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産業用モータの角度センサとして、高精度かつ堅牢で、コスト効率が極めて良い新インダクティブポジションセンサICを開発

~磁気を使用しないため、ロボット、産業機器、医療機器に向けて、高精度かつ信頼性の高いモータ制御を実現~

2023年10月25日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長兼CEO: 柴田 英利、以下ルネサス)は、このたび、高精度な制御が必要なモータの角度センサとして、インダクティブポジションセンサ(IPS)ICのラインアップを拡充する新しい製品を開発しました。起動直後から正しい位置をセンシングでき、伝搬遅延は2µs未満を実現しました。さらに、産業機器向けIPSとしては最大回転数の600krpm(電気角)まで対応が可能となりました。これは磁石ベースのポジションセンサを凌駕する性能であり、ロボット、産業機器、医療機器などの回転速度の速いモータに最適です。加えて今回新たに開発したデュアルコイルセンサ技術により、ひとつのICでふたつの受信コイルからの信号を扱えるようになったため、設計の自由度が大きく増しました。本日より、新しいポジションセンサICのサンプル出荷を、数量限定で開始しました。

 インダクティブポジションセンサICは、高精度な位置検出ができる上、ノイズや振動の影響が少なく、磁石を使わないため周辺磁場に対する高い耐性を持っています。センシング素子としてプリント基板にコイルパターンをレイアウトしたものを使用するため、設計の柔軟性が高く、薄型、軽量な設計が可能です。一般的に、絶対位置検出機能や高速、高精度、高信頼性が求められるモータ制御システムで現在使われている高価な磁気エンコーダや光学式エンコーダに取って代わる、堅牢でコスト効率が良い選択肢となります。

 ルネサス独自のIPS技術では、プリント基板(PCB)上にエッチングされた銅コイルからなる検出素子を使用し、金属ターゲットの位置を検出します。さらに、このセンサ技術は自動キャリブレーション機能とリニアライズ機能をサポートしており、モータの運転寿命全体を通じて一貫した性能を確保できます。

 今回新たに開発したデュアルコイルセンサ技術を用いると、バーニア(副尺)スケールをもつセンサを構築でき、最大19ビットの解像度と最大14ビットの精度をサポートしていることから、市場で入手可能な同等の製品よりも優れています。また堅牢であるため、高温、ほこり、湿気、振動、電磁干渉(EMI)などにさらされる過酷な環境でも確実に動作できます。IPSは浮遊磁場の影響を受けにくく、メンテナンスが不要で、磁気センサよりも誤差が生じにくいという特長があります。こうした利点のために、IPSは、重く高価になりがちな従来の磁気エンコーダや光学式エンコーダよりも魅力的な選択肢となります。

 ルネサスのHPCアナログ(センサ)事業部、シニアダイレクタのJan Leuckfeldは次のように述べています。「当社のインダクティブポジションセンサ技術は、モータ用ポジションセンサを大きく飛躍させるイノベーションです。この技術により、堅牢かつ高精度でコスト効率の良い、革新的なモータ用ポジションセンサICを産業用途に提供できるようになりました。」

 ルネサスの顧客で産業システム用エンコーダのトップメーカであるLenord+Bauer社のキーアカウントマネージャ、Ulrich Marl氏は次のように述べています。「工場現場のポジションセンサは、高湿度や高温、振動などの過酷な条件に耐えられなければなりません。ルネサスとの協業を通じ、IPSベースの技術を当社のエンコーダ製品群に統合して、高信頼性と高安全性を確保すると同時に、重要なアプリケーションにおけるダウンタイムを減らすことが可能になりました。」

 新たなIPSは、広く普及しているUART、ABI、I2C通信インタフェースをサポートしているため、産業用ネットワークへのシームレスな統合を確保し、リアルタイムのモニタリングとデータ解析を容易化することができます。さらに、この新しいセンサ技術は、専用ソフトウェアを含む総合的なツールチェーンによってサポートされており、ユーザのカスタマイズや精度の最適化にも対応できます。ルネサスは、この新しいセンサを、自社ポートフォリオ内の数多くの互換デバイスと組み合わせることで、幅広いウィニング・コンビネーションを提供していく予定です。これらのウィニング・コンビネーションはシームレスな連携を通じ、低リスクの最適な設計を実現し、製品の市場投入にかかる時間を短縮します。ウィニング・コンビネーションの詳細については、renesas.com/winをご覧ください。

新しいインダクティブポジションセンサの主な特長

  • 回転速度:600krpm(電気角)
  • 解像度:最大19ビット
  • 精度:最大14ビット
  • デジタルインタフェース:UART、ABI、I2C
  • 幅広い周囲温度範囲:-40°C~+160°C
  • 2つの電圧供給範囲:3.3V ±10%または5.0V ±10%
  • 過電圧、逆極性、短絡に対する保護:電源および出力ピンの両方で±18V
  • コイル設計により、あらゆるフルスケール角度範囲に適応可能

新しいインダクティブポジションセンサICのサンプルの入手については、[email protected]までお問い合わせください。製品名および仕様詳細については、一般販売を開始する2024年第2四半期に公開予定です。

ルネサスのIPSの詳細はこちらをご覧ください。https://www.renesas.com/products/sensor-products/position-sensors

以 上

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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