近年、HMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)機器に求められる要件はより高度なものになっています。操作性、応答速度、高解像度のディスプレイ、3Dグラフィックスの描画等々、スマートフォン操作に慣れたユーザを満足させる必要があります。
このような高性能のHMI機器を実現するためには、マイクロプロセッサー(MPU)が不可欠ですが、MPUを搭載したカスタムボードを開発するには、多くの費用とリソースが必要となります。大規模なプロジェクトでは、これらの資源を調達できるかもしれませんが、中・小規模のプロジェクトでは、必要十分な資源を得ることができないケースが多いでしょう。また、製品をタイムリーに市場投入することも求められます。
これらの課題を抱えている開発者の皆さまに、RZファミリ搭載のSoM(システムオンモジュール)やSBC(シングルボードコンピュータ)を活用した開発を提案いたします。
図1. SoMのイメージ
SoMは、MPU、メインメモリ、電源など主要な部品を予め搭載したボードで、周辺機器に直接接続するためのコネクタ類は持っておらず、コネクタ類は別途準備するキャリアボード側に配置されます。ユーザはキャリアボードを自作する必要がありますが、周辺機器とのインターフェースを自由に配置することが可能です。
図2. SBCのイメージ
SBCは、MPU、メインメモリ、電源など主要な部品だけではなく、周辺機器とのコネクタまで全て1枚のボードに搭載したものです。SoMと違いキャリアボードを準備することなく、周辺機器との接続が可能です。しかしながら、コネクタの追加などは困難になります。
SoMやSBCを使うメリットは主に2つあります。
まず、PCBの設計が不要ということです。カスタムボードを開発するには、ユーザは配線の非常に難しいシステムクロック、DRAMとのタイミング設計、ノイズを考慮した基板シミュレーション等を行う必要があります。一方、SoMやSBCではボードベンダが既にこれらの検証を行っているため、ユーザはこれらの難易度の高い設計を行う必要はありません。
図3. PCB設計のイメージ
2つ目のメリットは、カスタムBSP開発が不要になることです。BSPはボードベンダから提供されるため、ユーザは製品の差異化要因となるアプリケーションの開発に注力することが可能になります。
図4. SoM/SBCのBSPイメージ
上記2つのメリットにより、ボード・ソフトウエア設計に関する費用・リソースの削減、開発期間の短縮が可能となります。すなわち、SoM、SBCは費用、リソース、開発期間の全てを削減できるソリューションであることが分かります。
上記のようなメリットが得られるSoM、SBCですが、ユーザのニーズにあった機能、性能、インターフェースを持ったボードがなければ、利用するのは難しいでしょう。ルネサスのRZファミリには様々な機能、性能、I/FをもったMPUをラインナップしており、さらにそのMPUを搭載したパートナー製の量産可能なボードが数多く準備されています。
是非RZ パートナエコシステムソリューションからあなたの開発に最適なボードを見つけてください。