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Yuki Inoue
井上由紀
主管技師
掲載: 2021年12月20日

概要

私たちが開発しているAIコンパイラは、学習済みのディープニューラルネットワークを入力として、Renesas製 R-Carで高速に動作する実行コードを出力するソフトウェアです。

背景

組み込み用途のハードウェアでは演算を行うハードウェア資源や消費電力において厳しい制約があります。そのため、組み込み用途に用いられるハードウェアを用いてディープニューラルネットワークの推論処理をリアルタイムで実行することは非常に難易度が高い課題と言えます。R-Car V シリーズでは、デバイス上で効率よくディープニューラルネットワークの推論処理を実行するために、CPUおよび、ネットワークの各レイヤの演算を専用に実施する専用のアクセラレータを搭載しており、ヘテロジニアスアーキテクチャを採用しています。

AIコンパイラに関しては、一般的なソフトウェアアーキテクチャとして、2つの“Front end” 、 “Back end”というコンポーネントに分けられます。(図参照)ディープニューラルネットワークはAIコンパイラの中で複数のレベルの中間表現に変換されます。 “Front end” では、ハードウェアに依存しないgraph IR に変換され、グラフの簡略化等のグラフ最適化を実施します。また、 “Back end”では、ハードウェアに依存する最適化や、コードの生成等を実施してます。 “Front end” , “Back end” のコンポーネントともに、3rd partyと連携して開発をすすめています。

具体例

さまざまな学習済みのディープニューラルネットワークを用いて、R-Car V seriesデバイスのヘテロジニアスなアーキテクチャを最大限に活用して、ネットワーク実行を最適化するアルゴリズムの開発をすすめています。さらなる性能向上のために、最新の学術論部を理解して、開発エンジニアと技術議論を活発に行うことも必要で、本分野に意欲ある人材を求めています。

まとめ

深層学習は、近年とくに研究が盛んにおこなわれている技術分野の一つで、進化を続けています。ルネサスは、最先端の研究成果を取り込んだ開発環境を提供し、自動運転技術の実現に貢献していきます。

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