ルネサス エレクトロニクス株式会社
本日付の日本経済新聞電子版において、当社の定期昇給延期と人員削減の施策に関する記事が掲載されておりますが、当社の発表に基づくものではなく、事実誤認や誤解を招く内容が含まれています。主に、施策の背景に関して、事実と異なる記事が掲載されたことは誠に遺憾です。定期昇給延期と人員削減の施策について、その内容とその背景について下記にてご説明します。
(1)当社の人事施策について
当社は、世界30か国以上に拠点と所属する従業員を擁するグローバル企業です。人事に関する施策についても、各国の事情を踏まえた上で、グローバルで一貫した取り組みを行うことを原則としています。
競争の熾烈な半導体業界において、定期昇給を含め、ある程度人事施策を機動的に行うことは、グローバルには一般的なことです。今般の当社の施策は、伝統的・日本的な施策からグローバルな施策への移行に伴うものであり、財務的に厳しい状況に対応するため受動的に行う、コスト削減を至上命題とした施策とは性質を異にしています。
(2)定期昇給延期について
当社は、「Pay for Performance」という考え方のもと、会社業績および個人の評価と連動した報酬制度を運用しています。一時金(賞与)、株式報酬を含む報酬体系の一環として、当社は、4月を基準とした基本給の昇給率とその付与の有無を個人ごとに設定していますが、この「定期昇給注」について、2024年10月まで実施を一律に半年間延期することとしました。これは、経営陣も含めたグローバルの全社員を対象とするものです。2023年11月に、継続する市況の軟化を踏まえて、同月に本方針を決定しました。日本においては、4月の昇給時期を控え、労働組合と交渉を進め、2024年3月初に本施策を実施することについて妥結しました。
これは、軟調な市況の継続を見据えた先行的なコスト抑制手段の一つです。昇給率を下げて通常の時期に昇給を行うよりも、昇給率を下げずに時期をずらして行う方が従業員にとって利益になると判断したものです。結果として、いかなる環境下においても、確実に利益を出すことを企図しています。
(注)個人ごとに昇給率を付与するものであり、一律に基本給の水準を上げる「ベースアップ」とは異なります。
(3)人員削減について
2023年11月に、継続する市況の軟化を踏まえて、将来行うべき投資や事業の優先順位についての精査を行いました。その結果、特定の地域に関わらず、限定的な規模でポジションを削減するという決定をしました。その結果当社を去った従業員は、グローバルで数百人前半規模(当社従業員総数の1~2%に相当)であり、日本はその内、2割弱です。2023年11月より同施策の実施を開始していますが、各国・地域において順守すべきプロセスに則り進めており、従業員の尊厳を最大限尊重しています。
当社は、今後の成長に向け必要となる投資を積極的に行っており、企業方針に沿った資質・能力を備えた人員の増強を継続しています。今回の人員施策は、変化の激しい半導体業界において、確実に成長し、勝ち抜くために恒常的に必要な施策であり、財務的必要性から受動的に人件費の削減のみを企図した施策ではありません。
以上