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IoTエッジデバイスやゲートウェイ機器に向けて機能強化した64ビットMPU「RZ/G3S」を発売

~10µWの極めて低い待機電力と、Linuxの高速起動を両立~

2024年1月16日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、64ビット 汎用MPU(マイクロプロセッサユニット)のRZ/Gシリーズを拡充し、IoTエッジデバイスやゲートウェイ機器に向けて「RZ/G3S」を発売、量産を開始しました。IoTエッジデバイスには、低消費電力化や、高速通信への対応、セキュリティの強化などが求められており、新製品はこれらのニーズに応えるために性能と機能を強化しました。低消費電力化に対しては、10µWの極めて低い待機電力と、Linuxの高速起動を両立しました。また、PCI Express を搭載したことにより5G通信モジュールとの高速接続を可能にしました。さらに、タンパ検出などセキュリティ機能を強化したことによりデータを安全に守ることができます。これらにより、ホームゲートウェイやスマートメータ、各種トラッカー(追跡装置)など、IoTエッジデバイスやゲートウェイ機器に最適です。

 ルネサスのエンベデッドプロセッシング第一事業部、事業部長のDaryl Khooは次のように述べています。「ルネサスのRZ/Gは、世界の産業用HMI市場で着実に採用が進んでいます。RZ/G3Sは、急成長する5G IoTやギガビットWi-Fi 7ゲートウェイ市場に向けた次世代の製品です。ルネサスは、戦略的買収を通じてコネクティビティのポートフォリオを積極的に拡大しておりますが、システムレベルで電力効率が高く、データ利用を促進する先進的なコネクティビティソリューションを提供して参ります。」

 RZ/G3Sは、メインCPUとして最大動作周波数1.1GHzのArm® Cortex®-A55コアを搭載し、サブCPUとして250MHz 動作のCortex®-M33コアを2つ搭載しました。サブCPUに、センサからのデータ取得やシステム制御、電源制御などの負荷を分散できるため、メインCPUの負荷を軽減し、システム全体の部品点数とコストの削減、機器の小型化を実現します。

Linuxの高速起動が可能な低消費電力の待機モード

 10µW以下まで消費電力を低減できる電源制御システムを新たに開発しました。DRAMデータを保持するためのDDRセルフリフレッシュ機能をサポートしており、Linuxの高速起動との両立が可能です。これにより、間欠動作の多いIoT機器の低消費電力化を実現し、バッテリ駆動機器の長時間駆動が可能です。また、40mWクラスの電力でサブCPUの動作を維持できる待機モードも用意しているため、アプリケーションの動作仕様に応じた消費電力の最適化設計が可能です。

PCI Express搭載により5G接続に対応

 RZ/G3Sは、IoTゲートウェイ機器に向けた機能強化を図るため、ギガビットイーサネットやCAN、USBなどに加えて、PCI Expressインタフェースを搭載しました。これにより5G通信モジュールなどを接続することで、ギガヘルツクラスの高速通信が可能です。

高い信頼性と強固なセキュリティ機能

 RZ/Gシリーズのコンセプトを継承し、内蔵メモリと外付けDDRインタフェースにはECC(エラー検出・訂正)機能を搭載しています。また、産業分野向けに信頼性の高いCivil Infrastructure Platform Linuxをベースとした動作検証済みのVerified Linux Package(VLP)を提供します。10年以上の長期メンテナンスサポートによりセキュリティの脅威からシステムを保護します。さらに、セキュアブート、セキュアデバッグなどに加え、タンパ検出機能も提供します。RZ/Gシリーズ製品はすでに、Armが提供する認定制度のPSA Certifiedのレベル2を取得しており、RZ/G3Sでも取得予定です。

 IARのCTOであるAnders Holmberg氏は次のように述べています。「当社のIAR Embedded Workbench for Armは、MCUとMPUの両方をサポートしています。強固なRoot of Trustを提供するルネサスのRZ/G3S MPUと、IARの豊富なセキュリティソリューションを組み合わせることで、お客様は高性能かつセキュアなIoT機器をいち早く開発し、市場へ製品を投入することができます。」

ウィニング・コンビネーション

 ルネサスは、RZ/G3Sに最適化されたパワーマネジメントICやクロック製品を組み合わせて、「シングルボードコンピュータゲートウェイ」ソリューションを開発しました。RZ/G3Sの豊富なインタフェースによりUSB、CAN、RS485、UART、I2C経由で様々なセンサを接続することができます。また、高性能な無線モジュールを接続することにより、ホームオートメーションやIoTアプリケーション用に堅牢なネットワークを構築することもできます。さらに、マルチコアを活用した高度なスリープモード機能により、低消費電力でリアルタイムにデータ処理が可能です。ルネサスのウィニング・コンビネーションは、ルネサス製品を最適に組み合わせてエンジニアによる設計検証を行っているため、ユーザの設計のリスクを低減し、市場投入までの時間を短縮します。ルネサスは、様々なアプリケーションに向けた400種類以上のウィニング・コンビネーションを提供しています。詳しくは、こちらをご覧ください。renesas.com/win

RZ/G3Sの詳細についてはこちらをご覧ください。https://www.renesas.com/rzg3s

以 上

*Arm、Arm Cortex、Arm TrustZoneは、Arm LimitedのEUおよびその他の国における商標または登録商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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