~機器のライフサイクル全ての段階で、堅牢で高度なセキュリティ管理を可能にするデバイス・ライフサイクル・マネジメント・ソリューションも提供開始~
February 23, 2016

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:鶴丸 哲哉、以下ルネサス)は、このたび、IoT(Internet of Things)関連機器の設計開発工程において、ユーザが開発する製品の市場投入までの時間を短縮し、総費用(Total Cost of Ownership、以下TCO)の低減、時間や労力など開発着手の際のイニシャルコストの極少化を実現することが可能な、「Renesas Synergyプラットフォーム」の新たな製品とソリューションを開発しました。

 新製品として、(1)超低消費電力かつ豊富なアナログペリフェラルを搭載しているため、センサ関連機器に最適なRenesas Synergyマイクロコントローラ「S124グループ」を2016年4月から量産開始します。(2)この「S124グループ」に対応したRenesas Synergy ソフトウェアパッケージ(SSP)や、統合開発環境であるe2 studioもプレビュー版として提供を開始します。また、(3)パートナ企業が提供する動作検証済みのアドオン・ソフトウェアであるVerified Software Add-on (VSA)も、現在提供している米国3社に加えて、日本と欧州から新たに5社がRenesas Synergyギャラリー上で2016年春に提供開始予定です。さらに、セキュリティに関する新しいソリューションとして、(4)機器の製造過程から市場に出荷した後もネットワーク接続における脅威からユーザ機器を守る、Renesas Synergyデバイス・ライフサイクル・マネジメント(DLM)・ソリューションを、今後、提供開始します。これにより、IoT機器のライフサイクル全ての段階で、堅牢で高度なセキュリティ管理を可能にします。

 ルネサスは、これらの新たな製品やソリューションにより、IoTならびに組み込み機器の開発者と、最終ユーザに対して、さらなる価値を提供し続けます。

 本製品、ソリューションの特長は以下のとおりです。

(1) 超低消費電力かつ豊富なアナログペリフェラルを搭載、センサ関連機器に最適な「S124グループ」

 Renesas Synergyマイクロコントローラに新たにラインアップされる「S124グループ」は、ARM®Cortex®-M0+コアを採用、低消費電力が要求されるアプリケーションに適しており、2015年に発売しているCortex-M4ベースのマイクロコントローラ「S7G2グループ」、「S3A7グループ」とのスケーラビリティとコンパチビリティを完全に実現。これにより、ユーザは「S124グループ」用に開発したソフトウェアを、全てのRenesas Synergyマイクロコントローラ間で迅速かつ容易に再利用が可能。Renesas Synergyマイクロコントローラは、S124、S3A7、S7G2の3グループあわせて、64KBから4MBまでのフラッシュメモリサイズおよびパッケージ展開で、約30製品のラインアップが揃い、今後もさらに拡充していく予定。

 スペックとしては、動作時でも電流値70.3 µA /MHzの超低消費電力を実現。また、14ビットのA/Dコンバータ、12ビットのD/Aコンバータ、さらに低電力のコンパレータといったアナログ周辺機能を搭載。ユーザインタフェースには、タッチキーを30チャネル以上サポート。通信機能として、USB2.0-FSとCANインタフェースを搭載しており、セーフティとセキュリティについては、SRAMパリティチェック、NIST(National Institute of Standards and Technology)に対応したTRNG(True Random Number Generator)、AES-256暗号を内蔵。これらにより、特にバッテリ駆動かつセンシング機能のニーズが高いアプリケーション、無線モーションセンサや感知器、小型キッチン家電、そしてPOS端末装置やスキャナなどのポータブル機器に最適。

(2) 「S124グループ」に対応したSSPと統合開発環境e2 studioもプレビュー版を提供開始

 Renesas Synergyソフトウェアパッケージ「SSP v1.1.0」と、統合開発環境「e² studio v5.0」、さらにS124マイクロコントローラを搭載した開発・評価キットを順次提供開始。

 「SSP v1.1.0」は、Express Logic社のThreadX® RTOSとUSBX™のコミュニケーションスタックの最適化を行うことにより、S124マイクロコントローラの小さなメモリサイズでも効率的に動作。また、コネクテッドデバイス向けのIPv6ネットワークおよびサービスや、BSD対応ソケットレイヤーのサポート、SSIオーディオやCANコミュニケーションのサポート、新たなアプリケーションフレームワークの追加などの拡張を実施。

 「e2 studio v5.0」は、最新版Eclipse v4.5(Marsリリース)をベースに構築。さらに、ワークフローを単純化するためにプロジェクトの内部構成をグラフィカルにスタック構造で表示する機能や、瞬時にすべてのメモリ使用状況を完全に可視化する機能など、新たにRenesas Synergyプラットフォームでプロジェクトを開始するための自動ガイダンスを強化。

 「SSP v1.1.0」と「e2 studio v5.0」のプレビュー版は2016年2月末よりRenesas Synergyギャラリーにて提供を開始、オフィシャル版ならびに開発・評価キットは2016年4月に提供開始予定。

(3) パートナ企業が提供する動作検証済みのアドオン・ソフトウェアも5社から追加提供予定

 日本と欧州から、さらにパートナ5社のVerified Software Add-on (VSA)を、Renesas Synergyギャラリー上で2016年春から提供を開始。このソフトウェアはルネサスによってSSPとの相互動作を確認されたアドオン・ソフトウェアであり、簡単にRenesas Synergyプラットフォームベースのプロジェクトに特定の機能を追加できる。新たに提供を開始するVSAは、Echonet、CANopen、BACnetを含むホームおよびインダストリアルオートメーション、またセキュアコミュニケーションおよびクラウドサービスの分野となる予定。

 なお、現在提供しているのは、米国のVSAパートナであるCypherbridge Systems社(SSL/TLSを含むセキュアIoT/webコネクティビティのSDKPac)、Icon Labs社(ファイアウォールとセキュアブートを含むセキュリティサービス)、そしてSkkynet社(セキュアクラウドコネクションとデータサービス)で、Renesas Synergyギャラリー上で評価版ソフトウェアおよび製品版情報を提供中。

(4) 機器のライフサイクル全ての段階で、堅牢で高度なセキュリティ管理を可能にするデバイス・ライフサイクル・マネジメント・ソリューションを提供開始

 ユーザ機器の製造過程において、ユーザのソフトウェアIPが盗難・複製されないように保護したり、偽造製品を抑止したり、さらに市場に出荷された後も、安全な環境下でファームウェアのリモートアップデートを可能にするなど、ユーザ機器のライフサイクル全体を通して堅牢で高度なセキュリティ機能を維持するデバイス・ライフサイクル・マネジメント(DLM)・ソリューションの提供を開始。

 このデバイス・ライフサイクル・マネジメント(DLM)・ソリューションは、a) セキュリティ機能を有するRenesas Synergyセキュリティマイクロコントローラ、b) セキュリティ関連機能を強化したRenesas Synergy ソフトウェアパッケージ(SSP)、c) デバイス・ライフサイクル・マネジメント用ツールならびに、d) 開発キットから構成されており、ベータプログラムとして2016年4月から一部ユーザへ限定的に評価版を提供開始。リクエストに応じてカスタマイズも可能。正式なソリューション提供は、2017年第1四半期(1-3月)頃からRenesas Synergy マイクロコントローラS5シリーズに適用し、順次他のシリーズへ展開予定。

a)
セキュリティ機能を有するRenesas Synergyセキュリティマイクロコントローラ
個々に固有のRoot-of-Trustを構築するため、ルネサスの工場出荷の時点でプリプログラムされたマイクロコントローラ。
b)
セキュリティ関連機能を強化したRenesas Synergyソフトウェアパッケージ(SSP)
a)のマイクロコントローラをデバイスレベルで動作させるための、ソフトウェアドライバ、API、ミドルウェア群をSSPに追加。
c)
デバイス・ライフサイクル・マネジメント用ツール
暗号化されたファームウェアファイルを安全に管理、展開し、マイクロコントローラに書き込むためのツール。これにより、①セキュア・マニュファクチャリングとして、最終製品の製造段階で、プログラムの書き込みを許可するマイクロコントローラの数を制限し、意図しない数の製造を抑制することが可能。また、②セキュア・アップデートとして、市場に出荷された最終製品に対して、安全にリモートファームウェアアップデートが可能。
d)
開発キット
a)のマイクロコントローラを搭載し、セキュア・マニュファクチャリングとセキュア・アップデートのシミュレーションや、評価のために提供される開発キット。

 現在、ネットワークに接続される機器やシステムは、ハッカーによる製品の破損、システムの乗っ取りや攻撃、改ざんおよび複製などのリスクにさらされており、セキュリティ保護はIoT機器の開発を手がける多くのエンジニアにとって重要な懸念事項である。もしもセキュリティレベルが低ければ、IoT機器が個人情報を第三者にさらす可能性があるだけでなく、広域な産業インフラ等に深刻な影響を及ぼし重篤な損害を引き起こす可能性すらある。

 機器の進化と同様、これらの脅威も急速に進化するため、機器出荷時のセキュリティ保護メカニズムは、すぐに古いものになってしまうかもしれない。従って、エンドユーザの手に渡った機器は、その機器のライフサイクルを通して常に新しい保護メカニズムにアップデートされるべきである。

 このたびルネサスが開発したデバイス・ライフサイクル・マネジメント(DLM)・ソリューションでは、製品のライフサイクルのすべての段階で、これらの脅威から機器を守るためのセキュリティ機能をプラットフォームとして提供することを念頭に置いている。

 ルネサスは、Renesas Synergyプラットフォームのマイクロコントローラ、ソフトウェア、そして発展し続ける開発環境やパートナサポートといった全ての要素を進化させ、新たな価値を提供してまいります。

以 上

*ARM、Cortexは、ARM Limitedの登録商標または商標です。

*ThreadX、USBXは、Express Logic社の登録商標または商標です。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する登録商標または商標です。


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