ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、当社ミッドレンジマイコン「RXファミリ」におけるエントリ版として「RX220グループ」を投入し、11品種を本日よりサンプル出荷を開始します。
新製品は、家電製品やスマートフォン、カメラなどの携帯機器、および産業機器や計測器等に適した汎用マイコンで、(1)16ビットマイコン並みの低価格ながら32MHz動作時約50DMIPS(注)の高性能を低消費電力で実現しています。加えて、8MHzまでの低周波数領域においてCPUのみを動作させた場合、量産中の低消費電力版「RX210グループ」の半分以下に消費電力を削減しています。また、(2)本製品からの上位展開として、「RX210グループ」(最大50MHz動作)やRX高機能版の「RX630グループ」(最大100MHz動作)と高い互換性があるため、搭載機器のアップグレードを容易化できます。
このほか、「RX200シリーズ」の特長の一つである、1.62Vの超低電圧から5.5Vの幅広い電圧への対応や、家電の国際安全規格IEC60730準拠への対応が可能な安全機能内蔵も行っております。また「RX200シリーズ」は、ドイツの電気関係の安全規格認証機関であるVerband Deutscher Electrotechnischer e. V.(VDE)の認証も取得しています。
新製品の量産は、2012年12月より順次開始し、2013年12月には月産100万個を計画しております。
背景
従近年、家電製品やデジタルカメラ、スマートフォンなどの携帯機器、および産業機器等の高性能・高機能化が進み、16ビットマイコンを搭載した機器では、大幅にコストを増加することなく処理性能の向上、消費電力の低減、機能安全の強化を実現することが望まれています。また、同一CPUコアのマイコンによる下位から上位までの幅広い製品展開という根強いニーズもあります。
当社ではミッドレンジをカバーするマイコンとして高性能かつ低消費電力を実現した32ビットの「RXファミリ」を製品化し、その低消費電力版「RX200シリーズ」を展開しておりますが、上記のような要求に応えるため、32ビットマイコンの導入を容易化すると共に、将来の上位機種までの展開にも同一CPUコアで対応可能なエントリ版として「RX220グループ」を製品化したものです。
特長
「RX220グループ」の主な特長は以下の通りです。
(1)高性能かつ低消費電力マイコンを高性能16ビットマイコン並みの価格で実現
新製品は、以下のように最大で32MHz動作時約50DMIPS(1.56DMIPS/MHz)の高性能を低消費電力で実現しております。特に消費電力としては、市場からのニーズの多い8MHzまでの低周波数領域においてCPUのみを動作させた場合、従来の「RX200シリーズ」に対して半分以下に削減しています。
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ミッドレンジマイコンでは業界トップクラスのCPU性能1.56DMIPS/MHzを実現した「RX」CPU搭載により、当社統合までの16ビットマイコン「M16C」、「H8ファミリ」と比べ同一周波数で約3倍もの性能を実現しています。
また、処理とスタンバイを繰り返す間欠動作では処理時間を大幅に短縮することができるため、16ビットCPU搭載製品に対し、システム全体の消費電力削減に大きく貢献できます。 -
新製品の消費電流は、動作時が0.2mA/MHz(CPUのみ動作、周辺機能停止時)、内蔵のRAMやレジスタの値を保持し、その他の機能を停止するソフトウェアスタンバイモードでは2μAと非常に低いため、省エネやバッテリーライフ向上に貢献します。
(2)上位製品との互換性により、搭載機器の幅広い製品展開に対応
新製品は、量産中の上位製品「RX210グループ」(最大50MHz動作)との互換性はもちろん、「RXファミリ」高機能版の「RX630グループ」(最大100MHz動作)とも高い互換性があるため、搭載機器のアップグレードや製品ラインアップ強化を容易化できます。
(3)幅広い動作電圧
新製品は、1.62Vの超低電圧から5.5Vの幅広い電圧に対応し、1.62V~1.8Vでは最大4MHz、1.8V~2.7Vで最大8MHz、2.7V~5.5Vでは最大32MHzで動作します。このため、低電圧で動作するポータブル機器から、5Vで動作する家電、産業機器まで幅広く対応可能です。
また全動作電圧において、内蔵するフラッシュメモリの書き換えが可能なため、1.8V以下の低電圧の場合でもフラッシュメモリ書き換え用に別電源を設ける必要がなく、システム設計を容易化できます。
(4)安全機能強化
「RX220グループ」は第一弾製品「RX210グループ」と同様に、当社統合までの16ビットマイコン「M16C」、「H8ファミリ」と比べ安全機能が強化されています。
①クロック周波数の上昇、下降を検出するCAC(Clock Frequency Accuracy Measurement Circuit)、②発振子の発振停止検出回路、③RAMの故障テストをアシストするDOC(Data Operation Circuit)、④通信のエラーを検出するCRC(Cyclic Redundancy Check)、⑤システムクロックとは独立したクロックで動作する独立ウォッチドックタイマIWDT(Independent Watch Dog Timer)、⑥A/D変換器のアナログ入力の断線検出機能、A/D変換器の故障を検出する自己診断機能が搭載されています。「RX220グループ」はこれらの機能をマイコンのハードウェアで搭載しているのが特長です。これにより、従来のシステムのフェイルセーフを実現するための外付け回路やソフトウェアの処理を削減しながら、家電の国際安全規格IEC60730への対応が可能です。また「RX200シリーズ」は、VDEの認証も取得しています。
「RX220グループ」は、このほか12ビット A/D変換器、3相モータ制御用タイマ、リアルタイムクロック、イベントリンクコントローラ等の豊富な周辺機能を内蔵しており、100ピンパッケージで256KBのフラッシュメモリを搭載した最大構成品から、従来の「RX200シリーズ」ではカバーしていなかった48ピンパッケージで32KBのフラッシュメモリを搭載した小ピン、小容量の製品まで幅広いラインアップを展開します。サンプル価格は、265円からとなっております。
今後、「RX200シリーズ」のメータの計測用途向け製品を投入するなど、ユーザの幅広く多様なニーズに対応する豊富な製品ラインアップを展開してまいります。
新製品の主な仕様は、別紙をご参照ください。
以 上
(注)DMIPS: Dhrystone MIPS(Million Instructions Per Second)とは、コンピュータの演算性能を評価するプログラムDhrystoneによる性能測定値のこと。
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