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次世代の自動車コンピューティングを革新するR-Car Gen 5 SoC登場

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Vivek Bahn
Vivek Bhan
執行役員 兼 ハイパフォーマンスコンピューティング担当ジェネラルマネージャー
掲載: 2024年11月25日

2024年11月、ドイツのミュンヘンで開催されたイベントelectronica 2024で、私はマスコミ関係者に対して、ソフトウェア定義車両(SDV)向けの第5世代(Gen 5)R-Car SoCを発表しました。

SDVプラットフォームは、自動車業界の技術進化を推し進め、自動車のバリューチェーンを刷新します。 新しいE/E(電気/電子)イノベーションは、電動化、自律走行、先進安全システム、モバイルネットワークなどによって古いルールが塗り替えられ、大衆的なクルマもかつてないほど安全でスマートで身近なものになりつつあります。

SDVの大変革により、車両システムは分散型のECU(電子制御ユニット)から集中型アーキテクチャへ移行するのは確実です。 そして、分散していたセンサやアクチュエータ、プロセッサはゾーンECUに統合されます。そうすることにより、SDVは先進運転支援システム(ADAS)、車載インフォテインメント(IVI)、車両内のデータ転送を安全に実現するゲートウェイアプリケーションなど、複数の自動車アプリケーション領域に対応します。

ルネサスは10年以上にわたってSDV設計のパイオニアとして、さまざまなSoCにマイコンやパワーマネージメント、センサ、アナログ、ソフトウェア、システムソリューションを組み合わせて、車両に適用してきました。 ルネサスは 車載用の幅広く包括的なポートフォリオ により車載半導体分野で優位に立ち、2023年から2030年にかけてADAS市場の年平均成長率を上回ることができると考えています。

R-Car Gen 5が、マルチドメイン用車載コンピューティングソリューションの未来となる

ルネサスは、R-CarのSDV開発環境としてR-Car Open Access(RoX)プラットフォーム の提供を開始しましたが、このような業界の変化に対応するため、車載向けSoCのポートフォリオをさらに拡充します。

ルネサスのR-Car Gen 5ファミリの第1弾である R-Car X5H SoC は、業界最高レベルの集積度と性能を実現し、TSMCの車載用3nmプロセス技術で製造された初のマルチドメイン車載用SoCです。 この先進的な製造ノードは、5nmプロセス向けに設計されたデバイスと比較して最大35%の電力削減を実現し、冷却装置を簡素化し、車両の航続距離を延ばします。

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Renesas' scalable automotive compute platform chart.

第4世代まで、ルネサスのR-Car SoCは、最先端のAI性能をもつADAS用、高いグラフィックス性能を誇るIVI用、または高速に安全にデータ転送を実現するゲートウェイ用といった特定のユースケース向けに提供してきました。 R-Car X5Hは、CPUもAIもグラフィックもモノリシックな1チップに搭載し、ADASやコクピットといった特定のアプリケーションから、複数のアプリケーションにも対応できるマルチドメインSoCです。さらに機能や性能が必要な場合は、チップレット技術により柔軟にユースケースに合わせてカスタマイズでき、ソフトウェアのアップグレードも可能です。 R-Car X5Hは、共通のアーキテクチャでソフトウェアの再利用と移植を可能にすることで、OEMやTier 1の顧客がECUレイアウトを一元化し、車両開発を合理化し、複数の車両クラスにわたって設計の将来性を確保できるようにすることができる初めてのSoCと言えます。

オープンな開発プラットフォームにより、OSS(オープンソースソフトウェア)と顧客やパートナのSWを組み合わせることができるため、顧客は継続的にソフトウェアを更新し、車両の最新の環境を検知し、それに対応して能力を向上させることができます。 自動車業界は、絶え間ない機能拡張とリアルタイム処理能力を必要とする完全自動運転車へと移行する中で、このアップデート力は極めて重要です。

R-Car X5Hをもっと詳しく紹介しましょう

R-Car X5H SoCは、実に革新的なチップ設計と言えるでしょう。 高性能なアプリケーションCPUとリアルタイム処理用CPUに加え、ADAS用のNPU(ニューラルプロセッシングユニット)と、コクピットおよびインフォテインメント用GPU(グラフィックプロセッシングユニット)やディスプレイ表示機能を備えています。 さらに、チップレットにより性能を拡張することができます。例えば、R-Car X5Hに搭載したUCIeインターコネクトを使用して、外部NPUを拡張すればAI処理性能を3~4倍に高めることができます。 あるいは、外付けGPUチップレットを使用することで、グラフィックス性能を3倍に高めることができ、コクピットの全幅に表示するピラーtoピラーディスプレイやプレミアムゲームなどの次世代インフォテインメント体験を可能にします。

R-Car X5Hは、当社の新しいSoCファミリのフラッグシップ製品として、1000k DMIPSを超える高性能コンピューティング性能、最大400 TOPSの性能を持つAIアクセラレータ性能、および4 TFLOPS相当のGPU処理性能を誇ります。 R-Car X5HのCPUには、アプリケーション処理用に32個のArm® Cortex® -A720AE コアと、さらに6個のArm Cortex-R52(ロックステップ)コアを内蔵しており、機能安全で最高レベルのASIL Dをサポート可能です。 特に、安全性が求められるブレーキなどの機能を、他の機能から分離するために、多くのSoCはソフトウェアのみに依存しているのに対し、R-Car X5HはハードウェアベースのFFI(Freedom from Interference)技術を搭載しています。 FFIは、専用のCPUコア、メモリ、インタフェースを備えた個別の冗長安全ドメインを指定するもので、異なるドメインからハードウェアまたはソフトウェア障害が発生した場合でも、車両の致命的な連鎖障害を防止します。

さらに、オープンソースソフトウェアをベースとした当社のリファレンスデザインは、迅速な評価と開発を促進します。事前検証済みの商用ソフトウェアスタックも用意しているため、より迅速なプロトタイプ開発と市場投入を可能にします。

R-Car X5H SoCにつぎ込まれたルネサスのDNA

一元化されたゾーン型アーキテクチャで設計されるSDVのトレンドとしては、コネクテッドカー、ADAS/AD、没入型UX、およびEVへの移行に対する需要が後押ししています。 しかし、自動車全体をみると、1つのチップがすべてに適合するわけではありません。

ルネサスは、基本的な走る・曲がる・止まるといったリアルタイム制御アプリケーションから、高性能コンピューティングまで、あらゆるシステムに対応する網羅性の高い豊富なポートフォリオを備えています。 そして、この新しいR-Car X5H SoCにより、SDVエコシステムにおいて独自の地位を確立したと言えるでしょう。

ルネサスは、車載用マイコンを基盤としつつ、SoCには最先端のチップレット技術を適用し、使い易いツールチェーンを提供し、最先端プロセス製造技術を活用することで低消費電力化を実現し、車両設計の効率を高め、顧客の開発コストを低減し、収益までの期間を短縮します。 性能の詳細については、こちらのブログ「R-Car Gen 5 SoCで集中型車載コンピューティングとSDVアーキテクチャの開発を加速」をご覧ください。

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