ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、このたび、第3世代の32ビットRX CPUコア「RXv3」を開発したことを発表します。ルネサスは、このCPUコア「RXv3」を、新たなRXマイコンに搭載し、2018年第4四半期末までに、サンプル出荷を開始する予定です。この新しいマイコンは、リアルタイム機能への対応や安定性の向上を実現するため、次世代型のスマートファクトリ、スマートホーム、およびスマートインフラ機器で求められるモータ制御や産業用途のニーズを満たすことができます。
革新的なRXv3コアは、実績あるルネサスのRX CPUコア・アーキテクチャの「CoreMark®/MHz値」を、最大5.8まで向上し(EEMBC®ベンチマークによる測定)、業界最高レベルの性能、電力効率、応答性を実現します。RXv3コアは、現行の32ビットマイコンRXファミリのRXv2およびRXv1 CPUコア互換性があります。共通のCPUコア命令セットを採用しており、バイナリの互換性があるため、前世代のRXv2およびRXv1コア用に作られたアプリケーションも、RXv3ベースのマイコンでそのまま使用することが可能です。また、RXv3ベースのマイコンを用いる際には、RXファミリ開発環境を継続して使用し、組み込みシステムの開発を実施できるというメリットもあります。
ルネサスのIoTプラットフォーム事業部、プロダクトマーケティング担当Vice PresidentであるDaryl Khooは、次のように述べています。「現在のような産業IoT(モノのインターネット)時代においては、システムの複雑化に伴い、性能や電力効率の向上を求めるニーズが高まっています。このような現状を踏まえた最先端のRXv3コアテクノロジは、多種多様な組み込み用途に柔軟に対応することができます。EEMBCのCoreMark/MHzプロセッサのベンチマークにより、RXv3コアは、あらゆる競合CPUコアを上回る性能を備えていることが実証されています。つまり、ルネサスは今回も、次世代の組み込みシステムにおいて卓越したMCU性能と電力効率を実現することができます。」
RXv3 CPUコアの主な特徴
RX CPUコアは、電力効率を最適化する設計がなされている一方で、高性能を引き出す製造プロセスが採用されています。新RXv3 CPUコアは、基本的にはCISC(複合命令セットコンピュータ)アーキテクチャであり、これはRISC(縮小命令セットコンピュータ)アーキテクチャよりもコード効率の面で大きなメリットがあります。RXv3はパイプラインの活用により、RISCに匹敵するほど優れたIPC(1サイクルあたりの命令数)処理能力を備えています。新RXv3コアは、実績あるRXv2アーキテクチャをベースに構築されているだけでなく、パイプライン、レジスタ一括退避機能のオプション、および倍精度浮動小数点ユニット(FPU)機能が強化されており、極めて高い処理能力、電力効率、コード効率が得られます。
卓越した処理能力と電力効率
- RXコアの5段スーパースカラ・アーキテクチャは機能の強化により、高い電力効率を維持しながら、より多くの命令をパイプラインで同時に実行することができます。
- RXv3コアは、「CoreMark/mA値:44.8」を達成する初の新RX600シリーズを実現します。省電力のキャッシュ設計手法を採用しているため、オンチップフラッシュメモリの読み出し(命令フェッチ)にかかるアクセス時間と消費電力をいずれも削減できます。
高速な応答時間
- RXv3コアは、割り込み応答時間を大幅に高速化します。シングルサイクルのレジスタ一括退避機能に対応する新たなオプション機能も用意されています。
- 最大256バンクを備えた専用のレジスタ退避バンクを利用することで、割り込み処理のオーバーヘッド(通例、モータ制御などのリアルタイム用途で使われる組み込みシステムで必要となる)を最小限に抑えることができます。
卓越した倍精度FPU機能
- モデルベース開発(MBD)の手法は、すでに、多種多様なアプリケーション開発に導入されています。RXv3に採用された倍精度FPU(DP-FPU)により、高精度制御モデルのマイコンへの移植も容易化することができます。
- RXv3コアでは(RXv2コアと同様に)、DSP/FPU動作とメモリアクセスを同時に実行すれば、信号処理能力が大幅に向上します。
RXv3コアの詳細については、https://www.renesas.com/products/microcontrollers-microprocessors/rx/rx-features.htmlをご覧ください。
以 上
*「CoreMark」は、EEMBCの登録商標です。「EEMBC」は、Embedded Microprocessor Benchmark Consortiumの登録商標です。
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