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人事トップに聞く、グローバルな成長を支える独自の取り組みとは

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Julie Pope
Julie Pope
Senior Vice President & Chief Human Resources Officer
掲載: 2024年3月8日

人事トップに聞く、グローバルな成長を支える独自の取り組みとは

ルネサスは、グローバルな顧客基盤を持つ「日本の大企業」から、世界中に拠点を持つ「真のグローバル企業」へと変貌を遂げつつあります。この急速な成長は、一連の戦略的な企業買収によってもたらされたものであり、さまざまな国や企業文化から集まった従業員をどのように統合していくかなど、ビジネスのあらゆる側面に変化をもたらしています。

今回は、ルネサスがどのようにエンジニアのスキル不足に対応し、柔軟な働き方をサポートし、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)のイニシアチブを推進しているか、Dialog Semiconductor社の買収によりルネサスに参加した最高人事責任者のJulie Popeに話を聞きました。

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質問: 人事という仕事のどのようなところに惹かれたのですか?

Julie: 人事に魅力を感じるのは、数理科学と心理学という私自身のバックグラウンドを組み合わせて活かすことができるためです。これらの知識に基づき、データを理解し、強力なビジネス感覚を身につけ、さらには人間の行動への理解力も融合させることで、組織内の課題を明確化し、チームが適切な解決策を戦略として導き出せるようになるのです。

私はキャリアを通して、ポジティブな職場環境を作るチームや、多様なグローバル集団を効果的にサポートするチーム作りに挑戦することに喜びを感じるようになりました。

私はアメリカ、フランス、オーストラリア、イギリスなどのさまざまな国に住み、仕事をすることができたため、異文化を肌で感じる機会に恵まれました。この経験は私の視野を広げただけでなく、さまざまな背景を持つ人々と打ち解ける能力を身につけるためにも大いに役立ちました。多様な文化の中で仕事をするのは、常に自分の役割を進化させる挑戦であり、私にとって豊かな経験であり続けています。

質問: 自身のキャリアの中で、人事の仕事はどのように変化してきましたか?

Julie: 私はキャリアを通じて、人事の役割が大きく変化するのを目の当たりにしてきました。人事という仕事は、主にサービスを提供する機能から、よりアドバイザー的な組織へとシフトしています。つまり、今やビジネスにおいて欠かせない存在になったということです(以前は必ずしもそうではありませんでした)。これは、成功の原動力は人材であるという方向へ企業の理解が進化してきたことを表しています。そんな中で、人事は従業員を効果的に採用し、報い、意欲を高め、報酬を支払い、エンゲージメントを高める上で重要な役割を果たしているのです。

ルネサスではM&Aが頻繁に行われるようになり、人事の動き方にも大きな変化が見られるようになってきました。以前は、人事部門がM&Aに関与するのは買収プロセスの遅い段階からでしたが、現在ではM&Aの初期段階から関与し、M&Aの人材面のあらゆる要素を徹底的に理解し、検討するよう努めています。このような積極的なアプローチを通じて、従業員のニーズが最初から意思決定プロセスに組み込まれるようになったため、関係者全員にとって、よりスムーズな移行が可能になり、良い結果に貢献することができます。

質問: ルネサスはここ数年、多くの企業を買収してきました。2024年2月にはAltium社にオファーを出しました。同社のオープンなクラウドベースのソフトウェアツールプラットフォームを入手することで、ルネサスの設計能力を充実させたい意向です。このような場合の従業員の統合において、あなたのチームはどのような役割を果たしていますか?

Julie: 買収というダイナミックな出来事において、私たちが舵取りを行う最も重要な場面のひとつが、多様な文化の統合です。各買収企業にはそれぞれ独自の組織文化があるので、それらをルネサスの組織文化と調和させるのは、チャンスでもあり複雑な課題でもあります。

私のチームは、この統合プロセスにおいて、極めて重要な役割を担います。買収した組織と緊密に連携し、一貫した従業員体験を促進できる分野を迅速に特定します。これを達成するには、各種のツール、システム、プロセス、ポリシーを統合し、新たに統合される事業体全体でシームレスなオペレーションを実現することが大切になります。また、ルネサスの企業文化への理解を徹底し、グループや組織全体に積極的に浸透させることも重要です。

さらに、私たちはリーダーの皆さんとともに、新たに統合されたチームの総合的な価値を効果的に発揮できる組織構造の設計を支援ます。

ここで重要なのは、画一的なアプローチを押し付けないことです。私たちは、買収した組織がもたらす強みや慣行を評価し、既存のルネサスの体制よりも別のアプローチの方が補完的または優れている可能性がある場合には、それらを確実に組み込むよう努力しています。

要するに、多様な文化の統合を目指す私たちのアプローチは、協業、理解、適応性を育むことにあります。拡大した組織の中で多様な視点や慣習を受け入れることにより、私たちは、進化し続けるグローバル市場での競争力を維持するだけでなく、強化していくことができるのです。

質問: ルネサスは過去には「グローバルに事業を展開する日本企業」として見られていましたが、現在では明らかにグローバル企業であると言えます。人事部門として、こうした変化をどのように促進してきたのでしょうか?

Julie: 当初は、ルネサスのグローバルなアイデンティティの進化に合わせて、人事体制を見直す必要性を認識していました。そのプロセスの一環として、人事部門を再編し、グローバルなアプローチを推進するのに適した組織とする一方で、必要に応じて各拠点での局所的な適応も可能にしました。

以来、私たちは、グローバルな体制へ移行するために、各種の重要なアクションをとってきました。そのひとつが、人事アプローチの一貫性を推進することにより、さまざまな国の従業員が可能な限り一貫した従業員体験を得られるようにするというものでした。そのために、業績と報酬の仕組みの合理化やグローバル化を通じて、国境を越えた公平性と透明性を促進しました。

さらに、組織構造の変更も積極的にサポートし、真の社内協業を推進してきました。サイロを取り払い、さまざまな地域にまたがるチーム間のシームレスなコミュニケーションや協力を促進することで、グローバル規模でのコラボレーションやイノベーションの文化を醸成する取り組みに貢献しています。

最後に、私たちは、業務を継続的に改善・調整するために、アンケートやその他のヒアリングの仕組みを通じて従業員からフィードバックを集めることを重視しています。従業員からの意見に耳を傾けることにより、ルネサスの人事戦略が多様な従業員の変わり続けるニーズや期待に機敏に対応できるようになるのです。

質問: 半導体業界は、大幅なスキル不足に直面しています。優秀な人材を獲得し、維持するための戦略を教えてください。

Julie: 熟練した人材が求められている半導体業界において、優秀な人材を採用して維持するための当社の戦略は、現在働いている従業員にも、これから入社を希望される方にも双方に共感してもらえるような魅力的な提案をすることです。

ルネサスは、最先端のエンジニアリングに取り組むことのできるエキサイティングな組織です。イノベーションとグローバルな成長を重視するルネサスは、ダイナミックで刺激的な職場環境を社員に提供しています。

私たちは、柔軟な組織を作ることの重要性を認識しており、これは競合他社と一線を画す大きな要素です。

当社では可能な限り、他社では利用できないような柔軟な勤務形態を社員に提供しています。例えば、フレックスタイム制、リモートワーク、カスタマイズ可能な福利厚生など、従業員の多様なニーズに対応できるよう努めています。

また、大学での採用活動や新拠点の設立にも積極的に取り組むことで、強力な人材パイプラインを構築しています。つまり、次世代を担う人材に投資し、新たな地域への進出を拡大することで、熟練したプロフェッショナルの安定的な流入を確保しているのです。

最終的には、真のグローバル組織の成功に貢献する機会を社員に提供することを通じ、目的意識を持って楽しく仕事をしてもらうことを目指しています。半導体技術の世界をリードするプロバイダとして、ルネサスの未来の一翼を担うことに誇りを持ってもらうよう働きかけています。

質問: ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)について、長期的な展望をお聞かせください。また、これらはテクノロジ業界にとって今後も必要なことだとお考えでしょうか?

Julie: 絶対に今後も必要な取り組みとして残り続けると思います。

こうした分野の進展は時に遅く、困難なものに感じられるかもしれませんが、私はDEIの取り組みが革新性、創造性、そして組織全体の成功を推進するために極めて重要だと確信しています。

DEIをめぐる議論が時に騒がしくなったり、不快になったりするのは自然なことだとは思いますが、私はこの不快感は有意義な行動や進歩のためのきっかけになると捉えています。不快感を受け入れることは、それまでの慣行や偏見を批判的に検証することにつながり、最終的には今まで以上にインクルーシブな行動や方針を実現できるようになります。

私は、ダイバーシティやインクルージョンを推進する上で、組織内に変化をもたらす戦略を積極的に模索したいと考えています。そうした戦略のひとつが、DEIの取り組みに関する説明責任を、組織のより深い部分にまで根付かせることです。各個人や各チームが多様でインクルーシブな環境を醸成する施策にそれぞれで責任を持てば、DEIを組織の全レベルで最優先事項として位置付け続けることが可能になります。

私たちは、組織内でロールモデルとなる多様なリーダーシップチームを育成することの重要性も認識しています。これを達成するために、私たちは多様な人材の育成に取り組むだけでなく、多様な採用慣行も取り入れています。多様なマネジャーやリーダーを持つことは、多様な視点をビジネスにもたらすだけでなく、組織全体のインクルージョンを育む上での模範ともなります。

質問: 最後に、求職者と面接する際、ルネサスが他の半導体企業と異なる点をどのように伝えますか?

Julie: ルネサスの大きな特徴のひとつは、「違いを生み出す能力」です。求職者には、ルネサスで働くことはチャレンジングで、仕事のペースも速く、やりがいがあると伝えるようにしています。

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