~ソフトウェアや開発環境を無償入手できるクラウド環境「Renesas Synergyギャラリー」がオープン。専用マイクロコントローラ2品種の市場投入も同時スタートで、ついに開発着手が可能に~
December 8, 2015

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:遠藤 隆雄、以下ルネサス)は、成長を続けるIoT (Internet of Things)や組込み機器市場に向け、ユーザが開発する製品の早期市場投入、製品開発とメンテナンスにかかる総費用(Total Cost of Ownership、以下TCO)の低減、時間や労力など開発着手の際のイニシャルコストの極少化を実現する「Renesas Synergyプラットフォーム」の日本での提供を本日より開始いたします。

 Renesas Synergyプラットフォームは動作保証された(1) ソフトウェアパッケージ、(2) マイクロコントローラ、(3) 開発環境、(4) ソリューション、(5) ギャラリーで構成されている(図1)ため、ユーザは本プラットフォームの利用により本格的に組込みシステムの評価、開発を始めることができます。

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(図1)Renesas Synergy プラットフォームの構成

 現在、あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT機器の開発では、通信やセキュリティなどの新規技術の導入が必要になり、システムの複雑化が進んでいます。この複雑化により、機器開発期間やTCOの増大が大きな課題となっています。Renesas Synergyプラットフォームの動作保証されたソフトウェアパッケージを入手することにより、ユーザはソフトウェアAPI(Application Programming Interface)層から上位のソフトウェア開発に集中できるため、開発期間の短縮や低層ソフトウェアの開発およびメンテナンスにともなうコストの削減が可能となります。

 このたび提供を開始する本プラットフォームの詳細は以下のとおりです。

(1) Renesas Synergy ソフトウェア

 Renesas Synergy ソフトウェアは、Synergy Software Package (以下SSP)とQualified Software Add-ons(以下QSA)、Verified Software Add-ons(以下VSA)で構成されます。

 SSPは本プラットフォームの中核をなす部分で、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)とIPv4/IPV6 TCP/IPスタック、USB Host/Device/OTGプロトコルスタック、MS-DOSファイルシステム、Windows®ベースのGUIライブラリ、アプリケーションフレームワーク等から成ります。このたびSSP v1.0.0をRenesas Synergyギャラリーで公開し、登録ユーザへの提供を開始いたします。

 さらに特定アプリケーション開発時の機能拡張のため、アドオン・ソフトウェアのラインアップを拡充していきます。QSAはルネサスが直接ユーザに提供する、SSPとの相互動作を保証されたアドオン・ソフトウェアです。SSP、QSAともに、IEC/ISO/IEEE-12207ソフトウェアライフサイクルプロセス規格に準拠しており、ルネサスはこのソフトウェアを公開仕様に則って動作保証し、さらに定期的なメンテナンスとバージョンアップを行います。

 VSAはルネサスのパートナー企業が提供するアドオン・ソフトウェアで、本プラットフォーム上での動作を、定められた基準に則って検証されています。当社はこのVSAを拡充する計画に、各分野で強い技術を持つ厳選されたパートナー企業と取り組んでいます。日本国内では、株式会社ユビキタス、図研エルミック株式会社、株式会社ACCESS、株式会社グレープシステムをはじめとしたパートナー企業とともに、デバイスとクラウドサービスを繋げるソリューション、スマートホームを実現するソリューション、そして既存のμITRON開発資産の本プラットフォーム上での流用を可能とするソリューションなどをVSAとして提供する予定です。ルネサスはVSAをRenesas Synergyギャラリー上で2016年初頭から順次公開していきます。

 これにより、ユーザは常に最新版SSPとの相互動作が検証されたソフトウェアを、自由にブラウズ、ダウンロードして評価することが可能となるため、個々のソフトウェアベンダを探し出し、コンタクトをとるというステップを省略できる上、そうしたソフトウェアを特定ハードウェアに移植する作業から解放されます。またパートナー企業は各種ソフトウェア製品をVSAとして提供することにより、世界中のRenesas Synergyギャラリーユーザに評価してもらう機会を創出することができます。

(2) Renesas Synergy マイクロコントローラ

 ルネサスは本日初めて、本プラットフォーム専用のマイクロコントローラ2品種のサンプル出荷を開始いたします。今回初めて市場投入されるのは、ネット接続機能を有するヒューマン・マシン・インタフェース(HMI)や産業、家電、および電力効率の高い制御アプリケーション向けに開発された、S7シリーズの「S7G2」とS3シリーズの「S3A7」で、これらは共通のSSPが動作する業界初のスケーラブルなマイクロコントローラとなっています。

(3) Renesas Synergy 開発環境

 ルネサスは本プラットフォームの開発環境として、安価な評価ボードStarter Kits(以下SK)、本格評価・開発目的に使用できる開発ボードDevelopment Kits(以下DK)を準備しています。またSSPを用いた開発をサポートする、Eclipseベースの統合ソリューション開発環境「e2 studio Integrated Solution Development Environment (以下e2 studio ISDE)」を本日より無償で提供します。

 「SK-S7G2(写真1)」はS7G2を搭載したSKで、本プラットフォームの全ての機能を評価することができ、カラーグラフィックス、高速コネクティビティ、さらにマルチメディア機能の開発も可能です。またDKとして、S7G2を搭載、4.3インチの着脱可能なWQVGAタッチパネル液晶とVGAカメラを備えた「DK-S7G2」と、S3A7を搭載、セグメントLCDを備えた「DK-S3A7」を用意しており、これらSKやDKの販売を開始いたしました。

 e2 studio ISDEは各種コンフィギュレータやインタラクティブな操作が可能なスマートマニュアルといった機能を備えており、GUI開発ツールやリアルタイムイベント解析ツールとともにRenesas Synergy ギャラリーからダウンロードして使用することが可能です。これによりユーザは安価なSKやDKを購入することで、本格的な評価や開発を始めることができます。

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(4) Renesas Synergy ソリューション

 ルネサスはProduct Examples(以下PE)やApplication Examples(以下AE)として、最終製品の開発例やアプリケーション応用例をソリューションとして提供します。ボード、リファレンスソフトウェアに加えて、使用部品の選定や回路設計など、どのように開発が行われたかといった詳細をドキュメント化したものが提供されます。

 このたび最初のRenesas Synergyソリューションとして、S7G2を使用したHMI向けPE、「PE-HMI1(写真2)」を製品化し、販売を開始しました。S7G2を用いたHMI機器を検討中のユーザは、PE-HMI1とともに提供される豊富な設計情報やサンプルアプリケーションを用いることで、最終製品の開発を加速することが可能です。

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(5) Renesas Synergy ギャラリー

 ルネサスは本日、Renesas Synergy プラットフォームのユーザが各種ソフトウェアや開発環境のダウンロード、さらにサポートを受けることのできるクラウド環境を日本向けにオープンします。ユーザはこのRenesas Synergyギャラリーにウェブアクセスし、簡単なユーザ登録を行うことにより、Renesas Synergyソフトウェアとe2 studio ISDEをはじめとする開発環境の各種ライセンス取得、ダウンロードが可能です。また、オンラインのユーザーズマニュアルをはじめとした各種ユーザサポートもこのギャラリーから提供されます。

 ルネサスは、従来からの半導体デバイスに加えて、Renesas Synergyプラットフォームを提供することにより、アプリケーション・サービスレイヤに強みを置く企業、設計リソースや時間に制約のある企業のシステム機器開発を促進し、IoTや組込み機器市場への参入を加速させ、市場の拡大と活性化に貢献します。

 Renesas Synergyプラットフォームに関するより詳しい情報は以下の製品情報Webサイトでご確認いただけます。

http://www.renesassynergy.com/

以 上

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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