ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO:柴田 英利、以下ルネサス)は、2019年7月よりサンプル提供してきたSOTBTM(Silicon On Thin Buried Oxide)プロセス技術を採用したエナジーハーベスト(環境発電)用の組み込みコントローラを、このたび「REファミリ」の新名称とし、第一弾製品となる「RE01グループ」の量産を予定通り開始しました。これに合わせて、本日より、評価キット「RE01グループ Evaluation Kit」を発売します。これによりユーザはRE01グループを使って、エナジーハーベストで動作するシステムをすぐに評価できるようになり、本キットがバッテリ交換や充電を不要とするIoT機器開発を強力にサポートします。
本キットに含まれる評価ボードには、RE01ならびに、エナジーハーベスト素子用インタフェース、二次電池接続用インタフェース、センサボードなどを容易に拡張評価するためのArduino互換インタフェースや、無線などを拡張評価するためのPmodTMコネクタを搭載しています。また、表示機能をすぐに評価できるよう超低消費電力MIP液晶(注1)拡張基板を同梱しています。ソフトウェアも、Arm®のソフトウェアインタフェース規格 CMSIS(Cortex Microcontroller Software Interface. Standard)に対応するドライバソフトウェアを用意。さらに、バッテリメンテナンスを不要とするパワーマネージメントのリファレンスとなるサンプルコードとアプリケーションノートも提供します。サンプルコードは、超低消費電力A/Dコンバータ、デジタルフィルタおよびFFT(高速フーリエ変換)、ウェアラブル機器向け2DグラフィックMIP液晶表示、セキュリティ強化のためのセキュアブート、セキュアファームウェアアップデート用にも提供します。
これらにより、RE01グループによるエナジーハーベストの導入がシステムレベルで可能となり、バッテリメンテナンスを不要とする機器の開発を加速することができます。評価キットの参考価格は、344米ドル/個(税別)です。
なお、開発環境は高い性能とエネルギー効率を実現するIAR C/C++コンパイラが利用可能なIAR Embedded Workbench® for Arm と、無償のGNUコンパイラが利用可能なe2 studio(注2)に対応しています。
ルネサスの執行役員 兼 IoT・インフラ事業本部、SoCビジネスユニット長の新田啓人は次のように述べています。「エナジーハーベストは、電池のメンテナンスにかかる人手やコストを削減し、環境保護にもつながるエネルギー対策への抜本的な解決策の一つです。今回の評価キットの提供により、世界中のエンジニアがすぐに入手し評価できるようになったことは大変喜ばしく、エナジーハーベストによるIoTの普及が加速することを期待します。」
REファミリについて
ルネサス独自の画期的なSOTBTMプロセス技術を採用することにより、従来は不可能であった低アクティブ電流と低スタンバイ電流の両立および、低電圧高速動作を実現しています。これにより、32ビットの組み込みコントローラとしてのインテリジェントな機能を、光や振動、流量などの微量の環境発電で実現可能です。
RE01グループは、Arm Cortex®-M0+コアを搭載し、最大動作周波数64MHz、最大1.5MBの低消費電力フラッシュメモリ、256KBのSRAMを搭載しています。1.62Vの低電圧駆動が可能で、156ピンWLBGAパッケージ品、144ピンLQFPパッケージ品、100ピンLQFPパッケージ品をラインアップしています。さらに、エナジーハーベストコントローラ回路、超低消費電力14ビットA/Dコンバータ、グラフィックデータを回転・拡大・反転できる低電力回路を搭載しています。
これにより、生体モニタや屋外の環境センサに使用すれば、信号データのノイズ除去により正確にセンシングや判断をできるようになります。さまざまな用途での電池のメンテナンスが不要になることで、充電のわずらわしいウェアラブル機器、人手での電池交換や充電が困難なホーム、ビル、工場、農場のセンサなどIoT機器の普及に貢献します。
REファミリは、2020年以降、256KBフラッシュメモリ搭載の小型製品など新製品などを順次、展開予定です。ルネサスは今後も、SOTB技術を核に、電池のメンテナンスを意識することなく実現できるエナジーハーベストの普及を目指して、環境に配慮したスマート社会の実現を目指します。
REファミリについての詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/products/microcontrollers-microprocessors/re.html
RE01グループ Evaluation Kitの詳細は、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/products/software-tools/boards-and-kits/eval-kits/evaluation-kit-re01-1500kb.html
以 上
(注1)MIP(メモリインピクセル)液晶とは、待ち受け画像を表示し続けるためにほとんど電力を消費せず、特に省電力が求められるアプリケーション向けの表示デバイス
(注2)Eclipseベースのルネサス製統合開発環境
*Arm、CortexはArm Limitedの登録商標または商標です。
*Pmod は Digilent Inc.の商標です。
*IAR Embedded WorkbenchはIAR Systemsが所有権を有する登録商標です。
*SOTBは、ルネサスエレクトロニクス株式会社の米国およびその他の国における登録商標です。
*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。
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