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産業機器への機能安全対応を短期に実現する「RX111セーフティパッケージ」ソリューションを発売

~セーフティパッケージ第二弾、低消費電力マイコンへの機能安全対応強化で、センサ機器等に最適~

2015年9月2日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役会長兼CEO:遠藤 隆雄、以下ルネサス)は、欧州市場から拡大している産業機器向けの国際規格IEC61508に代表される機能安全に対応したセーフティパッケージ第二弾として、「RX111セーフティパッケージ」を、本日より発売します。

 自動車分野に加え、産業機器でも、機器の故障や事故の発生による工場稼動への影響や、人的被害による社会への影響、また経済的損失を防止するため、故障しても安全を維持できる「機能安全」への重要性が増しています。欧州機械指令 (注1)においても機器の機能安全への対応が求められています。ルネサスでは、自動車分野で培った機能安全規格に関する知識・経験と、マイコンの設計開発力を生かし、これら産業分野の機能安全の適用拡大に応えるため、産業分野向け機能安全ソリューションを強化しています。

 新ソリューションは、産業システムの状態監視の重要性の増大に伴い、急速に需要が高まりつつあるセンサ機器や、ドライブ制御、機械的安全スイッチの電子化対応等の応用に適した、低消費電力マイコンに対応する機能安全ソリューションです。内容は、①32ビットマイコン「RX111グループ」の故障分析・診断手法・診断率検討等のセーフティ分析を行う自己診断ソフトウェアと、②機能安全認証に必要な情報をまとめたセーフティ・マニュアル、から構成されており、機能安全の国際規格であるIEC61508 SIL3の認証を取得済みのパッケージです。マイコン部分について、産業機器メーカが独自に第三者認証を受けるには膨大な時間とリソースを要するため、本ソリューションにより、ユーザはシステム開発に際して行うセーフティ分析や故障診断等の作業のうち、マイコンのハードウェア診断に関する開発期間を約3分の1に短縮できます。

 ルネサスは、すでに第一弾として、モーション監視やネットワークといった高速データ処理が求められる産業機器向けに、高性能32ビットマイコンを使用した「RX631,RX63Nセーフティパッケージ」を2014年8月から提供しています。今回、第二弾製品として、センサ機器等に向けて、性能をある程度おさえつつ、低消費電力なマイコンでの機能安全システムを実現するため、「RX111セーフティパッケージ」を開発しました。この新製品の追加により、機能安全対応ラインアップが揃い、様々なアプリケーションの機能安全にシームレスに対応することが可能となりました。今回は、セキュリティパッケージのメリットを手軽に体験できる「評価ボード」と「評価版セーフティパッケージ」をセットにした「RX111セーフティパッケージ(評価版)」を同時に発売します。検討時やシステム開発時の初期評価に活用可能です。

 本製品の特長は以下のとおりです。

(1) センサ機器への応用に適した、低消費電力マイコンと小サイズの診断プログラム

 高性能32ビット低消費電力マイコン「RX111」は、最大32MHz、1.8v~3.3vでの動作が可能で、通常動作時0.1mA/MHz、低消費電力モード時0.35μAの低消費電力化を実現している。最小で4mm x 4mmのWFLGAパッケージに搭載。先進の0.13μmプロセス採用でコストパフォーマンスも高く、このコストパフォーマンスをさらに生かすべく、自己診断ソフトウェアは、ROM容量が比較的少ない「RX111」に合わせ診断プログラムサイズを当社従来品である「RX631,RX63N」版から2分の1以下に低減。高コストパフォーマンスで、より小さなメモリ製品の選択も可能。したがって、状態監視用のセンサ機器、ならびにモータドライブ機器のトルク遮断制御、安全リレーや安全スイッチ等の機械的安全機構の電子化への応用も可能。

(2) IEC61508 SIL3認証を取得、セーフティ開発を効率化

 マイコン内部機能ブロック毎のセーフティ分析を実施し、その結果をまとめたセーフティ・マニュアルと、CPUとRAM、フラッシュROMの自己診断ソフトウェア・ライブラリを提供。CPU部分の故障診断率は、フォールト・シミュレーション評価(注2)による検証を実施。これにより診断率の提示根拠が明確です。さらに、本製品に含まれる自己診断ソフトウェアは、国際的な第三者認証機関であるテュフ ラインランド インダストリーサービスGmbH(独)からIEC61508 SIL3のソフトウェアの認証を取得。自己診断ソフトウェア・ライブラリに対し、IEC61508規格が求めるソフトウェア開発プロセスへの適合性の確認を省略可能。

 これらを活用することで、本製品により、マイコンのセーフティ分析に要するユーザの開発期間を約3分の1程度に削減可能。

(3) RX111セーフティパッケージ評価版の提供により、手軽に評価を開始

 RX111マイコン搭載評価ボードと、自己診断ソフトウェアをセットにした「RX111セーフティパッケージ(評価版)」も同時発売を開始。診断ソフトウェアの性能評価を手軽に体験可能。なお、評価版IEC61508認証取得済み開発環境「IAR Embedded Workbench for RX 機能安全バージョン(IARシステムズ社製)との組合せ(同社Webよりダウンロード)によりシステムの初期検討までの実施も可能。

 ルネサスは今後も、お客様の機能安全システム開発に貢献するため、マイコン自己診断ソフトウェアであるセーフティパッケージの提供に加え、各種産業アプリケーションのシステムレベルの開発負荷を軽減するアプリケーション・レファレンスの提供等、さらなる環境整備も計画中であり、更なる産業分野向け機能安全ソリューションの充実を図っていきます。

以 上

(注1) 欧州機械指令:欧州連合諸国で規定される統一法規のうち、産業機械製品の流通を対象としたもの。

(注2) フォールト・シミュレーション評価:自己診断機構が、想定故障を発見できる率を故障シミュレータ上で評価する手法。

*本リリース中の製品名やサービス名は 全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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