ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、本社:東京都千代田区、以下ルネサス)とドイツの有力なソフトウェア開発企業SYSGO(社長:マイケル・ティーデマン、本社:ドイツ)はこのたび、リアルタイム制御に適したCPU仮想化技術に対応する基本ソフトウェアの共同開発に合意いたしました。
この共同開発により、ルネサスは、多様な制御処理をリアルタイムで高速に実行する仮想化ソフトウェアの効率的な動作およびソフトウェア開発環境のユーザビリティ向上に必要な付加機能の開発を行い、V850をCPUとするマイコンへ導入します。またSYSGOは、複数のOSを同時に同一のCPU上で動作させることができる同社製のハイブリッドOS「PikeOS(パイクオーエス)」をV850の仮想化へ対応させる移植を行います。さらに、SYSGOの日本代理店である株式会社フォー・リンク・システムズ(代表取締役社長:木下 浩臣、本社:東京都渋谷区、以下フォー・リンク)は実際に自動車などのアプリケーションでPikeOSの評価を行い、PikeOSおよびV850の仕様最適化に向けて評価結果のフィードバックを行います。
開発される基本ソフトウェアでは、PikeOSで実績のあるDO-178B(注1)やEN50128(注2)準拠などの機能安全に関する規格はもちろんのこと、将来的にはISO26262機能安全規格やMILS(注3)によるEAL(注4)対応など、セキュリティへの取り組みも行っていく計画です。
ルネサスは、産業機器や車載システムなどリアルタイム制御が重視される分野において多様な制御処理を高速かつ複合的に実行するため、ひとつのCPUで複数のシステム制御を相互干渉なく実行可能な仮想化技術をV850向けに開発しております。
一方SYSGOでは、安全認証が必要とされるシステムに対して、独自のマイクロカーネル・アーキテクチャーによりシステムの規模に関係なく仮想化環境上での開発を可能とし、従来にはない徹底した開発コスト削減を行うとともに、安全認証基準をクリアし、機能安全を実装したシステムの開発を実現する仮想化環境を提供しております。
このような状況のもと、ルネサスは、仮想化技術を効率よく利用するためには基本ソフトウェアの充実が重要と考え、航空機制御の仮想化ソフトウェア開発企業として著名なSYSGOを、またSYSGOは革新的かつ高い品質の半導体製品を提供することで著名なルネサスをそれぞれ評価し、共同開発することを決めました。
共同開発の成果となる基本ソフトウェアは、PikeOSの展開として、アメリカ・EU圏ではSYSGOから、アジア圏・日本ではフォー・リンクから販売される予定です。SYSGOおよびフォー・リンクの会社概要は別紙をご参照ください。
以 上
(注1) 米国の航空用ソフトウェア開発における安全規格。
(注2) 欧州における鉄道システム(車両)に関する規格。機能安全に関する項目が含まれる。対応する国際標準としてはIEC62279がある。
(注3) Multiple Independent Levels of Security の略。ハードウェア資源を論理的な複数のコンポーネントに分割(パーティショニング)し、あらかじめ定めたルールに適合するように割り当てる方式。
(注4) Evaluation Assurance Levelの略。情報処理技術におけるセキュリティ品質の国際基準を定めるISO/IEC 15408で定義される評価保証レベル。
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