“ルネサスは、「2023 Aspiration」、さらに当社のパーパスである「To Make Our Lives Easier」を実現すべく、これからも人々の暮らしを楽(ラク)にする製品やソリューションを提供してまいります。そして、同時に、地球社会の一員として環境に配慮し、企業活動を通じて持続可能な社会へ貢献することにより、一層の企業価値向上に努めていきます。”
2023年12月期は、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の悪化、世界的なインフレーション、金利の上昇等により、世界経済は前期に引き続き低迷するとともに、半導体市場も軟調に推移しました。こうした中、当社は、変化に柔軟に対応し、向かい風にあっても着実に一定の成果を確保するため、様々な施策を積極的に遂行してきました。その結果、当期の売上収益を前期比で微減に押しとどめ、一定の利益水準を確保しました。
当期における施策として、今後の事業成長を加速させるため、近距離無線通信技術に強みを持つ Panthronics 社をグループに迎えるとともに、パワー半導体向け SiCウエハの安定的な供給確保に向けて、Wolfspeed 社とSiCウエハの長期供給契約を締結しました。また、新製品としては、業界で初めて高性能の Arm Ⓡ Cortex Ⓡ -M85コアを搭載した「RA8シリーズ」マイコン、先進のチップレット技術を用いた R-Car SoC や、次世代車載マイコンから成るロードマップ「第5世代 R-Carファミリ」、クラウド上でお客様の製品開発を支援するプラットフォーム「クイックコネクトスタジオ」等をリリースし、将来の売上収益の源泉となるデザイン・インを数多く獲得しました。
当期は、前期に引き続き、株式市場における当社の存在感が高まった一年となりました。当社株式は日経平均株価を構成する「日経225」に選定され、その時価総額は、年初からの一年間で約2倍に増加しました。ESG の分野においても、国際的に著名な MSCI 社による「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」の構成銘柄に初めて選定されました。また、前年度の取り組みが評価されて「CDP サプライヤ・エンゲージメント・リーダー」に認定され、「PRIDE 指標」では2年連続でゴールドを受賞しました。さらに、当社の成長の礎の構築に貢献した ( 株 )INCJ が、当社の成長を踏まえ、保有する当社株式の全てを売却しました。
株主還元については、昨年4月に総額約500億円の自己株式の取得を行いました。そして、今般、財務基盤の強化の進捗を踏まえ、配当を再開することとし、株主総会において、1株当たり28円の期末配当を実施する旨の議案を上程しました。今後も、事業環境の変化や長期的な成長のための投資に充てる内部留保金とのバランスを考慮しつつ、可能な限り継続的かつ安定的に株主還元を行っていく所存です。
今後に向けた取り組みについて
ルネサスは、今後も、経営目標である「2030 Aspiration」(2030年までに、組み込み半導体ソリューションサプライヤ:トップ3、売上収益:200億ドル以上、2022年1月比時価総額:6倍)の実現に向けて、さまざまな取り組みを継続してまいります。
本年1月には、さらなる成長の加速に向け、組織体制の変更を実施しました。新たな組織体制では、より広範かつお客様のニーズに即したソリューションの提供を強化するため、従来のアプリケーションを軸とした組織から、技術を軸とする事業構造に再編しました。加えて、当社のスケールを最大限に生かすため、業務領域ごとの全社横断的な組織も発足させました。
また、当社は、クラウドベースのプラットフォームを提供することで、お客様のソリューション構築を楽(ラク)にするデジタライゼーション戦略を推進しています。その実現に向け、ソフトウェアとデジタライゼーションに特化した組織を新設しました。そして、今年2月には、当社のデジタライゼーション戦略を加速させる重要な施策として、プリント基板(PCB)設計ソフトウェアのリーディング企業であるAltium 社の買収に合意しました。
加えて、当社の成長の柱の一つとなるパワー半導体に関して、SiC だけでなくGaNを含めたポートフォリオの強化・拡大のため、今年1月に、GaN 技術に強みを持つ Transphorm 社の買収に合意しました。
さらに、コーポレートガバナンスの強化のため、指名委員会等設置会社への移行を株主総会の議案として上程しております。当社はまた、取締役会の多様性目標を新たに30%に設定しました。
ルネサスは、「2023 Aspiration」、さらに当社のパーパスである「To Make Our Lives Easier」を実現すべく、これからも人々の暮らしを楽(ラク)にする製品やソリューションを提供してまいります。そして、同時に、地球社会の一員として環境に配慮し、企業活動を通じて持続可能な社会へ貢献することにより、一層の企業価値向上に努めていきます。
変化し続けるルネサスにご期待ください。
柴田 英利
代表執行役社長 兼 CEO
ルネサス エレクトロニクス株式会社
2023年度 統合報告書をダウンロード(英文、PDF)
参考和訳版はこちら
マルチステークホルダー方針
当社は、企業経営において、株主にとどまらず、従業員、取引先、顧客、債権者、地域社会をはじめとする多様なステークホルダーとの価値協創が重要となっていることを踏まえ、マルチステークホルダーとの適切な協働に取り組んでまいります。
方針や具体的な取り組みについては、以下のPDFファイルを参照ください。