ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、GaN(窒化ガリウム)パワー半導体のグローバルリーダであるTransphorm, Inc.(以下Transphorm社、読み:トランスフォーム)の買収を、2024年6月20日に完了したことをお知らせします。これによりルネサスは、ワイドバンドギャップ(WBG)半導体製品に対する需要の高まりに応え、GaNを使用したパワー半導体製品および関連するソリューションの提供を開始します。
GaNやSiC(炭化ケイ素)などのWBG材料は、従来のSi(シリコン)に比べ、電力効率に優れ、スイッチング周波数が高く、小型化が可能なことから、次世代パワー半導体のキーテクノロジとして期待されています。GaNやSiCを使用した半導体製品は、EV(電気自動車)や、データセンタのサーバ、AI処理、再生可能エネルギ装置、産業用電力変換装置、急速充電・アダプタなどのコンシューマ機器等の需要を背景に、今後10年間で急成長が見込まれています。
ルネサスの執行役員 兼 パワー担当ジェネラルマネージャーであるクリス・アレクサンドルは次のように述べています。
「両社の技術を組み合わせたターンキー・ソリューションを提供することで、お客様は新しいGaN製品をすぐに活用できるようになります。ルネサスのポートフォリオにGaNが追加されたことで、“人々の生活をより楽にする”製品や技術を開発するという私たちのコミットメントを強化できました。私たちは、エネルギの節約、コストの削減、環境への負荷低減を目指し、持続可能なパワーソリューションを提供し続けます。」
ルネサスは、持続的かつ長期的に成長していくための重要な戦略の一環として、パワー半導体事業に注力しています。ルネサスはこれまでも、パワー半導体事業を強化するために、甲府工場でのパワー半導体300mmラインの立ち上げ、高崎工場でのSiC生産ラインの構築、Wolfspeed 社との今後10年間にわたるSiCウエハの安定供給に関する契約締結などを行っています。そしてGaN技術がルネサスのポートフォリオに加わり、幅広いアプリケーションに向けて、より包括的なパワーソリューションを提供する態勢が整った今、進化を続けるお客様のニーズを強力にサポートします。
ルネサスは、Transphorm社の買収完了と同時に、新しいGaN製品とルネサスのプロセッサ、コネクティビティ、アナログ、パワーの各製品を組み合わせた15種類の新しいウィニング・コンビネーションを発表しました。その中には、EV用オンボードバッテリチャージャ(OBC)や3-in-1ユニットなどTransphorm社の車載グレードGaN技術の適用製品も含まれています。
主なウィニング・コンビネーション
- 2輪EV車用500Wオンボードバッテリチャージャ
- 3-in-1電気自動車ユニット(インバータ、オンボードチャージャ、DC/DCコンバータ)
- 240W 48V USB PD EPR準拠AC/DCアダプタ
- 3.6KW DAB(Dual Active Bridge)方式双方向DC/DCコンバータ
Transphorm社は、カリフォルニア大学サンタバーバラ校とWBG業界をルーツとした独自の技術基盤をもとに、2007年に米国カリフォルニア州ゴレタで創業されました。Transphorm社は、GaN半導体のリーディングイノベータとして、幅広い高電圧電力変換アプリケーション向けの高性能・高信頼性GaN製品の設計・製造・販売を行っています。
ルネサスのパワー製品について
ルネサスは、年間40億個以上のパワー製品を出荷しており、品質、信頼性、革新性などでパワーエレクトロニクス分野をリードしています。車載、IoT、インフラ、産業分野向けに、パワーマネージメントIC、ディスクリート、ワイドバンドギャップ製品、コンピューティングパワー製品などを提供しています。これらを当社のマイコンやMPU、SoC、アナログ製品などと組み合わせてエンジニアよる設計検証を行った何百種類ものウィニング・コンビネーションも提供しています。また、PowerCompass™やPowerNavigator™などの革新的設計ツールによって開発プロセスを簡素化し加速します。詳しくはwww.renesas.com/powerをご覧ください。
以 上
<留意事項>
この文書は、「ルネサスがTransphorm社の買収を完了」について一般に公表するための記者発表文であり、日本国内外を問わず、投資勧誘又はそれに類する行為を目的として作成されたものではありません。また、この文書は、米国における証券の募集又は販売を構成するものではありません。米国内においては、1933年米国証券法に基づいて証券の登録を行うか又は登録義務からの適用除外を受ける場合を除き、証券の募集又は販売を行うことはできません。
<将来予測に関する注意事項>
本資料に記載されているルネサス エレクトロニクスグループの計画、戦略および業績見通しは、現時点で入手可能な情報に基づきルネサス エレクトロニクスグループが判断しており、潜在的なリスクや不確実性が含まれております。そのため、実際の業績等は、様々な要因により、これら見通し等とは大きく異なる結果となりうることをあらかじめご承知願います。実際の業績等に影響を与えうる重要な要因としては、(1)ルネサス エレクトロニクスグループの事業領域を取り巻く日本、北米、アジア、欧州等の経済情勢、(2)市場におけるルネサス エレクトロニクスのグループ製品、サービスに対する需要動向や競争激化による価格下落圧力、(3)激しい競争にさらされた市場においてルネサス エレクトロニクスグループが引き続き顧客に受け入れられる製品、サービスを供給し続けていくことができる能力、(4)為替レート(特に米ドルと円との為替レート)の変動等がありますが、これら以外にも様々な要因がありえます。また、世界経済の悪化、世界の金融情勢の悪化、国内外の株式市場の低迷等により、実際の業績等が当初の見通しと異なる結果となる可能性もあります。
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