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車載事業の顧客価値シリーズ⑨:車載制御アプリケーションにおけるRL78/F1x MCUシリーズの展望

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Adam Korbel
Senior Staff Engineer
掲載: 2020年10月14日

皆さん、当社の16 bit MCU RL78/1xがローエンド車載制御セグメントでマーケットをリードしている製品であることをご存知ですか?競合他社は、最新MCUにARM®CPUコアベースのMCUを提供していることに対し、RL78/F1xには、その前身であるNECエレクトロニクス製78K0Rコアとルネサステクノロジ製R8Cコアを継承したルネサスエレクトロニクス独自の統合CPU であるRL78コアが搭載され、ローエンド車載制御セグメントにて高い市場競争力を確立していることは興味深い事実です。その理由の一つは、RL78コアは「一括」割り込みの代わりに多くの排他的割り込みを提供できることにあります。これにより、RL78 MCUは、アクチュエータECUやセンサーECUで必要とされるようなイベント駆動型アプリケーションに、優れた割り込み応答性を提供します。二つ目の理由は、ローエンド車載制御セグメントに求められる業界No.1の低消費電力とアプリケーションに最適な演算処理性能(1.64 DMIPS / MHz(24MHz @ 125°C / 150°C、32MHz @ 105°C)を両立していることです。

RL78F13 / F14 / F15 は、AEC-Q100に準拠し、MF3 プロセス(130nm)で開発されました。 製品ラインナップは、ROMサイズ(16KBから512KB)、対応パッケージ(ピン数:20pinから144pin、PKGタイプ:SSOP、QFN、QFP)、および動作温度範囲に応じた温度グレード(105°C品、125℃品、150°C品)と幅広いスケーラビリティを提供します。 これにより、顧客は、ECUのPF開発におけるスケーラビリティを確保するだけでなく、予期しないアプリケーション・ソフトウェア・サイズの変更時に、同一PKGで容易にメモリサイズを変更できるため、安心感を享受できます。

また、当社のRL78/F1xシリーズは、主要な自動車Tire1顧客と緊密に連携して開発され、ユーザーの声から自動車アプリケーション性能とコスト性能を最大限に引き出すための優れた周辺機能も実装しております。例えば、 高精度の高速オンチップオシレーター(発振精度±2%)、バックグランド・オペレーションに対応した高品質データFlash(書換回数10万回)等は、PCBサイズの小型化とシステムBOMコスト低減に大きく貢献しています。

代表アプリケーション例:

  • HVAC:マルチ・モーター制御に対応し以下のソリューションを準備しています。
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  • 車載センサー・アプリケーション:車載向け各種センサー(温度/圧力/光/雨/湿度/位置)では、Ta=150°Cの周囲温度が求められ、RL78/F1xはこの過酷な動作温度条件で確実に機能する唯一のMCUです。

今後、RL78/F1xの次世代製品を企画検討中です。車載ネットワークのEEアーキテクチャへの変革に伴いローエンド車載制御セグメントにおいても、更なる高速ネットワークへの対応(CAN-FD)、機能安全対応(ISO26262)、セキュリティ対応(ISO21434)が求められており、RL78 MCUは今後も市場トレンドを取り込み進化を続けていきます。なお、次世代製品も引き続き、MF3 プロセス(130nm)で開発予定です。当社が他のMCUでは28nmプロセス以降を推進しているときに、将来にわたって同じ130nm MF3 CMOSプロセスを維持する動機は何でしょうか? それは、130nm MF3 CMOSプロセスは、卓越した低リーク電流と業界をリードする電力効率を備えているからです。

また、RL78/F1xでは様々なコンテンツを用意し、新規プロジェクトや新興市場への迅速な製品開発および市場参入に貢献します。

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開発ツールには、MCU初心者にも判りやすい GUIベースの無料コード・ジェネレータ・ツールAPPILETに対応しています。これにより、周辺機器の初期化関数や動作設定関数を簡単に生成できます。スターターキットには、ハードウェア開発用にサンプルソフトウェアを同梱しております。 なお、Autosarソフトウェアは、16ビットMCUデバイスには求められません。その他にもWEBサイトから 多数のアプリケーションノートとソフトウェアライブラリも利用可能です。

高度にスケーラブルなRL78 MCUシリーズの技術的な詳細、およびパラメトリック検索エンジンについては、当社のwebサイトをご覧ください。

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