気候変動への取り組み ~カーボンニュートラル実現に向けて~

ルネサスは地球温暖化の防止に向け2050年にカーボンニュートラルの実現を目指します


カーボンニュートラルの実現に向けた中間目標として、従来の2.0℃目標から1.5℃目標(世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑える努力)に沿って、2030年に温室効果ガスの排出量(スコープ1, 2)を2021年比で38%削減する目標を設定しました。また、カテゴリ1における排出量(スコープ3)の70%に相当するサプライヤ(生産委託含む)が、科学的根拠のある削減目標を2026年までに設定します。

削減目標の達成に向け、エネルギー消費の多い生産拠点を中心に、日本国内の電機・電子業界目標および省エネ法におけるエネルギー原単位の削減目標の達成、温室効果ガスの中でも特に環境負荷の高いPFCガスの排出削減、再生可能エネルギーの使用拡大など、さまざまな活動を継続的に推進しています。

2022年8月、Science-Based Target initiative (SBTi)によって当社の中間目標が認定されました(2022年8月25日発表)。

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2050年カーボンニュートラル実現を目指して

 

TCFD提言への対応

ルネサスは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同し、日本を拠点とするTCFDコンソーシアムにも加盟しました。このTCFD提言への賛同表明を踏まえ、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について検討を進め、TCFDのフレームワークに基づく情報開示を進めています。

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バリューチェーン全体の環境負荷

バリューチェーンを含む事業活動全体の環境負荷を把握するために、GHGプロトコルに基づき、温室効果ガス(GHG)排出量のスコープ1,2,3をそれぞれ算出しています。

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ルネサスグループのGHG排出量(スコープ別)
2023年度区分範囲・算定方法排出量(t-CO2)比率
Scope1温室効果ガスの直接排出ルネサスによる温室効果ガスの排出量156,4036.26%
内PFCガスの排出120,537-
Scope2電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出他社から供給された電気・ガス等の使用に伴う間接排出量647,66025.92%
Scope3[C1] 購入した製品・サービス原材料の調達、生産外部委託に伴う排出1,428,99457.20%
[C2] 資本財生産設備の増設に伴う排出138,738 5.55%
[C3] Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー活動調達している電力、燃料の上流工程における排出105,8954.24%
[C4] 輸送、配送(上流)国内製品物流に伴う排出4040.02%
[C5] 事業から出る廃棄物廃棄物の自社以外での輸送、処理に伴う排出5,2050.21%
[C6] 出張従業員の出張に伴う排出11,8990.48%
[C7] 雇用者の通勤国内従業員の通勤に伴う排出3,1230.12%
[C8] リース資産(上流)該当なし(Category1に含む)00.00%
[C9] 輸送、配送(下流)対象外--
[C10] 販売した製品の加工対象外--
[C11] 販売した製品の使用対象外--
[C12] 販売した製品の廃棄対象外--
[C13] リース資産(下流)該当なし00.00%
[C14] フランチャイズ該当なし00.00%
[C15] 投資該当なし00.00%
合計2,498,320100% 

温室効果ガス排出量の算出について:電力関係のCO2排出量算出時の排出係数は、日本の環境省・経済産業省「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく電力事業者別の調整後排出係数、日本以外については各年度における電力供給会社が提供する最新の係数を使用しています。最新の係数の実績値が不明の場合は、前年度の実績値を使用して算出しています。燃料関係は、日本の環境省・経済産業省「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」を使用しています。

エコファクトリー活動

ルネサスは、エコファクトリー活動として、エネルギー消費の多い生産拠点を中心に環境負荷の低減に取り組んでいます。

2023年度エネルギー削減結果

2023年度エネルギー総消費量実績は、2022年度比で2.6%減少しました。売上高エネルギー消費原単位は、半導体市場の軟化による需要減の中、、各工場で実施した省エネ施策の効果およびこまめなエネルギー管理などにより、前年比横ばいとなりました。

2024年度も引き続き省エネ施策を推進するとともに、事業活動に見合ったエネルギーの効率的な使用に努め、エネルギー削減・地球温暖化防止に取り組んでまいります。

また、ルネサスは毎年、省エネ法の努力目標に沿って、ルネサス全体のエネルギー消費の約8割を占める日本国内のエネルギー消費について、原単位(5年間平均)1%以上の削減を目標と置いています。目標達成に向けたエネルギー削減活動の一環として、2013年度から日本の電機・電子業界で取り組んでいる「低炭素社会実行計画」に参加しています。「低炭素社会実行計画」は、地球温暖化防止に貢献する革新的技術の開発、技術移転などの国際貢献の推進、サプライチェーン間の連携強化、などを進めています。

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エネルギー総消費量 VS 売上高消費エネルギー原単位の推移
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エネルギー使用実績推移および使用構成

主なエネルギー削減施策

生産ラインでは、省エネ法におけるエネルギー削減目標への対応も考慮して、エネルギー原単位の5年平均年1%以上削減を目指した活動を行っています。具体的には、機器の高効率化、インバータ制御化、自然エネルギー・気化エネルギーなどの施策を省エネ効果、投資効果を考慮しながら計画的に実施しています。さらに、生産量の変化に応じて設備稼働の最適化も実施しています。

No.項目詳細
1機器の高効率化冷凍機更新、最適制御
コンプレッサ更新、台数制御
ボイラー更新
ドライポンプ更新
2モータのインバータ化 (回転制御)空調機用ファン、各種ポンプ
3自然エネルギー
エネルギー再利用
気化エネルギーなど
冬期フリークーリング
廃熱回収・再利用
水スプレー加湿

温室効果ガスの排出量削減

ルネサスは、主に半導体製造工程で、プラズマエッチングやウエハクリーニングのプロセスガスや反応チャンバーのクリーニングガスとして温室効果ガスの一つである PFC※1ガスを使用しています。これらのガスは分解されにくく、地球温暖化係数(GWP※2)は約7千から2万以上と高いため、その排出量削減を重要な課題とし、PFCガスの排出削減目標を設定して地球温暖化防止に積極的に取り組んでいます。PFCガスによる温室効果を削減する方法として、①GWPの小さいガスへの変更、②工程を最適化することによるPFCガスの使用量削減、③PFCガスを分解するための除害装置の設置などがあります。当社はこれら3つの手法を組み合わせることで、排出量の目標を2010年までに1995年実績の90%以下にするための技術開発を行ってきました。

その後、構造対策を進めながらも、2010年以降も継続して削減活動を実施し、2015年の排出量は1995年比で約20%と大幅に減少しました。構造対策を終了し、成長フェーズに入った現在、2023年は2015年度比でウエハ面積原単位は0.021ポイント減少、排出量は約37%減少と更なる削減を実現しました。2024年以降も、さらなる排出量削減に取り組みます。

※1 PFC:Perfluoro Compounds:パーフルオロ化合物(半導体業界では CHF3、CF4、C2F6、C3F8、C4F8、SF6、 NF3を指定しています)
※2 GWP:Global Warming Potential:地球温暖化係数 (CO²を1としたときの係数)

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温室効果ガスの模式図
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PFC ガス排出量とウエハ面積原単位の推移
PFCガスGWP
PFC (パーフルオロカーボン)CF47,390
C2F612,200
C3F88,830
C4F810,300
HFC (ハイドロフルオロカーボン)CHF314,800
SF6 (六フッ化硫黄)22,800
NF3 (三フッ化窒素)17,200

半導体業界の削減対象PFC 7ガスと温暖化係数(GWP値)※3

※3 IPCC 2006年度版(IPCC : Intergovernmental Panel on Climate Change : 国連気候変動に関する政府間パネル)

再生可能エネルギーの導入

ルネサスは温室効果ガス削減目標の達成に向けて、主に生産拠点において再生エネルギーの導入拡大を進めています。

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再生可能エネルギー発電量推移

日本国内においては2022年度からグリーン電力の購入を開始しました。また、日本以外では太陽光発電(PPA)の導入を進めており、2022年後半には、新たに中国とマレーシアの生産拠点で稼働を開始しました。

太陽光発電(PPA)導入拠点の概要

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Solar power PPA RSB
生産拠点名Renesas Semiconductor (Beijing) Co., Ltd.
所在国中国
方式太陽光発電PPA
創出電力量283kwh/h
開始時期2013年10月
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Solar power PPA RSS
生産拠点名Renesas Semiconductor (Suzhou) Co., Ltd.
所在国中国
方式太陽光発電PPA
創出電力量178kwh/h
開始時期2022年10月
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Solar power PPA at RSKL
生産拠点名Renesas Semiconductor KL Sdn. Bhd.
所在国マレーシア
方式太陽光発電PPA
創出電力量137kwh/h
開始時期2022年12月

物流面の環境活動

ルネサスは、日本国内の物流関連の環境活動(製品や廃棄物の運搬など輸送で消費されるエネルギーの削減、製品の包装材削減と再使用の推進 など)に取り組んでいます。

日本国内では、省エネ法によるエネルギー原単位での削減推奨もあり、輸送に係るCO2排出量削減を推進しています。 2023年度は、製品関連の輸送が4万トンキロ減少しました。また、廃棄物輸送も半導体市場の軟化による需要減および23年度の工場閉鎖による一時的な増加の影響が無くなったことなどにより、前年から40万トン減少しました。日本国内の輸送量全体では前年度より44万トンキロ減少し385万トンキロの実績でした。2024年度も引き続き輸送エネルギーの削減に取り組んでいきます。

年度輸送量(万トンキロ)
製品物流廃棄物物流合計(国内)
2023208177385
2022212217429
2021245212457
2020380185565
2019495186681

植樹を通じた気候変動への取り組み

今後ルネサスが、持続可能な企業として更なる成長を遂げ、グローバルに社会貢献できる企業となりたいという想いを体現できるような取り組みとして、従業員と同数の20,000本の木を世界に植樹するための寄付を、世界的な森林再生の取り組みを支援する国際NGO団体であるOxfamを通して行いました。

ルネサスは今後も世界の気候変動への取り組みを継続して実施していきます。

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Tree Planting Initiative to Address Climate Change

 

SDGsへの貢献

ルネサスグループの気候変動への取り組みは、以下のSustainable Development Goalsに貢献しています。

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7 AFFORDABLE AND CLEAN ENERGY

7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。7.2 By 2030, increase substantially the share of renewable energy in the global energy mix

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9 INDUSTRY, INNOVATION AND INFRASTRUCTURE

9.4 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。

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13 CLIMATE ACTION

13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。