラッシュマイコンでは内蔵メモリの容量が十分でなく、外付けの高価な高速SRAMやフラッシュメモリが必要となり、BOMコスト増加、基板面積の増加の要因となっています。

 ルネサスはこれらニーズに適した新しい製品として、「RX71M」グループを製品化いたしました。

 新製品の特長は以下の通りです。

(1) RXファミリのラインナップを最大240MHz動作に拡張し、スケーラブルな製品展開で開発期間・開発費の削減に貢献

  • RX71Mの登場により、RXファミリは32MHz動作のRX100、50MHz動作のRX200、120MHz動作のRX600に加えて従来の2倍となる240MHz動作のRX700シリーズに拡張しました。
  • 従来のRXファミリとしての周辺機能、開発環境、ピン配置等の従来からの互換性を継承しており、幅広い製品間のスムーズな移行が可能です。
  • CPUコアとして従来のRXv1コアの約1.3倍の性能となるRXv2コアを搭載。RXv1からの完全コード互換性(上位互換)も有しており、ソフトウェアの移行を容易にします。
  • RXマイコン間のソフトウェア移行をさらに容易にするFirmware Integration technology(FIT)に準拠したドライバを提供しており、RX製品間の移行であれば、開発期間、開発費の最大50%削減可能となり、お客様製品のプラットフォーム展開に貢献します。

(2) 産業機器のIoT化に向けた通信インタフェースの多様化と開発のグローバル化に伴い重要度の高まる開発段階からのコード・データ秘匿性の確保と不正コピー防止機能を拡充

  • IoT化に伴う通信の多様化に対応するため、従来のCAN、SPI等に加えSD Host Interface、USB High Speed(PHY内蔵)、IEEE1588に対応したDualチャネルのEthernet等の通信インタフェースを拡充し、産業機器で要求される様々な機器との接続に対応します。
  • 通信の多様化に伴い増大するセキュリティリスクに対応するため、ハードウェア処理による高速な暗号化機能(AES,DES,SHA,RNG)を内蔵し、重要データ、通信データを漏洩から保護します。
  • 従来は内蔵フラッシュメモリに格納したコードを外部からの読出しから保護する機能はあり、開発完了後のコードを漏洩から保護することが可能でした。本製品ではさらに開発段階においても、重要なアルゴリズムを漏洩や不正コピーから保護する当社独自のTrusted Memory機能を搭載しています。Trusted Memory機能は、内蔵フラッシュメモリ等マイコン内部からも一部特定領域にあるコードの読出し(コピー)を不可能とし、命令実行のみを可能とします。 本機能により、海外開発拠点や他社との共同開発においてもコア技術となるソフトウェアを開示すること無く開発が可能となります。

(3) ルネサス独自の高速フラッシュ技術と大容量メモリ内蔵により、最大45%のBOMコスト低減しながら従来の2倍の性能を実現

  • 最先端40nmフラッシュプロセスを用いた120MHz動作可能な高速フラッシュメモリと独自のキャッシュベースのメモリ制御技術であるAdvanced Fetch Unit(AFU)搭載により240MHz動作時のノーウェイトアクセス相当の動作を可能とし、キャッシュミス時もわずか1サイクルのペナルティによりフラッシュメモリのみで高いリアルタイム性能を確保します。
  • 内蔵メモリはクラス最大の4MB(メガバイト)のフラッシュメモリと、512KB(キロバイト)のパリティチェック可能なユーザRAM、32KBの1bitエラー訂正2bit検知可能なECCRAMを内蔵しており、外部の高速SRAMを削減することが可能となります。RX71Mでは、これら内蔵メモリを無駄なく有効活用することができ、最大45%のBOMコスト低減が可能となります。

 ルネサスは、更に拡大を続けるスマート社会の基盤となる産業機器や組込みネットワーク機器等に向けて、今後も高機能かつ高性能マイコンを開発し、積極的な拡販活動を展開する計画です。

 新製品の主な仕様は別紙をご参照ください。

Image
20150126-rxfamily-roadmap-ja

 RX71Mの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rx/rx700/rx71m.htmlをご覧ください。

以 上

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

Share this news on