2010年7月29日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下 ルネサス エレクトロニクス)はこのたび、事業ポートフォリオの最適化による成長戦略の策定、開発環境・技術プラットフォーム・各種インフラ等の統合を通じたシナジーの実現、市況変動に耐え安定した収益性を実現する構造対策の実行、を三本柱とした経営戦略を決定しました。

 ルネサス エレクトロニクスは、本年4月1日にNECエレクトロニクス株式会社と株式会社ルネサス テクノロジの経営統合により発足しました。今回決定した経営戦略は、継続した着実な成長の実現を目的とし、統合2社のシナジーを最大限発揮するべく、これまで2社が有していた技術、製品、設計・開発環境、生産、販売、資材購買、業務プロセスなどあらゆる経営資源を対象に「100日プロジェクト」として事業活動の見直しを行い、経営目標を実現する為の施策を策定したもので、その概要は以下の通りです。

1. 成長戦略の策定:年平均7~10%の成長を実現

(1)事業ポートフォリオの最適化

 全事業、製品を対象に市場性、当社の優位性を基準に拡大・成長事業、現行・中核事業、縮小事業と仕分けを実施。仕分けにて捻出した経営リソースを拡大・成長事業に振り分けることにより、半導体売上として年平均7~10%の売上成長を実現する。

(2)社会のインフラを支える事業の強化

 今後成長が見込まれるクラウドコンピューティングを中心とした高度情報コミュニケーション分野やスマートグリッド、自動車など社会・生活環境分野、マルチメディア、デジタルコンシューマなどのエンターテイメント分野をルネサス エレクトロニクスが注力する事業領域と位置づけ、事業間の連携により強化した製品をこれらの市場に積極的に投入し、事業の拡大・成長を目指す。特に本年7月6日に発表したノキア・コーポレーションのワイヤレスモデム事業の買収による当社の次世代高速通信インフラ事業は今後のクラウドコンピューティング市場の拡大を牽引するべく注力・強化する。

(3)海外事業の強化

 世界の電子機器の生産拠点及び消費地として拡大が続く中国市場に対し、市場ニーズに合致した製品を投入するべく中国での事業体制を強化。本年10月1日から現地社員をトップとし、中国でマーケティングから設計、販売、生産(後工程)まで、タイムリーに意思決定ができる体制を中国の現地販売法人内に発足。これにより、中国国内シェア8割のスマートグリッド用電力メーターマイコンに続く中国向け開発製品を2012年度までに1000製品に拡大し、2010年度に約10%と見込まれる当社の中国市場向け売上比率を、2012年度に約20%へ伸長させる。上記中国事業の強化および(2)の強化を併せて、2010年度に約50%と見込まれる海外向け売上比率を、2012年度には約60%に拡大する。

2. 統合シナジーの実現:統合シナジー効果2012年度まで累計で400億円を創出

 開発環境・技術プラットフォームの統一、資材調達の一本化、各種インフラ等の統合を通じたシナジー効果により、基幹ITシステムの統合費用などのディスシナジーを差し引き2010年度から2012年度にかけて累計400億円の費用抑制を図る。

 特に販売商流においては、力のある代理店、特約店を中心に販売チャネルを再編(国内特約店30社を16社に半減)し、1チャネルあたりの規模拡大・集中化により販売力を強化するとともに、販売効率の向上を図る。

3. 構造対策の実行:2012年度まで累計約700億円の固定費を削減

(1)先端プロセスの開発、生産方針を決定

 28nm以降の先端プロセス製品の量産は社外のファウンドリ(半導体の受託製造業者)に全面的に委託する。これに伴い、那珂工場および鶴岡工場(ルネサス山形セミコンダクタ株式会社)の300ミリラインは、40nmまでのSoCおよび今後微細化が進むマイコン等を中心とした基幹製品の量産工場と位置づける。

 先端プロセスのR&Dは、一本化して継続する。その中で、次世代半導体プロセスの要素技術についてはIBMとの共同研究を維持する。

(2)ファブネットワークの構築

 市況変動への耐性強化を目的とし、外部ファウンドリを含めた戦略的ファブネットワークの構築を推進する。自社生産能力への大規模投資を抑制し、大口径化、微細化、集中生産化を推進し、生産効率を改善する。

(3)一部工場における固定資産減損の実施

 先端プロセス製品の製造を自社生産ではなくファウンドリ活用に転換(上記(1))したことにより、鶴岡工場(300ミリ)の生産品目に占める先端プロセス製品を中心とした量産見通しが変わり、投資回収見込みが大きく変化したため、固定資産の減損を実施している。

 また、ルネサス エレクトロニクス アメリカ社のローズビル工場(200ミリ)については、現時点で決定している規模拡大の投資計画がなく、現状の規模においては投資回収が見込めないことから、固定資産の減損を実施している。

 上記両拠点について、2011年3月期第1四半期決算において331億円の減損損失を計上。

(4)人的効率化の推進

 事業ポートフォリオの最適化および生産構造対策により約5,000人規模の人員効率化を主に2010年度中(2012年度まで)に実施する。さらに、当社グループ外に発注している業務を2012年度までに3分の2に縮小する。また、海外事業拡大強化の一環として、海外人員比率(2010年度29%)を2012年度には32%へ引き上げる。

 当社はこれらの売上拡大施策を着実に遂行することで、成長戦略を確実なものとし、2010年度から2012年度にかけて7~10%の年平均売上成長を目指すとともに、事業の効率化、構造対策を滞りなく推進することで、3年間累計で約1,100億円の費用抑制を行い、継続して着実な成長を続けられる事業基盤を構築してまいります。

以 上


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