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産業用各種検知センサやヘルスケア機器向けに業界トップクラスの電力効率でDSP処理を実現する「RX231グループ」を発売

~低消費電力技術と、DSP/FPUを強化した高性能32ビットRXv2 CPUコアとのベストミックス~

2015年6月30日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:遠藤 隆雄、以下ルネサス)は、このたびDSPとFPU(注1)命令を拡張した高性能RXv2コアを採用し、ルネサスの低消費電力技術と組み合わせることにより、業界トップクラスの電力効率を実現する32ビットマイコン「RX231グループ」を開発し、本日より順次サンプル出荷を開始します。新製品は、電池駆動など電流供給能力の低い環境で、重い負荷の処理を短時間で実行する必要のある産業向け各種検知センサ、ヘルスケア機器などに最適です。

 新製品の量産は、2015年9月より開始し、2016年12月には月産50万個となる計画です。サンプル価格は一例として、48ピンLFQFP、128KBフラッシュメモリ搭載製品「R5F52315ADFL」で370円(税別)です。

 産業向けの検知センサやヘルスケア機器は、電池からの電流供給能力が低いにも関わらず、信号計測において、デジタルフィルタ(注2)によるノイズ除去や、小数点演算を用いた計測値の算出といった、負荷の重い処理が要求されます。こうしたシステムでは、消費電流の増加が許されないため、CPUの周波数を上げることによる処理の高速化ができず、従来は時間をかけて処理を実行していました。処理中は、マイコンのみならず、システム全体が電力を消費するため、長い処理時間はシステム全体の電力の増加につながっていました。

 新製品「RX231グループ」は、低消費電力技術と、DSP/FPU演算に優れたRXv2コアの高性能を組み合わせることにより、電流を抑えたまま、デジタルフィルタや浮動小数点演算などの、負荷の重い計算を短時間で処理することが可能です。これにより、処理中のシステム全体の電力の増加を大幅に抑えます。例えば、IIRデジタルフィルタ(注2)の処理を行う場合、新製品は、従来製品より処理時間を約50%、処理中の電流値を約10%削減することができます。これにより、処理動作とスタンバイを繰り返す間欠動作時には、処理中の電力効率を50%以上改善し、32ビットマイコンでは業界トップクラスの電力効率を実現します。この性能により、システムの電池の駆動時間の長時間化にも貢献します。

 「RX231グループ」は、この高い電流効率により、電流供給能力に制限がある環境においても高い処理性能が要求される産業向け各種検知センサ、ヘルスケア機器をはじめ、ウェアラブル端末やサーモスタット等のビルディングオートメーション機器に適しています。

 ルネサスは、RXv2コアで強化したDSP命令を使うための、DSPライブラリをユーザに無償提供しており、これにより、RXv2コアによる高性能なデジタルフィルタ、FFT、行列等の様々なDSPを用いた演算を容易に実現することができます。

 「RX231グループ」は既存のRX210グループ、RX220グループと非常に高い互換性があり、既存のシステムから容易に移行することができます。

 新製品の特長は以下のとおりです。

(1) 低消費電力技術と高性能RXv2コア搭載による業界トップクラスの電力効率

  • RXv2コア搭載により業界トップクラスの4.16Coremark/MHzの性能を達成しています。従来のRXv1コアに比べ、約2~4倍のDSP演算性能、約4~6倍の浮動小数点演算性能を実現するため、デジタルフィルタ等の負荷の重い処理を短時間で実行することが可能です。
  • 消費電流は、動作時で0.12mA/MHz、RAMとレジスタをすべて保持したスタンバイ状態で業界トップクラスの0.8μAを実現します。
  • RAMとレジスタをすべて保持したスタンバイ状態からの復帰時間は、最短で5μsであり、復帰中の電流の損失を削減します。この高速復帰の直後も、アナログ機能が使用可能であり、さらにRAM上のプログラムへの復帰だけでなく、フラッシュメモリへの復帰も可能です。
  • スタンバイ状態で、わずか0.4μAで動作するLPT(Low Power Timer)を搭載しています。これにより電流の大幅な増加なく、スタンバイからの復帰イベントを自己生成することが可能です。

(2) 高感度なタッチキー機能を搭載

  • 「RX113グループ」で実績のある静電容量式タッチセンサを搭載。このタッチキー機能は高感度かつ高ノイズ耐性を特長としており、濡れたパネルや手袋をした状態でも操作が可能で、使用環境や機器デザインの自由度が高いユーザインタフェースを実現することができます。

(3) 通信機能を強化

  • 各分野においてIoT化の動きが活発になりつつありますが、Wi-Fi等の通信機能の追加やFA機器およびPCなどを経由したネットワークへの接続を可能にするために、SDHI、CAN、USBなどの通信機能を搭載しています。

(4) 業界トップレベルのセキュリティ機能

  • IoT化の動きが進むなかセキュリティはますます重要になっており、「RX231グループ」はルネサスの長年培った技術を活かした業界トップレベルのセ キュリティ機能に対応します。2015年中にデバイスドライバおよび本機能を用いたソリューションの提供を開始する予定です。

 新製品の主な仕様は別紙(152KB)をご参照ください。

画像
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 RX231グループの製品情報は、https://www.renesas.com/ja/products/microcontrollers-microprocessors/rx/rx200/rx231.htmlをご覧ください。

以 上

(注1)FPU(浮動小数点演算ユニット)とは、浮動小数点演算を専門に行う機能ユニット。

(注2)デジタルフィルタとは、センサ等から出力される連続したアナログ信号を、離散的なデジタル信号に変換し、不要な信号を除去することにより、必要な信号を抽出する技術。この時DSP演算が用いられる。IIRデジタルフィルタ(無限インパルス応答:Infinite impulse response)は、その信号処理方法のひとつ。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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