~5V対応品として最高レベルの1160CoreMark®の高性能を実現。専用アクセラレータを搭載し、サーボモータクラスの高度な制御が実現可能~
2019年5月16日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:呉 文精、以下ルネサス)は、このたび、RXの第3世代となる32ビットCPUコア「RXv3」を搭載した第二弾製品として、モータ制御用RXマイコンの最上位となる「RX72T」グループを発売します。新製品は、動作周波数200MHzで、5V対応品としては最高レベルの1160CoreMark(注1)の高性能を達成しました。モータアプリケーションの中でも産業用ロボットなどの複雑な動きを実現するためには、モータの位置、方向や速度、トルク(力)を高精度に制御する必要があり、こうしたシステムは、サーボモータとサーボドライバが対になったサーボシステムとして普及しています。RX72Tは、このサーボシステムの中でも比較的ローエンドながら、需要が急速に高まっている小型の産業用ロボットのサーボモータ制御を実現するため、位置制御と速度制御を高速演算する専用アクセラレータを搭載しました。これにより、電流制御ループ演算1.5μs以下(注2)を実現し、従来サーボシステムを購入するしか選択肢の無かったユーザに対し、独自にサーボシステムを開発できるという、新たな選択肢を提供します。

 新製品は、RX23T(40MHz)、RX24T(80MHz)、RX66T(160MHz)の上位製品であり、5V動作のモータ制御用マイコンとしてソフトの互換性に優れる幅広いラインアップが拡充しました。新製品は、本日より量産受注を順次開始し、量産出荷は2019年4Qを予定しています。参考価格は、512キロバイトのフラッシュメモリ、100ピンパッケージ品「R5F572TFBDFP」の場合、10,000個一括購入時に、1個4.06米ドル(税別)です。

 ルネサスのインダストリアルソリューション事業本部 IAソリューション事業部の事業部長、傳田 明は、次のように述べています。「今回、小型の産業用ロボットであれば、実績も豊富で使い勝手のよいRXマイコンを使用して、極めて低コストに設計できる可能性が広がりました。ルネサスは、ロボットのさらなる普及を加速することにより、生産効率の向上や省人化対策に貢献すると確信しています。」

 RX72Tが産業用ロボット等のモータ制御に求められる複雑・高速な演算を行うために、専用のアクセラレータとして搭載したIP(Intellectual Property)は、「三角関数演算器」および「レジスタの一括退避機能」です。CPUを使ったソフトウェア処理は演算時間がかかってしまうという課題がありますが、演算のすべてをハードウェア化すると、ユーザ独自のモータ制御の自由度が損なわれます。そこでルネサスは、ソフトウェア処理で演算時間を要する三角関数演算のみをハードウェア化し、演算を高速化しつつ設計の柔軟性を維持しました。また、レジスタの一括退避機能により、モータ制御に必ず入る割り込み処理を、より高速に、より正確に行うことが可能になり、演算性能を向上しました。

「RX72T」グループの主な特長は次の通りです。

  • 性能
    • 動作周波数最大200MHz、5V対応マイコンとしては最高レベルの1160CoreMarkの高性能
    • 専用アクセラレータとして、単精度浮動小数点対応の三角関数演算器(sin/cos/arctan/hypot)およびレジスタの一括退避機能を搭載し、ベクトル制御の電流制御ループ演算で1.5μs以下の性能を実現
    • インバータ制御タイマは、200MHz PWM(最大: 3相相補4ch or 5相相補2ch or 単相相補10ch)
    • RX72Tは、RXv3コアを搭載したRX66Tと、完全上位互換であり、RX66Tから容易に移行が可能
  • セーフティとセキュリティ機能
    • システムのフェイルセーフ機能をハードウェアで搭載
    • 通信データの暗号・復号に使用可能なハードウェア暗号モジュールを搭載
  • 開発支援
  • 組み込みAI(e-AI)による故障検知
    • モータの故障検知用e-AIソリューションがRX72Tにも適用可能。モータの状態を示す特性データ(電流値、回転数)をそのまま異常検知に使用することにより、モータ制御とe-AIによる異常検知を1つのマイコンで実現

RX72Tの詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/products/microcontrollers-microprocessors/rx/rx700/rx72t.html

ルネサスのモータ制御ソリューションについては、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/solutions/proposal/motor-control.html

以 上

(注1)CoreMark:米EEMBC(Embedded Microprocessor Benchmark Consortium)がCPUコアの評価に特化したベンチマーク・テスト。データの読み出しや書き込み、整数演算、制御演算などを実行させるC言語プログラム群のこと。動作周波数当たりの性能数値は、RXファミリ用C/C++コンパイラ CC-RX V3によるスコア

(注2)ルネサス独自のベクトル制御プログラムにおける電流制御ループ(相電流値取得/クラーク変換/パーク変換/電流PI制御/逆パーク変換/逆クラーク変換/空間ベクトル変調/PWM設定)の実行時間

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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