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世界初、自動運転およびIndustry4.0の中核となる、次世代高速ネットワークEthernet TSNの規格適合性を実証

~TSNの最大の特長となる遅延を最小化するフレーム割り込み処理に関する接続性試験をパス~

2016年11月16日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、このたび、Ethernet Time-Sensitive Networking (TSN) 規格に関して、世界で初めて(注1)、Ethernet TSNのプラグフェスタにて(注2)、Ethernet TSNの最大の特長となるフレーム割り込み処理に関する規格遵守性、および、相互接続性を実証しました。Ethernet TSN は、現在、IEEE802.1のTSNタスクグループにより規格化が進められており、同グループは、イーサネット上の決定的通信 (Deterministic Communication: 遅延時間を保証し、データ消失のない、信頼性の高い通信)を、車載・産業通信の両用途で実現することを目指しています。TSN規格は、現在、プロオーディオ、車両内ネットワーク等に導入が進んでいるEthernet AVB (Audio Video Bridging)規格を拡張したもので、時刻同期、転送制御、割り込み優先制御 (Preemption)、入力データ量統制 (Ingress Policing) を含むいくつかの特徴を持っています。これらの特徴により、Ethernet TSN規格は、自動運転の実現に向けた車載用途、および、Industry 4.0の実現に向けた産業用途に十分対応可能な高速ネットワーク技術に進化します。

 ルネサスは、この車載・産業向け両方のネットワークに対応したEthernet TSNのデモを開発し、2016年11月17日からドイツのミュンヘンで開催されるAutomotive Networksと、11月22日からドイツのニュルンベルグで開催されるSPS IPC Drivesに出展します。

ルネサスのTSN技術の車載への取組み

 ルネサスは、既に車載ネットワークへの導入が進んでいるEthernet AVBに対応した各種半導体ソリューションを提供しており、車両内通信に関する知見を活かしてTSN規格を推進し、世界に先駆けてフレーム割り込み処理に関する規格適合性を実証しました。このたびルネサスは、新しいTSNデモを開発し2016年11月17日からドイツ ミュンヘンで開催される車載ネットワークの展示会Automotive Networksに出展し、TSNネットワークの実現に不可欠である当社製TSNスイッチソリューションの紹介を行います。 ルネサスは、現状の制御系システムのイーサネットによる置き換えも視野に入れ、TSN規格が車載ネットワークにより広範に導入されることを推進し、より安全な自動運転の実現に貢献します。

ルネサスのTSN技術のIndustry 4.0への取組み

 ルネサスは、各種産業イーサネット通信に対応する産業ネットワークソリューションを提供し、Industry 4.0の実現に向けて貢献しています。これまでの産業用イーサネットは、さまざまな特定のデータリンク層(注3)技術により実現されており、そのことが異なる複数の産業用イーサネット間の接続を困難にしていました。ルネサスは、現状の産業用ネットワークをTSNによって接続することにより、ユーザが現在使用中の産業ネットワークを将来に渡って最適に使い続けられるよう、各種規格を相互接続することを可能とするソリューションの検討を開始しています。

 ルネサスは、11月22日からドイツのニュルンブルグで開催されるSPS IPC Drives 2016のHall 6 Stand 142にデモを出展します。

ルネサスのTSNデモの概要

 車載向けTSNのデモは、ルネサスの想定する将来の車載ネットワークに対応して構成されています。 本デモはCAN通信メッセージをイーサネット上でトンネリングした上で、さまざまなTSNの特徴を切替えながら確認することができます。

 産業向けTSNのデモは、様々な装置がつながる工場のネットワークを想定して構成されています。 本デモは様々な装置からのトラフィックが混在するネットワーク上で、リアルタイム制御が必要なモータ制御へのTSNの効果を確認することができます。

デモが備える主なTSNの規格の特徴

 TSNのデモは、イーサネットスイッチを実現するために必要な多数のTSN規格のうち、特に以下の特徴を備えています。

(1)時間制御ストリームデータの転送制御(注4)

本技術は“Credit-Based Shaping”として知られている、転送クラスごとに必要な転送帯域を予約することにより優先度の高いデータを優先的に転送する技術です。

(2)スケジュールされた転送処理の拡張(注5)

本規格により転送データは8種類のクラスのうちの1つに割当てられ、各クラスのデータはクラスごとに規定された周期で通信されます。

(3)時刻同期(注6)

本規格は各ネットワークノードの時刻を同期するマスタースレーブプロトコルです。

(4)フレーム割り込み/超優先転送(注7)

TSNで導入された新しい方式で、時間制約の厳しいフレームがそれ以外のフレームの転送中に割り込むことで、遅延を最小化する技術です。ルネサスは2016年に世界で初めて開催されたフレーム割り込み処理に関するAVnuプラグフェスタに参加し、当社技術の規格遵守性、および、相互接続性を確認しています。

 ルネサスは、Ethernet TSNの規格推進と、車載用、産業用での普及促進をとおして、自動運転ならびにIndustry4.0という社会の発展に貢献してまいります。

以 上

(注1)2016年8月に世界で初めて開催されたフレーム割り込み処理に関するAVnu Alliance 主催プラグフェスタ(注2)にて実証

(注2)Ethernet TSNの接続性仕様を規定している団体であるAVnu Allianceにより主催され、同正規認証機関である、米国ニューハンプシャー大学(the University of New Hampshire, UNH)の相互接続性研究所(Interoperability Laboratory, IOL)により実施された接続性試験のイベント

(注3)ISO OSI参照モデルの第2層

(注4)時間制御ストリームデータの転送制御:Forwarding and Queuing Enhancements for Time-Sensitive Streams(IEEE 802.1Qav)

(注5)スケジュールされた転送処理の拡張:Enhancements for Scheduled Traffic(IEEE 802.1Qbv)

(注6)時刻同期:Timing and synchronization(IEEE 1588v2 / IEEE 802.1AS)

(注7)フレーム割り込み/超優先転送:Frame preemption/Interspersing Express Traffic(IEEE 802.1Qbu/802.3br)

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