ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、2024年1月20日(日本時間)に月の低緯度付近への着陸に成功した小型月着陸実証機Smart Lander for Investigating Moon(SLIM)に、ルネサスの耐放射線ICが搭載されていることを発表します。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用するSLIMは、2023年9月6日に種子島宇宙センターからH-IIAロケットで打ち上げられました。月探査機の着陸と運用に成功したのは、ロシア、米国、中国、インドに次いで、日本が5ヶ国目で、今回の月面着陸は日本にとって画期的な成果となります。
この探査機は、月の「神酒の海」地域に近い「シオリ(Shiori)」クレーターを目標地点に定め、従来の月探査では、数キロメートルから数十キロメートルの精度であった着陸を、より正確に行うことを目指したものです。JAXAは現在、このピンポイント着陸の詳細について調査中であり、今後数週間以内にさらなる情報を発表する予定です。SLIMは、ビジョンベースの物体検出システムと、コンパクトで軽量な設計により、優れた着陸精度を達成するように設計されています。
5ヶ月に及ぶ今回のミッションは、月の起源を探ることで科学界をサポートすることを目的としています。そのため、探査機のペイロードには、月のマントルに由来する岩石の組成を調べるマルチバンド分光カメラが搭載されています。
ルネサスは、月探査機SLIMに組み込まれたコンピュータと電子サブシステムにさまざまな主要コンポーネントを提供しました。いずれも幅広い温度範囲で動作するように設計されており、耐放射線能力は最大300krad(Si)のトータルドーズ(TID)にも耐えることが試験で実証されています。このミッションに使用されたICには、3.3Vおよび5VのRS-422レシーバ、RS-422ドライバ、16チャンネルのアナログマルチプレクサ、40Vのレール・ツー・レール・オペアンプ、3Aの低ドロップアウト電圧レギュレータなどがあります。
ルネサスのインターシルブランドは、1950年にRadiation Inc.が設立されて以来、60年以上に渡る宇宙産業での長い歴史を持っています。事実上、ほぼすべての衛星、シャトル打ち上げ、深宇宙探査ミッションにインターシルブランドの製品が使用されてきました。ルネサスは、この経験を活かして、高効率で熱的に最適化された信頼性の高いSMD、MIL-STD-883、MIL-PRF 38535 Class-V/Qのインターシルブランドの製品を、防衛や高信頼性(Hi-Rel)、および耐放射線の宇宙市場向けに提供しています。これらの耐放射線ICは、データ通信、電源供給、電源管理、一般的保護回路、地球からの追跡・監視・制御(TT&C)といったミッションクリティカルな用途のサブシステムをサポートしています。
深宇宙は宇宙飛行や小惑星探査システムにとって困難な環境ですが、これはほぼすべてのミッションが強い放射線を受ける環境で行われるためです。ICの設計、レイアウト、特定のプロセス技術、およびICの通電や総線量テストなどの製造ステップにより、予測可能な性能を保証し、航行中や長時間のロボット操作、他の惑星への乗務ミッションでのシステム障害を防止します。
ルネサスのインターシルブランドの宇宙用および高信頼性ソリューションの詳細については、こちらをご覧ください。
https://www.renesas.com/key-technologies/rad-hard-solutions
以 上
*ルネサスはブランド方針として、軍事・航空宇宙分野向けの製品は、製品ブランドとしてインターシルブランドを継続します。
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