メインコンテンツに移動

超低オン抵抗!マイルドハイブリッド車向けパワーMOSFET ~車載MOSFET編~

画像
Keisuke Furuya
古谷景佑
技師
掲載: 2021年11月8日

みなさま、こんにちは。ルネサスエレクトロニクスの古谷と申します。車載パワーMOSFETのマーケティング・お客様サポートを担当しております。

 ルネサスブログではパワーデバイス製品をリレー方式で紹介しております。前回は、xEVの省エネ化、高性能化に応えるIGBT製品について紹介しましたが(まだ読んでいない方はこちら)、今回は私の担当製品の車載パワーMOSFET製品についてお話しします。

 
世界的な地球温暖化対策の観点から各国で車の電動化が叫ばれています。日本政府も「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する。」と表明しましたね。日本政府が言及する電動車とは電気自動車や燃料電池自動車以外にもハイブリッド車、プラグインハイブリッド車も含まれますが、欧州では電動化に向けてより強い姿勢を見せています。2021年7月欧州グリーンディールに向けた取り組みの中で、2035年までにハイブリッド車を含めたガソリン・ディーゼル車の販売を事実上禁止する、という方針を打ち出しました。

世界的にはハイブリッド車・電動車への動きが加速していますが、皆さまはマイルドハイブリッド車というものをご存じでしょうか?ハイブリッド車・電動車で採用されている電源電圧は数百V以上とかなり高圧であり、世界的に60V以上は人体への危険があるので、厳格な安全基準が適用されるケースが多く、その分コストもかかります。そこでコストを抑えつつCO2排出量の削減を実現する為に開発されたのが48V電源を搭載したマイルドハイブリッド車です。電動車への移行は政治的な側面もあり、部品メーカーやカーメーカーでも完全な電動化には時間がかかり、引き続きマイルドハイブリッド車もある程度のシェアを残していくのではないかと言われています。本ブログではこのマイルドハイブリッド車向けのパワーMOSFETをご紹介したいと思います。

ルネサスではマイルドハイブリッド車用の48V電源システム向けパワーMOSFET ANMシリーズ製品をラインナップしております。昨年最新ウエハプロセスであるANM2製品RBA250N10CHPFをリリースしました。こちらの製品はTO-263 7pin SHLパッケージに搭載されており、低オン抵抗だけでなく熱抵抗の低減も実現しております。ANM2製品は日本だけでなく世界中のお客様に主にモーターコントロール用途でご採用いただいております。現在ANM2製品の次世代製品としてANM3製品を開発中です。

画像
48Vシステム向けパワーMOSFETウエハプロセスロードマップ
画像
RBA250N10CHPF-4UA02製品スペック

これまでルネサスでは低オン抵抗の実現に注力してきました。次世代のANM3ではさらなるオン抵抗改善の為に当社独自のプロセス技術の工夫により、Ron性能はANM2と比べ、100V品で約20%低減、80V品で約40%低減することが可能です。パッケージも従来のTO-263 7pin SHL (Short Head Lead)よりもさらにパッケージ抵抗を低減できるTO-LL (Leadless)パッケージを適用することで、オン抵抗はANM2製品の1.9mΩから大幅に小さくすることが出来ます。これらによりANM3製品はトップクラスのRon性能を実現可能です。

画像
ANM3製品の特長

このANM3製品のサンプルについては、プロトサンプルは2021年11月、WSはQ4/2022年、CSはQ4/2023年を予定しています。
48Vシステム向け以外にもルネサスでは12V、24Vシステム用にパワーMOSFET製品をラインナップしていますので、ご興味のある方はこちらからご覧ください。ANM3製品と同様にサンプル対応可能ですので、もしご興味がありましたら是非お問い合わせください!!

パワーデバイス製品のリレー紹介は今後も配信していきます。
次回は産業用パワーMOSFET製品の紹介を予定していますので、どうぞお楽しみに!

この記事をシェアする