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インターシル、業界初の衛星通信向け耐放射線性3.3V CANトランシーバを発表

新CANバス・トランシーバ、衛星の重量と質量の最大18パーセント低減を可能に

2015年11月18日

革新的なパワーマネジメントと高精度アナログ・ソリューションのプロバイダとして世界をリードするインターシル(本社:米国カリフォルニア州ミルピタス、NASDAQ:ISIL)は、QML-V規格に完全準拠しISO11898-2物理層規格にも準拠する、業界初の耐放射線性3.3Vコントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)トランシーバを発表しました。新製品の3つのCANトランシーバISL7202xSEHファミリは、CANコントローラとCANバス間で信頼性の高いシリアルデータ伝送を最大1Mbpsの速度で実現します。さらに、1つのCANバスに最大120のISL7202xSEHトランシーバの接続が可能で、ケーブル/ハーネスのサイズ、重量、電力(SWAP)コストを低減します。重量と質量の最大18パーセントの低減により、人工衛星の機能の大幅な向上を可能にするとともに、既存のポイント・ツー・ポイント・インタフェース・ソリューションに付随する配線の追加とトレードオフの問題を解消します。

3.3V CANトランシーバISL72026SEH、ISL72027SEH、ISL72028SEHは、インターシル独自のシリコン・オン・インシュレータ・プロセスの採用により、重イオン環境でのシングル・イベント・ラッチアップ(SEL)耐性とシングル・イベント・バーンアウト(SEB)耐性を確保しており、最も要求の厳しい環境下でも極めて優れた性能を提供します。電気だけを動力とする全電気推進衛星の登場により、積載量の最大化が可能になる一方で、最終軌道到達までの時間が長くなっており、ミッション達成のためには、テストの際に総線量を高くする必要があります。インターシルのCANトランシーバは、ウエハごとに最大75kradの低線量率試験が行われており、シングル・イベント・トランジェント(SET)軽減技術を採用していることから、システムレベルのビット誤り率を低減し、予見可能な性能を実現します。また、「コールドスペア」冗長機能を備えており、無電源状態のトランシーバをCANバスに追加接続できます。このミッション・クリティカルな機能により、システム寿命の最大化が可能になります。

 

ISL7202xSEHファミリは多数のユニークな特長を提供します。例えばISL72026SEHは、システムのデータ伝送中のノード診断/報告の実行を可能にするループバック・テスト機能を備えています。また、バス上のデータ受信を可能にするため、レシーバをアクティブに維持しながらドライバ回路をパワーダウンさせ、データ受信後にドライバをアクティブにする聴取モード機能も備えています。ISL72027SEHはVrefピンを使用して出力基準電圧Vcc/2を供給する分割ターミネーション出力も提供します。これにより、ネットワークの電磁両立性の向上と、バス電圧の安定化が実現し、動作停止時の高コモンモード電圧へのドリフトを防止します。ISL72028SEHは消費電力低減のためにドライバとレシーバをオフにして50μA に引き下げる低電力シャットダウン・モードを備えています。

 

欧州宇宙機関(ESA)のオンボード・コンピュータ・エンジニアのGianluca Furano氏は「宇宙船でのフルCANバス・プロトコルの採用は、従来使用されていたインタフェース・プロトコルに比べ大きな利点を提供します」と述べ、さらに、「統合CANバス・プロトコルの採用により、衛星の質量と消費電力の大幅な低減が可能になり、メーカーは価値の高い機能を追加できます」と語りました。

 

インターシルのプレシジョン・プロダクツ担当シニア・バイス・プレジデントのフィリップ・チェズレイは「私たちの宇宙製品のお客様は、既存のポイント・ツー・ポイント・データ伝送ソリューションに代わって、宇宙規格準拠の耐放射線性CANトランシーバを採用することを切望しています」と述べ、さらに、「ISL7202xSEHファミリは優れた性能を提供し、衛星ペイロード・システムのミッション達成のために必要な要件を満たします」と語りました。
 

  • 米国国防兵站局の検査により電気的特性を保証(SMD 5962-15228)。ISO11898-2規格に準拠
  • すべてのピンに4kV HBM(人体モデル)ESD保護
  • 3.0~3.6Vの電源電圧範囲、-7~+12Vのコモンモード入力電圧範囲、5V耐性のロジック入力、地球上で±20V、軌道上で±18Vまでのバス・ピン故障保護
  • 並行動作中のアクティブ・デバイスに影響を与えないコールドスペア・パワーダウン・デバイス
  • 3つの選択可能なドライバ立ち上がり/立ち下がり時間
  • パワーアップ時とパワーダウン時にグリッチ・フリーのバス入出力
  • 完全フェールセーフ・レシーバ:開路、短絡、終端処理/非駆動
  • バス上で120のノードを可能にするハイインピーダンス入力と、最大1Mbpsのデータレート
  • 7mAの低静止電源電流
  • サーマル・シャットダウン
  • 低線量率照射(0.01rad(Si)/s)時の放射線耐性は75krad(Si)
  • SEL/B耐性は最大LET 60MeV.cm2/mg
     

インターシルは衛星向け耐放射線性ソリューションで業界をリードしています。ISL7202xSEH 3.3V CANトランシーバは、温度センサ ISL71590SEH、基準電圧源 ISL71090SEHISL71091SEH、オペアンプ ISL70444SEHISL70417SEHISL70218SEHISL70227SEH、マルチプレクサ ISL71840SEH、LDO レギュレータ ISL75051SEHISL75052SEHなどとの組み合わせが可能で、耐放射線性能に優れた衛星ペイロード・システム向けのテレメトリ・データ処理を実現します。

 

ISL72026SEH、ISL72027SEH、ISL72028SEH 3.3V CANトランシーバは8ピンのセラミック・フラットパック・パッケージで供給が開始されており、規制品目番号5A991.bに基づき、米国商務省の輸出許可を取得しています。また、全製品ともダイの形で供給されます。デバイスの機能と性能の評価を可能する評価ボードISL72026SEHEVAL1Z、ISL72027SEHEVAL1Z、ISL72028SEHEVAL1Zも提供しています。

 

ISL72026SEH、ISL72027SEH、ISL72028SEH 3.3V CANトランシーバと評価ボードの詳細はhttp://www.intersil.com/products/isl72026seh をご覧ください。

 

インターシルはドイツのブレーメンで11月17日から19日まで開催されるSpace Tech Expo Europe のブース(ブース番号:J20)で耐放射線性ICを紹介します。
 

※Intersil、IntersilロゴはIntersil Corporationの商標または登録商標です。そのほかのブランド名、製品名、マークなどは、それぞれの権利所有者が製品やサービスを表記するために使用している商標または登録商標の場合があります。

 


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