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Armコア搭載RAマイコンを拡充し、業界最小クラスの消費電力を実現した「RA0」シリーズを発表

~コスト重視のアプリケーション向けにRA0シリーズ第一弾となる「RA0E1」グループを発売~

2024年4月9日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表執行役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、Arm® コアを搭載する32ビットマイコンRAファミリを拡充し、低消費電力を特長とするローエンドの「RA0」シリーズを発表しました。そして本日より、コスト重視のアプリケーションをターゲットに、RA0シリーズ第一弾となる「RA0E1」グループ発売、量産を開始しました。

 RA0シリーズは、動作周波数32MHzのCortex®-M23コアを搭載し、32ビットの汎用マイコンとしては業界最小クラスとなる低消費電力を実現しました。具体的には、アクティブモードで84.3µA/MHz、スリープモードで0.82mA、ソフトウェアスタンバイモードでは0.2µAの低消費電流を達成しました。これに高速オンチップオシレータ(HOCO)を組み合わせることでスタンバイモードからの高速起動が可能です。これらにより、バッテリ駆動の民生用電子機器や小型家電、産業機器、ビルディングオートメーション(BA)などの低消費電力化に貢献します。

 今回発売するRA0E1グループは、コスト重視のアプリケーション向けに機能を最適化しました。動作電圧が1.6V~5.5Vと広いため、5Vシステムでのレベルシフタやレギュレータが必要ありません。また、シリアル通信、アナログ機能、安全機能、HMI機能を搭載しているため、BOMコストを低減します。加えて、内蔵のHOCOは±1.0%の高精度のため、外部オシレータを使用せずに、通信のボーレート精度を維持することができます。これにより、コストと実装面積の削減が可能です。さらに、-40℃~105℃の環境下で±1.0%の高精度を維持し、リフロー工程後でも精度が保証されるため、時間のかかる「トリミング(精度調整)」の必要がなく、製造コストの低減にも貢献します。

 さらにRA0E1は、動作の異常を診断できる安全機能として、IEC60730に準拠した自己診断ライブラリも用意しています。セキュリティ面でも、真性乱数発生器(TRNG)やAES暗号化ライブラリに対応しています。パッケージは、3mm x 3mmのコンパクトな16ピンQFNから7mm x 7mm の32ピンQFPまで、多彩なラインナップを提供します。

 ルネサスのエンベデッドプロセッシング第二事業部の事業部長である黒田 昭宏は次のように述べています。「ルネサスはマイコンのリーディング企業として、あらゆるアプリケーションに最適なソリューションを提供することを期待されています。RA0E1グループは、安全性やセキュリティ、設計のしやすさを犠牲にすることなく、価格重視のシステムに求められる低コスト化と、低消費電力化を実現します。新製品から高性能なRA8シリーズに至るまで、ルネサスは世界中のお客様のあらゆるニーズに応えるトップクラスのマイコンソリューションを提供します。」

 Armのシニア・バイスプレジデント兼IoT事業部門ジェネラルマネージャーであるポール・ウィリアムソン(Paul Williamson)氏は次のように述べています。「産業用途やスマートホームなどの市場に対応するIoT組み込みアプリケーションには電力の制約がある一方で、性能や効率、セキュリティに関する固有のニーズもあります。Armのプロセッサを搭載したルネサスのマイコンファミリには、低消費電力のRA0から高性能なAI対応RA8まで、幅広いソリューションが出揃いました。いずれも共通の設計環境を提供しているため、開発や移行を迅速化し、容易化することができます。」

RA0E1グループの主な特長

  • CPU: 動作周波数32MHzのCortex-M23
  • メモリ: 最大64KB(キロバイト)のコードフラッシュメモリと12KBのSRAM
  • アナログ: 12ビットA/Dコンバータ、温度センサ、内部基準電圧
  • 通信: UART×3、非同期UART×1、簡易SPI×3、I2C×1、簡易I2C×3
  • 安全: SRAMパリティチェック、不正メモリアクセス検出、周波数検出、A/Dテスト、イミュータブルストレージ、CRC演算機能、レジスタ書き込み保護
  • セキュリティ: ユニークID、TRNG、フラッシュリードプロテクション
  • パッケージ: 16/24/32ピンQFN、20ピンLSSOP、32ピンLQFP

 RA0E1のソフトウェア開発には、ルネサスのFlexible Software Package(FSP)を利用できます。FSPは、さまざまなRTOSやBSP(Board Support Package)、周辺ドライバ、ミドルウェア、コネクティビティ、ネットワーク、セキュリティスタックなどの基本ソフトウェアに加え、複雑なAI、モータ制御、クラウドソリューションを構築するためのリファレンスソフトウェアなどを提供することで、迅速なアプリケーション開発を実現します。ユーザは独自のソフトウェアコードや所望のリアルタイムOSをFSPに統合することができるため、アプリケーション開発に柔軟性を持たせることができます。FSPを使用すれば、RA0E1から他のRAシリーズへの移行も容易です。

ウィニング・コンビネーション

 ルネサスは、RA0E1と豊富な製品ポートフォリオのデバイスを組み合わせ、「建築物の空調環境モニタモジュール」などの多彩なウィニング・コンビネーションを提案します。ウィニング・コンビネーションは、ルネサス製品を最適に組み合わせてエンジニアによる設計検証を行っているため、ユーザの設計リスクを低減し、市場投入までの時間を短縮します。ルネサスは、様々なアプリケーションを対象とした400種類以上のウィニング・コンビネーションを提供しています。詳しくは、こちらをご覧ください。renesas.com/win

 なお、ルネサスは、RA0のデモを4月9日~11日にドイツのニュルンベルクで開催されるembedded world 2024で、ホール1のルネサスブース(スタンド234)に出展します。

RA0E1の詳細については、こちらをご覧ください。renesas.com/RA0E1

ルネサスのマイコンについて

 ルネサスは、年間35億個以上を出荷する世界トップクラスのマイコンメーカです。約50%が自動車向けであり、他に産業用やIoT機器、データセンタ、通信インフラ向けに提供しています。8ビット、16ビット、32ビットの幅広いラインアップを展開し、比類のない性能と品質、電力効率を誇ります。信頼できるサプライヤとして、スマートでセキュアなマイコンを設計してきた数十年の経験を持ち、デュアルファブ生産モデルや、業界最先端のプロセス技術、250社以上のエコシステムパートナも有しています。詳しくはrenesas.com/MCUsをご覧ください。

以 上

*Arm、Arm Cortex、は、Arm LimitedのEUおよびその他の国における商標または登録商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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