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自動運転の実現に向け、システムのプラットフォーム開発を加速する セーフティマイコンのラインアップが完成

~「RH850/P1x-Cシリーズ」にローエンド向け「RH850/P1L-Cグループ」が登場~

2016年12月15日

 ルネサスエレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、このたび、アンチロックブレーキシステムや、エアバッグシステム等のシャシー&セーフティシステムおよび小型モータ制御向けに適した、「RH850/P1L-Cグループ」4製品を開発しました。RH850/P1L-Cは、自動運転の実現に向けた運転支援システムへのニーズをオールインワンで提供するセーフティマイコン「RH850/P1x-Cシリーズ」のローエンド版に位置する製品です。ルネサスは新製品のサンプル出荷を本日より開始いたします。

 新製品は、(1) RH850/P1x-Cシリーズの製品プラットフォームの継承により、機能安全/セキュリティに対応するとともに、周辺機能の互換性を確保、(2)当社の強みである低消費電力技術により放熱板不要のLQFPパッケージの採用と小ピンパッケージ展開により車載制御ユニット(Electronic Control Unit、以下ECU)の小型化ニーズへ対応、といった特長を有しています。また、(3) セーフティ/セキュリティサポートプログラム、AUTOSAR対応MCAL(注1)、パートナとの連携によるモデルベース開発環境、小型モータ制御を想定したリファレンスボードなど、開発期間短縮を支援するソリューションも順次提供いたします。

 新製品のサンプル価格は3,000円/個(税別)となっております。新製品の量産は2018年5月より開始し、2020年には合計で月産70万個となる計画です。

 近年、自動運転の実現に向けて運転支援システムの高度化・高性能化が進み、他の車載制御ユニットとの協調制御が重要になっております。なかでもシャシーシステムでは先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance Systems、以下ADAS)との協調により、センサからの情報量増加に伴い、高速な通信機能とともに高い情報処理能力が求められています。また車両のハッキングといったセキュリティ上の新たな脅威に備えるため、EVITA等の車載セキュリティ仕様への対応、故障等によるシステムの異常が致命的な状況に至らぬよう安全規格ISO26262において最も高い機能安全要求レベルとなるASIL D(注2)への対応が求められています。このようなニーズ(センシング、コネクティビティ、セキュリティ、セーフティ)をオールインワンで提供するセーフティマイコンとして、ルネサスはRH850/P1x-CシリーズのRH850/P1H-Cグループ、RH850/P1M-Cグループを2014年に提供開始いたしました。RH850/P1H-CはADAS等のハイエンドアプリケーションに、またRH850/P1M-Cはスタビリティーコントロール等のミドルレンジアプリケーションに適しています。

 一方これらのハイエンド/ミドルレンジアプリケーションに対するニーズと並行して、故障発生時も動作を継続するためのシステムの冗長化やECU小型化といったニーズ、なかでも、高度化・高機能化するシステムの開発期間短縮・開発費抑制のためソフトウェアおよび開発環境の共通化ニーズが高まっています。このような状況のもと、アンチロックブレーキシステムや、エアバッグシステム等のシャシー&セーフティシステムおよび小型モータ制御等のローエンドアプリケーション、またECU小型化、システムの冗長化ニーズに応えるものとして開発されたのがRH850/P1L-Cです。この新製品の提供により、ハイエンドからローエンドまでソフトウェアの流用および開発環境の共用が可能となるプラットフォーム開発をユーザに提案する、RH850/P1x-Cシリーズの一連のラインアップが揃うことになります。

 新製品の特長の詳細は以下のとおりです。

(1) RH850/P1x-Cの製品プラットフォーム継承によりスケーラビリティを拡大、ユーザの製品開発・展開が容易

 各種機能安全の機能は実績のあるRH850/P1x-Cプラットフォームを継承しているため安全規格ISO26262において最も高い機能安全要求レベルとなるASIL Dへ対応するとともに、車載セキュリティの標準規格であるSHE/EVITA-Light(注3)に対応したルネサス製ハードウェアセキュリティモジュール「ICU-S」を搭載。また、タイマやCAN-FD(注4)をはじめとする各種通信機能も上位製品から継承することでハイエンドからローエンドまでスケーラビリティを拡張し、ユーザでの製品開発・展開容易化に貢献。

(2) 小型・小ピンパッケージのラインアップによりECUの小型化に対応

 低消費電力かつ高信頼性として量産実績がある 40nm(ナノメートル、ナノは10億分の1)プロセスの採用により、単一電源、周波数120MHzでTyp. 50mA (5V 25℃)動作する製品を放熱板不要のLQFPパッケージに封入し、80ピン、100ピン、144ピンの3種類を展開。ピンピッチを0.4mmとすることでECUの小型化を実現。なかでも144ピンではパッケージサイズを36%削減(0.5mmピッチ比)。

(3) ユーザのさらなる開発効率化にむけ各種ソリューションを用意

 複雑化しているシステム開発に対応すべく、当社が用意するセーフティ/セキュリティサポートプログラムのほか、パートナ企業との連携によるモデルベース開発環境である仮想環境の提供、AUTOSAR対応MCAL、小型モータ制御用途を想定したリファレンスボードを用意。ユーザの開発期間短縮に貢献。

 ルネサスは、車載用マイコンメーカとして世界No.1の実績と、車載向けの高い信頼性および品質を実現する技術に裏打ちされた製品、ソリューションを提供することで、安心・安全・快適なクルマ社会実現へ貢献してまいります。

新製品の主な仕様は、 別紙(89KB)をご参照ください。

従来品「RH850/P1H-C」「RH850/P1M-C」の主な仕様はこちらをご参照ください。

RH850/P1L-Cの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rh850/rh850p1x/rh850p1lc.html をご覧ください。

以 上

(注1)AUTOSAR:Automotive Open System Architecture、MCAL:Microcontroller Abstraction Layerの略。

(注2)ASIL :自動車用安全度水準。ISO26262の要求事項や、受け入れられない残存リスクを回避するために適用する安全方策を規定するためのレベルを示したもの。AからDまでの4段階がありASIL Dが最も厳しい安全度水準。

(注3)SHE:Secure Hardware Extension、EVITA-Light:E-safety Vehicle Intrusion Protected Applicationsの略。

(注4)CAN FD:Controller Area Network Flexible Data rateの略で、ISO11898-1準拠。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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