メインコンテンツに移動

How Renesas Design Standardization Saves Industrial Sensing Equipment Total Costs- Blog 2

画像
Akihiro Ooshima
Akihiro Ooshima
Technician
掲載: 2023年2月16日

部品を共通化することは、部品のコストダウンだけでなく、将来的なメンテナンス工数の圧縮にもつながるというメリットもあります。特にRX23E-Aが主要なターゲットとしている産業用センサ機器は、製品ライフサイクルが長く、仕様も多種多様という特徴がありますので、共通化するメリットも大きいと言えます。
共通化には、大きく分けて、二つの方向性があります。
一つは同一製品間での共通化です。もう一つの共通化は異種製品間での共通化です。同一製品間での共通化については、前回のブログをご参照ください。二回目の今回は、異種製品間での共通化に、RX23E-Aが貢献した事例についてご紹介します。

画像
異種製品間での共通化

「異種製品間の共通化は難しい」という話をよく聞きます。異種製品間での共通化が難しいのは、製品によって、コスト構造や必要な機能/性能が異なる場合が多いためです。そのため、共通化のために採用した部品が、必ずしも最適な部品ではないということもあり、それが設計者の悩みの種になったりもします。
このように対応が難しい異種製品間の共通化にRX23E-Aが貢献できた事例がございますので、ご紹介します。

[事例1 : 圧力計と温度計] 一つ目の事例は、温度計と圧力計の共通化です。
温度と圧力は、IAの現場で最も測定される物理量です。特に圧力計は、流量計測やレベル計測にも応用できるため、様々な現場で使用されます。そのため、温度計と圧力計の両方扱うメーカも多いようです。
温度計と圧力計は、どちらも微小なセンサ信号を扱うという点では共通していますが、必要となる回路機能は異なります。
IA向けの温度計でよく使われる温度センサは、熱電対と測温抵抗体(RTD)です。測温抵抗体には、さらに2線式(、3線式、4線式とあります。
圧力計で使われる圧力センサには、抵抗式や容量式、振動式などがありますが、抵抗式が主流です。RX23E-Aで測定可能なのは、主流の抵抗式になります。抵抗式には、製造方法によって、半導体方式や金属ゲージ方式、ひずみゲージ方式などがありますが、抵抗ブリッジを応用しているという点では共通しています。
このような様々なセンサに対応する必要がある温度計と圧力計の共通化に、RX23E-Aが貢献しています。RX23E-Aは、励起電流源(IEXC)やバイアス電圧生成回路(VBIAS)、リファレンスバッファ(RBUF)、ローサイドスイッチ(LSW)など温度計測と圧力計測に必要な機能を一通り搭載しています。これらRX23E-Aに搭載されている機能を使うことで、下図のように温度計と圧力計の共通化が図れました。

画像
Example1

[[事例2 :ポータブルセンサと定置式センサ]
2つ目の事例は、定置型センサとバッテリ駆動のポータブルセンサの共通化です。
バッテリ駆動のポータブルセンサはその用途から低消費電力であることが要求されます。一方で、定置型センサは、多くの場合、ポータブルセンサよりも高い精度や高速性能が要求されます。ADCやアンプのノイズ性能や高速性能はデバイスの消費電流に比例します。従って、低消費電力を要求する場合と高精度や高速性能を要求する場合では、異なるデバイスを使うのが一般的です。
このような要求が相反する定置型センサとポータブルセンサの共通化に、RX23E-Aが貢献しています。RX23E-AのΔΣADCは、ノイズ性能に優れるノーマルモードと低消費電力性能に優れるローパワーモードを備えています。消費電流は、ノーマルモードが1mA程度に対して、ローパワーモードノーマルモードは400uA程度となります。ローパワーモードを使い分けることで、下図のように定置型センサとポータブルセンサの共通化が図れました。

画像
事例2

[事例3 : インジケータとアンプ内蔵センサの共通化]
3つ目の事例は、アンプ内蔵型センサとインジケータの共通化です。まずは、アンプ内蔵型センサとインジケータについて簡単に説明します。
狭い場所や振動が激しい場所など、測定対象によっては、大きなサイズのセンサを設置するのが難しい場合があります。そのような場合、センサは測定対象の直近に設置して、インジケータは測定対象から離れた場所に設置することになります。このようにセンサとインジケータをセットで使用する場合、センサ側とインジケータ側の構成は、下記の二つの構成に分類することができます。

  • アンプ分離型構成:センサ側にはセンサ素子もしくはセンサアセンブリだけがあり、必要な信号処理は全てインジケータ側で行う
  • アンプ内蔵型センサ:センサ側にシグナルコンディショナが搭載されており、センサ側でも信号処理を行う
画像
事例3-1

*1 ここでのセンサとは、電子回路が含まれないセンサ素子もしくはセンサアセンブリのことを指しています。

アンプ内蔵型センサとは、右図のセンサ側に示すように、センサとシグナルコンディショを一体化した構造を有しています。アンプ分離型構成もアンプ内蔵型構成も、同じセンサを使う場合が多いので、共通化したいというのは自然な考えです。
共通化にあたり、課題になるのは、アンプ内蔵型センサに搭載する部品の取捨選択です。アンプ内蔵型センサは、限られた狭いスペース内に電子部品を実装する必要があります。理想はオペアンプなどのアナログ部品だけでなく、デジタル部品も搭載して、デジタル化した信号をインジケータに送ることです。デジタル化した信号を送ることで、アンプ分離型では度々課題になる外乱ノイズに悩まされることもなくなります。ただし、現実はスペースの制約で、オペアンプなど最小限のアナログ部品だけを実装する場合も多いようです。
RX23E-Aは、このような実装スペースの課題を解決すると共に、共通化にも貢献しています。RX23E-Aは、高精度24ビットΔΣADCとMCUを小型パッケージにワンチップ化しています。そのため、アンプ内蔵型センサのシグナルコンディショとしてはもちろんのこと、インジケータのシグナルコンディショおよびMCUとしても使用可能です。従って、下図のようにRX23E-Aを使うことで、インジケータとアンプ内蔵型センサの共通化が図れました。

画像
事例3-2

以上3つの事例をご紹介しました。
共通化の難しいところは、コモディティ化と差別化とのバランスです。共通化は突き詰めるとコモディティ化にも繋がり、市場からの要求にフレキシブルに対応できなくなる恐れがあります。従って、共通化の際は仕様に余裕がある部品を選定したいところですが、一方でオーバースペックな部品はコスト増を招く恐れもあります。どの辺でバランスをとるのかは難しいところです。RX23E-Aは、様々な要求にフレキシブルに対応できるように、以下の通り、複数のラインナップを用意しております。

  • ΔΣADCの搭載数:1unit版, 2unit版
  • 動作温度範囲:-40 to 85℃, -40 to 105℃
  • Package : 48ピンQFP, 40ピンQFN
  • ROM/RAM : 256KB/32KB, 128KB/16KB

これらRX23E-Aの仕様が、共通化だけなく、差別化にも繋がれば幸いです。

この記事をシェアする