掲載: 2020年9月24日
今回は、車載システム向け半導体ソリューションの中で、インスツルメント・クラスタシステムに向けた取り組みを紹介します。インスツルメント・クラスタシステムとは、車の運転席にあるスピードメータや各種警告灯など、運転に必要な情報をドライバに知らせるもので、安全に車を運転する上で必要不可欠なシステムであり全ての車に搭載されております。今回は進化していくこのインスツルメント・クラスタシステムについてご紹介します。
最近、運転支援機能や、自動運転に向けた開発が進んでおり、インスツルメント・クラスタと各種センサや情報・制御機器との連携が増えてきています。運転中の自車周辺の車両情報の表示など、インスツルメント・クラスタに表示される情報量が増えるとともに、安全性の観点から視認性向上のニーズが高まっています。このため、インスツルメント・クラスタは車載液晶ディスプレイによるデジタル化が主流になっており、そして更にデジタル化により、以下のようによりいっそう進化していきます。
- デジタル化により機能拡張が可能で更なる安全、利便性の高いシステムが実現できます。例えば、更にスマートフォンと連携して地図を表示させたり、DMS (Driver Monitoring System)を取り込みドライバへ注意を促すことが可能です。
- 更にCASE (Connected Autonomous Shared & Services & Electric)の時代に対応した、統合コクピットシステムも加速しております。
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このようにシステムの統合化が検討されていく一方、インスツルメント・クラスタは堅牢性を保つ必要があるため、統合化コクピットシステムを実現させるためには、多機能化や将来に向けた機能拡張を、システム分離技術によりトータルで堅牢性の高いシステムにすることが必要となります。システム分離技術としては、仮想化が一般的な技術となりますが、当社のR-Car Gen3シリーズは高性能なCPUとGPUを2種類搭載した、ヘテロジニアスなマルチコア技術により、下記のように、高性能・低コスト・高信頼性なソリューションを開発、提案しています。
- 仮想化なしで容易に堅牢性が高いインスツルメント・クラスタと、その他のシステムを容易に分離することができます。また、複数のアプリケーションを同時に実行する統合コクピットでは処理が複雑であり仮想化が不可欠です。この場合、仮想化システムとインスツルメント・クラスタシステムを容易に分離させることができます。
- Cluster側は制御用MCUと同じシンプルなRTOSを使うことができるため、メータに必要な高速起動・高速音声・カメラ起動が可能です。
- CPU/GPU各々同時に動作可能なためより高性能なシステムを構築できます。
- 4R-Car H3/M3/M3N/E3のHigh-endからLow-endのラインナップがありCluster側のSWは全て流用可能です。 これらの技術により、お客様に性能・機能・システムコストを最適化したソリューションを提供すべく、日夜技術開発に取り組んでおります。ルネサスの車載システム技術にご期待ください。
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