~産業および民生機器に、音声による操作機能を迅速かつコスト効率よく搭載可能~

2023年3月30日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、RISC-Vを搭載した組み込みプロセッサのポートフォリオを拡充し、音声認識HMI(ヒューマン・マシン・インタフェース)システムに最適化した32ビットASSP(特定用途向け汎用製品)「R9A06G150」を発売、量産を開始しました。RISC-Vエコシステムパートナと共同で、音声認識に必要なソフトウェアや各種ツールも含めたターンキーソリューションを開発しました。これにより、住居/商用ビルディングオートメーション、家電、玩具、ヘルスケア機器などに向けて、開発の初期費用を抑えながら、コスト効率の高い、すぐに量産可能な音声認識ソリューションを提供します。RISC-V コアを搭載した製品としては、ルネサスはすでにモータ制御用32ビットASSP「R9A02G020」と、64ビット汎用「RZ/Five」 MPU(マイクロプロセッサユニット)を発売しており、オープンソースのRISC-V ISA(命令セットアーキテクチャ)市場のリーダとして、今回の新製品も世界に先駆けて投入します。

 新製品は、音声認識による操作を可能にするために、複数の言語とユーザ定義キーワードをサポートしています。そのプログラムは、顧客の設計を量産に結びつける能力を持つ独立系デザインハウス(IDH)が開発した専用のアプリケーションコードを使用してあらかじめASSPに書き込まれています。それらは、音声認識技術のエキスパートであるCyberon社と、組み込みソリューションに特化したシステムインテグレータであるOrbstar社が開発しました。また、SEGGER Microcontroller GmbHは、モータ制御用ASSPと同様に、Embedded StudioやJ-Linkなどのツール群により音声認識用ASSPをサポートします。

 ルネサスの執行役員 兼 IoT・インフラ事業本部MCU担当ユニット長であるRoger Wendelkenは次のように述べています。「ルネサスはRISC-V MCU/MPUの提供範囲を広げ、今回、開発期間と市場投入までの時間を短縮するために、あらかじめ開発されたソフトウェアと革新的な音声コマンドHMIを提供します。RISC-Vエコシステムパートナとの緊密な協力により、この柔軟でスケーラブルなASSPソリューションは、音声制御に関心を持つお客様が、同じASSPのハードウェアプラットフォームを様々なアプリケーションに適用することができるようになります。」

グローバルパートナとの協業による最適化されたソリューション

 新製品は、Andes TechnologyのRISC-V IPをベースにしたAndeStar™ V5アーキテクチャに基づく同社のCPUコア「AndesCore D25F」を搭載しています。Andes Technologiesの会長兼CEOのFrankwell Lin氏は次のように述べています。「ルネサスのターンキー音声制御ソリューションの一翼を担うことができ、大変嬉しく思います。32ビットのAndesCore D25Fは、小さなシリコンフットプリントでMHzあたりの高い性能を実現しています。ルネサスのような大手のミックスドシグナルASSP開発企業は、コア技術の革新に集中し、それ以外の設計要素は当社のようなCPUコアサプライヤに委託することができます。」

音声認識HMI ASSPソリューション「R9A06G150」の主な特長

  • DSP命令、浮動小数点演算をサポートし、コストを最適した、動作周波数100MHzのCPUを搭載
  • マイクやコーデックとのシームレスな接続を実現する、オーディオ専用PDM&SSI インタフェース搭載
  • 低価格のアナログマイクや出力に対応可能
  • アクティブ電流とスタンバイ電流の低減、バックグラウンド動作、SRAMパワーオフの選択、高速ウェイクアップ、低電力タイマなどの最適な組み合わせにより低消費電力を実現。これにより最終製品の省エネ化に貢献し、環境に配慮
  • SCI/UART、SPI、I3CまたはI2C経由の外部ホストI/Fによる制御
  • コスト効率を高める小型パッケージ対応(QFN 48、32、24)
  • 256KB(キロバイト)プログラムフラッシュ、128KB RAM、16KBデータフラッシュメモリを搭載
  • QSPIインタフェースで外部メモリ拡張が容易
  • 完全リファレンスキット:ハードウェア、ソフトウェア、ツール、ハードウェア/ソフトウェアのデータシート、GUIマニュアル、アプリケーションノート

RISC-VコアASSPによる音声認識のウィニング・コンビネーション

 ルネサスは、新製品と補完的なデバイスを使用して、汎用の音声認識HMIシステムをサポートする「RISC-V ASSPを使用した音声制御HMI」ソリューションを開発しました。ターンキーソリューションは、ユーザーコードのプログラミングなしに音声認識機能を追加し、IoT機器やハンズフリー機器、スマート家電などに有用です。本リファレンスデザインは、ウェイクアップワードやコマンドのカスタマイズも可能であり、多言語をサポートします。ルネサスのウィニング・コンビネーションは、あらかじめエンジニアによる設計検証を行っているため、ユーザの設計のリスクを低減し、市場投入までの時間を短縮します。ルネサスはこの他にもさまざまなアプリケーション向けに300種類以上のウィニング・コンビネーションを提供しています。詳細についてはこちらをご覧ください。renesas.com/win

製品の詳細についてはこちらをご覧ください。renesas.com/R9A06G150
ルネサスのRISC-V ASSPについてのブログはこちら(英語)をご覧ください。

ルネサスのマイコンについて

ルネサスは、年間35億個以上を出荷するマイコンの世界的リーダです。約50%が自動車向けであり、他に産業用やIoT機器、データセンタ、通信インフラ向けに提供しています。ルネサスのマイコンは、8ビット、16ビット、32ビットの幅広いポートフォリオを持ち、特に16ビットと32ビットではリーディングサプライヤとして、高い性能と品質、電力効率を誇ります。ルネサスは信頼できるサプライヤとして、スマートで安全なマイコンを設計してきた数十年の経験を持ち、デュアルファブ生産モデルや、業界最先端のプロセス技術、200社以上のエコシステムパートナを有しています。ルネサスのマイコンの詳細は、こちらをご覧ください。www.renesas.com/MCUs

以 上

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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