~センサレスモータに対し、ゼロ速度で最大トルク出力が可能になったため、効率的なシステム設計が可能に。センサ付きモータから移行すればコストと基板スペースを削減可能~

2023年12月6日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、ブラシレスDC(BLDC)モータ向けに、3相スマートゲートドライバIC「RAA306012」と、マイコンとゲートドライバICを1パッケージに搭載した2種類のモータ制御IC「RAJ306101(RX13T搭載)」「RAJ306102(RL78/G1F搭載)」を発売、量産を開始しました。

 新たなスマートゲートドライバICはルネサス独自のモータ制御技術と組み合わせることで、センサレスBLDCモータがゼロ速度(停止)の状態でも最大トルク出力を可能にしました。これにより、ユーザはより強い力と速度を効率的に引き出すセンサレスBLDCモータ制御システムを設計することができます。本新製品は、豊富な調整機能と保護機能を搭載した3相スマートゲートドライバで、さまざまなマイコンと組み合わせることができるスタンドアロンデバイスです。高精度な制御が必要なロボットアームやAGV(自動搬送車)などに向けても、高性能なマイコンと組み合わせて使用することにより、さまざまな種類のモータ制御に対応可能です。

 一方、小型のBLDCモータ制御アプリケーション向けには、開発しやすくコスト効率がよいマイコン内蔵のモータ制御ICが適しています。電動アシストバイクや、アシストロボット、多機能プリンタ内の各種モータ用途に向けて、ルネサスの32ビットマイコン「RX13T」と「RAA306012」を1つのパッケージに搭載したモータ制御IC「RAJ306101」を用意しました。さらに、よりシンプルなパワーツールやガーデニングツール、各種ポンプやハンディクリーナーなどの用途に向けては、ルネサスの16ビットマイコン「RL78/G1F」と「RAA306012」を搭載したモータ制御IC「RAJ306102」を提供します。1チップ化したことで、基板スペースを削減し、コストと信頼性を向上します。

  今回、センサレスBLDCモータに対し、ゼロ速度でフルトルクを引き出すために2つの新技術(特許出願中)を開発しました。モータが完全に停止しているときに安定した位置を検出するEIS(Enhanced Inductive Sensing)技術と、モータが極めて低速で動作しているときに位置を把握できるMRI(Motor Rotor position Identification)技術です。より高速のときにはスマートゲートドライバに内蔵されたBEMF(誘起電圧)検出アンプを用いたゼロクロス検出による位置検出技術を使用します。

 ルネサスのアドバンスドアナログ事業部の事業部長、 Davin Lee は次のように述べています。「センサレス設計のメリットは、コスト、スペース、電力、信頼性など数多く挙げられますが、今後は、ゼロ速度でフルトルクを必要とするようなシステムでも、これらのメリットを享受できるようになります。新製品群は、ルネサスが優れた技術力とアプリケーションについての深い知見を組み合わせて、市場ニーズに応えるソリューションを提供していることの表れと言えるでしょう。」

  電気モータ、真空モータ、送風機、各種コンポーネントのグローバルサプライヤ、Domel, Inc. の社長兼 CEO である Peter Korošec 氏は、次のように述べています。「これまではセンサを搭載するしかなかった製品でも、新製品には積極的にセンサレス技術を導入したいと考えています。ルネサスのこの画期的な技術により、最高のサイズ、コスト、信頼性を備えた新製品をお客様に提供できるようになります。」

高度なアナログ処理機能を搭載したスマートゲートドライバ IC 「 RAA306012 」の主な特長

  • 動作電源電圧: 6V~65V
  • 柔軟に構成可能なゲートドライバ
    • ゲート駆動ソース/シンクピーク電流 0.64A/1.28A、16段階で調整可能
    • アダプティブで調整も可能なデッドタイム機能
  • 内蔵電源回路
    • スリープモードに対応したVCC LDO
    • ゲート駆動電圧を生成する電圧調整可能な500mA降圧スイッチングレギュレータ
    • マイコン電源用100mA LDO
  • さまざまなモータ駆動方式をサポートするセンシング機能
    • 3つの高精度差動アンプ(4段階のゲイン設定)
    • BEMF検出アンプ
    • 3つのコンパレータ
  • 各種保護機能: 各電源電圧降下、過電流、MOSFET VGS異常、サーマルシャットダウン

ウィニング・コンビネーション

 ルネサスは、新しいスマートゲートドライバICと補完的な様々なデバイスと組み合わせることにより、コードレスクリーナ20Vコードレスリーフブロワどのウィニング・コンビネーションを提供します。ルネサスのウィニング・コンビネーションは、ルネサス製品を最適に組み合わせてエンジニアによる設計検証を行っているため、ユーザの設計のリスクを低減し、市場投入までの時間を短縮します。ルネサスは、様々なアプリケーションに向けた400種類以上のウィニング・コンビネーションを提供しています。詳しくは、こちらをご覧ください。詳細については、renesas.com/winをご覧ください。

なお、RAA306012は7mm x 7mm 48ピンQFNパッケージ、RAJ306101RAJ306102は8mm x 8mm QFNパッケージの56ピン、64ピンでそれぞれ提供します。各新デバイスの評価キットも提供します。モータ制御ICについてはこちらご覧ください。
https://www.renesas.com/motorcontrolics

以 上

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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