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SOM/SBCの製造または購入という選択肢が、顧客の設計サイクルを加速させます

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Frank Urbe
Frank Urbe
Senior Manager, SST EMEA
掲載: 2023年7月21日

近年、内製か外注か、市場投入までの時間、製品のスケーラビリティ、コスト最適化といった言葉をよく耳にします。 これらのフレーズを使うとき、顧客はコンピュータモジュールの「ソリューションの購入」について話しているか、もしくはそれを検討していることが非常に多いです。 詳細に入る前に、いくつかの定義が必要です。

定義

シングルボードコンピュータ(SBC:Single Board Computer)は、クロック、マイクロプロセッサ、RAM、フラッシュメモリ、イーサネット、I/Oコントローラなど必要な部品が、単一プリント基板上に完結されたコンピュータです。

コンピュータオンモジュール(COM:Computer On Moduleまたはシステムオンモジュール(SOM:System On Moduleには通常、周辺機器に直接接続するためのI/Oソケットがありません。 これらはメインボード(キャリアボードまたはベースボードと呼ばれることが多い)に接続されなければならず、これによって外部へのI/O経路が完成します。

このアプローチは、エンドカスタマーが以下のようなコアコンピタンス(POS、ファクトリーオートメーション、医療など)の開発に集中できるため、非常に一般的です。

  • 特定のI/Oを持ったカスタマイズベースボード
  • アドオンカード(ベースボード上のM.2フォームファクタなど)
  • ベースボード上で動作するソフトウェア

フォームファクタ

口で言うのは簡単ですが、厄介な問題は細かいところにあります。 SBCはアプリケーションによりその仕様が決められるのに対し、SOMはいくつかの状況で適切なものが変わり、顧客は選択された異なるSOMの要件に基づいてソリューションを開発しています。 このセクションでは、略語と主なフォームファクタについての概要を説明します。主要なフォームファクタはSGETによって定義されています。 SGETはArmアーキテクチャに重点を置いているため、我々もSGETの取り組みを注意深く見守っています。

SGET(Standardization Group for Embedded Technologies)

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SGeT Logo

Standardization Group for Embedded Technologies(略してSGET)は、組込みコンピュータ技術の独立した仕様を共同で開発する企業や組織からなる国際的な非営利団体です。 また、SGET e.V.は、ドイツの法律に基づいて組織された登録済みの技術・科学・教育団体です。 その目的は、組込み技術のオープンな業界標準を定義し、市場に出すためのプラットフォームを提供することです。

SGETの目標:

  • 高性能かつ低オーバーヘッドで組込み業界仕様を成長させるプラットフォームの提供
  • 欧州に限定しない真のグローバル志向
  • 官僚主義を排除した市場業界標準の定義
  • 全仕様への無料アクセスとダウンロード(制限なし)
  • 広くオープンな組織
  • 組込み技術(ハードウェア、ソフトウェア、システム、インターフェイス、メカニクス等)に関する技術仕様化策定/作業に従事する独立したグループ

2021年から、 ルネサスもSGET e.V.に加盟しています。 ルネサスとSGETがMPU設計における経験を共有し、何が必要かという現場の声をフィードバックすることが重要です。

SMARC(Smart Mobility ARChitecture)

SMARC®(「Smart Mobility ARChitecture」) は、低消費電力、低コスト、高性能を必要とするアプリケーションを対象とした、多用途の小型フォームファクタコンピュータモジュールです。

モジュールは通常、タブレットコンピュータやスマートフォンなど、多くの身近なデバイスで使われているものと同様にArm SOCまたは似たSOCを使用します。

モジュールサイズは2種類で、82mm x 50mmと82mm x 80mmと定義されています。

  • モジュールPCBは、薄型314ピン 0.5mmピッチ 直角ピンコネクタと嵌合する314エッジピンを備えています。
     
  • 第3仕様検討中
    最新の仕様は2.1で、現在SGETは新しい小型フォームファクタに取り組んでいます。
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Comparison between Full and Half Size SMARC Modules
図1:フルサイズとハーフサイズのSMARCモジュールの比較

OSM(Open Standard Modules™)

すべてのOpen Standard Modules™の理念は、小型で低コストの組込みコンピュータモジュールのための、新しく時代遅れにならない、汎用性の高い規格を作成することであり、以下の主要な特徴を組み合わせています。

  • はんだ付け、組み立て、テスト時に完全に機械加工が可能
  • コネクタなしでPCBを直接はんだ付けするために取りうる異なったパッケージ
  • あらかじめ定義されたソフトウェアおよびハードウェアインターフェース
  • ソフトウェアおよびハードウェアのオープンソース

Open Standard Module™(OSM)仕様は、最も一般的なMCU32、Arm、さらにx86アーキテクチャ用の組込みモジュールの開発、製造、配布を可能にします。 増え続けるIoTアプリケーションにとって、この規格は、モジュール式組込みコンピューティングの利点と、コスト、スペース、インターフェに関する要件の増加を組み合わせるのに役立ちます。 この規格はまた、SMARCや独自形状など、さまざまなフォームファクタの作成を可能にし、開発者が開発を容易に拡張できるようにします。

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Formfactor Variation based on OSM Standard
図2:OSM規格に基づくフォームファクタのバリエーション

独自のフォームファクタ

使用されているモジュールのほとんどは、まだ独自規格に基づいています。 OEMの顧客でさえ、プロセッシング・ユニットとアプリケーションを切り離すために、自社用のコンピュータモジュールを開発・製造し、開発を2つのグループに分けています。 独自のソリューションでは、SOCの機能を一切失わないように特定のSOCに焦点を当てのるか、あるいは、アプリケーション、またはある主要なポイント(例えば、サイズの縮小)を優先して開発するのか、選ぶことができます。

顧客にとっての利点

SOMやSBCを使う大きな利点は、必要な知識やリソースを分割できることです。 SOMやSBCを購入する場合、MPU設計の知識はMPU専門業者に委託するため必要ありません。 高速インターコネクト、高速接続、適合するコンパニオンチップの選択に頭を悩ませることがなくなりました。

ルネサスでは、お客様の開発をサポートするために2つのパートナープログラムをご用意しています。 RZパートナーエコシステムのプログラムは、RZ MPUをベースにしたすぐに使えるパートナーソリューションを提供し、お客様のボード開発を加速します。 一方、プリファードパートナープログラムは、RZファミリMPUとルネサスのアナログ、センサ、コネクティビティを搭載したハードウェア(BSPを含む)を、すぐにお使いいただける状態でお届けするハードウェア中心のパートナープログラムです。 どちらのパートナープログラムでも、顧客はハードウェアへの注力を減らし、製品の差別化に集中することができます。 また、どちらのパートナープログラムでも、消費者向けソリューションから医療機器を含むあらゆる産業用アプリケーションまで、幅広いアプリケーション向けのソリューションとハードウェアを提供します。

ルネサスRZパートナーエコシステムソリューションプリファードパートナープログラムで、最適なソリューションと最適なパートナーをご参照ください。

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