産業分野における欠陥検出は、特に電子機器製造業界で非常に重要なアプリケーションです。 しかし、さまざまな欠陥がある為、従来のマシンビジョンアルゴリズムでは、欠陥の特徴を完全にモデル化して移行することは困難でした。 その為、従来のマシンビジョンアルゴリズムは、再利用性が低く、作業条件を区別する必要があり、多くの人件費を浪費しています。 その結果、ディープラーニングを使用することで、特徴抽出と位置特定において非常に優れた結果を出すことが可能です。多くのエンジニアが欠陥検出の分野においてディープラーニングアルゴリズムを導入し始めています。
PCB基板の欠陥検出を例に、ルネサスのディープラーニングアルゴリズムの欠陥検出分野への応用を紹介します。
ここでは、YOLOv3-tinyディープラーニングアルゴリズムを使用した欠陥検出ソリューションを紹介します。 YOLOv3-tiny は軽量の物体検出アルゴリズムです。 YOLOv3-tinyのネットワーク構造は以下の通りです。
元のYOLOv3モデルと比較して、YOLOv3-tinyは一部のレイヤーとパラメーターを削減し、組み込みデバイスの推論速度と効率を向上させます。 このアルゴリズムは、高いリアルタイム性能と優れた精度を備えており、産業用欠陥検出アプリケーションに非常に適しています。
欠陥検出ソリューションは、RZ/V2LおよびRZ/V2M MPUチップに実装できます。 実装プロセスを次の図に示します。
ONNX は、機械学習モデルを表現するために構築されたオープンソースのフォーマットです。
ONNX は、演算子の共通セット、機械学習モデルとディープ ラーニング モデルの構成要素および共通のファイル形式を定義し、AI 開発者がさまざまなフレームワーク、ツール、ランタイム、コンパイラでモデルを使用できるようにします。
RZ/V2M MPUにおける本アプリケーションのハードウェア設定は以下の通りです。
RZ/V2L MPUにおける本アプリケーションのハードウェア設定は以下の通りです。
YOLOv3の欠陥検出ソリューションは、RZ/V2MおよびRZ/V2Lに実装され、低消費電力(5W以下)を実現できます。RZ/V2Mで52fps、RZ/V2Lで35fps(いずれも前処理・後処理は含まない)という高性能な推論効果があります。
組み込み側の欠陥検出は、電子機器製造におけるPCB欠陥検出に使用されるだけではなく、幅広いアプリケーションにも使用されます。 以下に、いくつかの一般的な例を示します:
- 産業オートメーション: 製造プロセス中に、誤った製品の組み立て、部品の欠落、損傷などの製品の欠陥をリアルタイムで検出できます。
- 農業分野: 農業生産において、病気、害虫、果物の変形など、作物や野菜の欠陥を検出するために使用できます。
- セキュリティ監視: 建物や公共の場所での異常な物体、侵入、安全上の危険の検出など、セキュリティ監視システムの安全検出に使用できます。
- 医療用画像: 医療分野において、疾患マーカー、腫瘍、異常組織などを検出するための医療用画像分析に使用できます。
- 車両検出: 高度道路交通システムにおいて、交通流の監視、違法車両の検出、駐車場管理などの車両検知に使用できます。
人工知能技術の継続的な進歩に伴い、工業製造、セキュリティ、スマートリテール、サービスロボットなどの多くの分野で、より多くのアプリケーションとソリューションを立ち上げることが期待されています。