~有害微粒子、TVOCeCO2、温度、相対湿度など7種類の信号を検出可能~

2024年8月21日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、本日より、室内空気質のモニタリング向けにオールインワンの超小型なセンサモジュール「RRH62000」を発売しました。新製品は、ルネサスとして初めて複数のセンサを搭載したモジュールです。センシング機能を集約したことにより、1つのモジュールで有害微粒子(PM1/PM2.5/PM10)、総揮発性有機化合物(TVOC)、推定二酸化炭素濃度(eCO2)、温度、相対湿度の7種類の信号を検出できます。人体に有害なガスを正確に検出することが可能なため、空気清浄機、煙探知機、HVACシステム、気象観測所やスマートホームシステムなどに向けて、統合的な空気質モニタリングを実現します。また、内蔵されているマイコンにセンサ用のファームウェアを備えているため、世界中の様々な空気質基準にも準拠可能です。

 RRH62000の外形は、46.6 x 34.8 x 12 mmと、センサモジュールとしては最小クラスのサイズを実現しました。7種類の信号を検出するために、レーザベースのPM1/PM2.5/PM10センサと、ガスセンサZMOD4410、湿度/温度センサHS4003を搭載しました。これらのセンサはいずれも工場で組み込まれ、調整されているため、ユーザはすぐにセンサシステムの設計に着手できます。

 ルネサスのセンサ事業部、モジュール&ソリューション担当のシニアダイレクターであるUwe Guentherは次のように述べています。「ルネサスのRRH62000モジュールは次世代のセンサフュージョン技術によって、複数のセンサからのデータを集約し、環境モニタリングに役立つ総合的な情報に変換します。ルネサスは、お客様の開発を簡素化する統合型センシングソリューションの提供に注力し、今後も環境負荷を低減しながら暮らしの安全性と快適さを向上させる、持続可能な製品のイノベーションを推進していきます。」

 新型コロナウイルス感染症の拡大以降、空気質が健康に与える影響について、著しく関心が高まりました。今や、大気汚染物質が呼吸器系を含む全身の健康状態に及ぼす影響に関しても、認識が高まっています。あまり知られていませんが、大気汚染物質の濃度は屋外より屋内のほうが6~10倍も高くなる傾向にあります。大気汚染物質には、ほこり、塗料の揮発物、調理時の煙、花粉、エアコンのフィルタから出る微粒子といったものがあり、これらが呼吸器系に入り込むと、肺の障害やがんなどの健康問題を引き起こす可能性があります。

 こうした新たな課題に対処するため、ルネサスの新しいセンサモジュールは空気質を幅広くモニタリングする機能を備えています。従来のLED方式より精度の高いレーザ方式を採用することで、PM1、PM2.5、PM10(直径0.3~10µmの粒子状物質)の濃度はもちろん、TVOCの絶対値と相対値を様々な電力モード設定で監視し、これらの汚染物質を最高レベルの精度で検出します。新製品は搭載したセンサからの信号を同時に出力し、内蔵のマイコンで処理することにより、周囲の空気質データをリアルタイムに検出します。

 新製品は、建物の空気環境基準に対応可能なファームウェアに加えて、人工知能(AI)アルゴリズムを搭載しています。これにより、公共施設がWELL(Well Building Standard)、HVI(Home Ventilating Institute)、RESET(Residential Residential Energy Efficiency Standards)をはじめとする空気質基準に適合できるよう、センサを設定可能です。例えば、日本の学校で米国などの他地域と同じハードウェアを使用しても、AI対応ファームウェアアップデートだけで、各種基準に対応可能です。

 本RRH62000や既発売のガスセンサモジュールRRH46410など、ルネサスの統合型センサデバイスは、デマンドコントロール型換気をサポートしているため、HVACシステムに導入すれば、二酸化炭素濃度や人の在室情報に基づいて風量を調整し、最適な空気質とエネルギ効率を維持できます。また、AIアルゴリズムによってエアコンのフィルタ交換時期を予測し、システム故障が発生する前に異常を検出することで、システムメンテナンスにかかるコストと時間も大幅に節約可能です。

オールインワンのセンサモジュールRRH62000の主な特長

  • 最大7種類の信号を同時に出力可能
    • レーザベースの技術で有害微粒子PM1、PM2.5、PM10を正確に検出
    • 金属酸化物を使用したガスセンサで絶対TVOCを測定
    • 室内の推定二酸化炭素濃度を測定して、低コストのCO2アラームを実現
    • 高精度の温度・相対湿度センサ
  • 46.6 x 34.8 x 12 mmの超小型サイズで様々な用途に対応
  • マイコン内蔵によりスマートなセンサ管理を実現
  • 堅牢な設計とシロキサン耐性
  • I²CおよびUART通信をサポート

ウィニング・コンビネーション

 ルネサスは、RRH62000と各種デバイスを組み合わせた様々なウィニング・コンビネーションを提案しています。例えば、屋内空気質監視システムセキュアクラウド接続機能を持つ大気質モニター(PM2.5)では、RRH62000とRA6M3マイコンあるいはRL78/G14マイコンと、様々な電源デバイスとを組み合わせ、最新の家電向けに費用対効果の高いコンパクトなモジュールソリューションを提供します。ウィニング・コンビネーションは、ルネサス製品を最適に組み合わせてエンジニアによる設計検証を行っているため、ユーザの設計リスクを低減し、市場投入までの時間を短縮します。ルネサスは、様々なアプリケーションに向けた400種類以上のウィニング・コンビネーションを提供しています。詳しくは、こちらをご覧ください。
renesas.com/win.

新製品および評価キットの詳細は、RRH62000RRH62000-EVKをご覧ください 関連ブログは、「先進のセンサ技術による大気汚染対策:クリーンエアモニタリングRRH62000のご紹介」をご覧ください。

ガスセンサモジュールおよび評価キットの詳細はRRH46410RRH46410-EVK をご覧ください。

以 上

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。

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