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10周年を迎えるルネサス32ビットRXファミリの成長を振り返って

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Sakae Ito
Vice President IoT Platform Business Division
掲載: 2020年5月28日

Renesas 32bit MCU RXファミリが今年でデビュー10周年を迎えます。私は1984年の入社以来35年になりますが、ほぼ一貫してマイコンの開発、事業化に携わってきました。そして、ここ10年はRXファミリと苦楽をともして歩んできたと言っても過言ではありません。これまで多くの製品開発や事業プロジェクトに関わってきましたが、その中でもRXは最も思い入れの深い製品です。私自身にとってもRXは多くの社内、社外の人たちと繫がる機会を与えてくれました。10年という節目を迎えて、RXに改めて感謝の意を表したい思いです。

当社は、2003年に三菱と日立の半導体部門が合併し、さらに2010年にNECエレクトロニクスが加わるという歴史を歩んできました。RXは当初、三菱&日立の従来マイコンの統合後継製品として企画・開発され、さらに製品展開においてはNECマイコンの後継もカバーすべくラインナップの充実を図ってきました。RXは、まさに三菱、日立、NEC三社の蓄積技術の集大成として開発され、営業・生産やパートナー様など当社のビジネス基盤をフルに活用して事業拡大を図ってきました。10年を経て、当社半導体事業の中の大きな柱の一つに育ったことを大変うれしく思います。

一方で、この10年間、決して順風満帆の道のりではありませんでした。デビュー直後の2011年には、忘れもしない東日本大震災に見舞われ、RXの製造もストップしてしまいました。わずかな在庫から、数個単位のサンプルをお客様に届けたことを今でもはっきりと覚えています。

また、その後の当社の経営危機に際しては、思うように開発を進められない時期もありました。しかしながら、そのような困難にあっても、エンジニアたちのたゆまない開発努力、セールスメンバーの熱意、高い品質とデリバリを支える生産現場の頑張り、そして当社製品をサポートしてくださるパートナー様などすべてのステークホルダーの皆様の支援を頂いて、今日のRXのビジネスがあります。現在、RXファミリは、RX100からRX700までの豊富な製品ラインナップを取り揃え、これまでに6億個を超えるRX製品をお客様に届けてきました。また、RXマイコンの心臓部であるCPUコアも性能アップを重ね、第三世代に至っています。

マイコンという商品は、単品ビジネスではなく、Low-endからHigh-endまでの幅広い機能・性能レンジ、搭載メモリやPackageのVariationなど、豊富な製品ラインナップを取りそろえ、さらにそれらが時間とともに新製品の追加という形で進化していく、製品ファミリ形のビジネスです。それゆえ製品寿命も長く、RXが10周年を迎えたと言っても、製品ファミリのライフタイムから見れば、まだまだ青年期といったところでしょう。売上は年々伸長しています。新たな製品開発も着々と進んでいます。今後10年、20年とRXが当社の32bitマイコンの大きな柱であることは間違いないでしょう。

RXというファミリ名は、Renesas Xtreme からきています。マイコンというデバイスの機能・性能だけではなく、品質・サポート・デリバリなどあらゆる面において、“Renesasらしさ”と”最高をめざす“、我々の意気込みとお客様へのコミットメントを象徴しています。この10周年をひとつのマイルストーンにして、”RX Value”を全世界のお客様に届けるための、新たなステージへ進んでいきたいと思います。

10周年の今年、ワイヤレスコネクティビティを皮切りに、RXの最新の製品とテクノロジーをご紹介していきますので、RX webpageもご覧いただければと思います。今後のRXにご期待ください。

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