ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)は、このたび、液晶(LCD)パネル付きの家電・健康機器などの民生機器や、計測器・空調システムなどの産業機器向けに、80ピンパッケージで業界最大セグメント数を持つLCDドライバを搭載したローパワーマイコン「RL78/L13グループ」 を製品化し、2012年11月からサンプル出荷を開始いたします。
新製品は、セグメント表示方式 (注1)のLCDパネルを制御するマイコンで、80/64ピンのパッケージ、16KBから128KB(キロバイト)のフラッシュメモリを内蔵する24品種です。主な特長として、(1)文字や記号などの表示情報増大に対応するため、80ピンマイコンで業界最大のLCDセグメント数(376セグメント)を実現。(2)IH加熱制御に対応するため、可変PWM出力が可能な高機能タイマやAC電源のゼロクロス検出 (注2)に有効なコンパレータを搭載。(3)高精度で永続的な時刻更新が可能なRTC(時計) (注3)を内蔵、などを有しています。
加えて新製品は、業界最小レベルの低消費電力や、欧州で必須とされる家電安全規格(IEC60730)への対応、マイコンに内蔵する周辺機能の活用によるシステムコストの低減など、「RL78ファミリ」の優れた特長を継承しています。これらの特長により新製品は、機器の高機能化・システムコストの低減・安全性の向上に貢献します。
新製品の量産は2013年2月より順次開始し、2013年8月以降はグループ合計で月産800万個を計画しております。
背景
セグメント表示方式のLCDパネルは、炊飯器・電子レンジなどの家電製品や血圧計・活動量計などの健康機器、および計測器・空調システムなどの産業機器などに幅広く搭載されており、当社では既に、LCDドライバ内蔵マイコンとして、当社従来品比で約30%消費電流を削減(注4)した超低消費電力の「RL78/L12」を製品化しております。しかし、LCDドライバ内蔵マイコンにはさらに、LCDパネル搭載機器の省電力対応によるエコ情報の表示や、高機能化にともなう表示情報の追加による、LCDパネルの表示情報量増大に対応するためのセグメント数の増加が求められています。
一方、IH加熱方式はIH炊飯器・IHクッキングヒータをはじめ、産業機器などにも使用され始めています。このようなIH加熱機器には、IHインバータ回路を制御するための高機能なタイマが必要とされます。
こうしたニーズに対応するため当社では、「RL78/L13グループ」を製品化したものです。
特長
新製品「RL78/L13グループ」の主な特長は、以下の通りです。
(1)LCDパネルの表示情報増大に対応し、業界最大のLCD表示セグメント数を実現
LCD表示セグメント数を当社従来品の最大352セグメントから、376セグメント (注5)へと大幅に拡張し、80ピンパッケージ品では業界最大のLCDセグメント数を実現。これにより、家電などに搭載されるLCDパネルに、より多くの文字や記号等の情報を表示することが可能になります。
(2)IH加熱のシステム制御に対応する、高機能タイマ・コンパレータを搭載
リアルタイムの可変PWM制御に対応する高機能タイマや交流電源波形のゼロクロス検出に有効なコンパレータを搭載し、IH炊飯器やIH加熱調理器などのIH加熱制御に最適。高機能タイマには強制出力停止機能を搭載し、機器の安全性向上に貢献します。
(3)高精度で永続的な時刻カウントが可能な、RTC(時計)(注3)を搭載
新製品に搭載するRTCは、「RL78/L12グループ」に対し補正分解能 (注6)をさらに高め、時計精度を向上させています。また、RTCの日時・時刻を示すカレンダ・レジスタは、マイコン外部からのリセット要因ではクリアされず値を保持します。これらの特長は、高精度で永続的なRTCカウントが必要な計測器などのシステムに最適です。
新製品のサンプル価格はメモリ容量やパッケージの種類・ピン数などによりますが、例えば128Kバイト・フラッシュメモリ、8KバイトRAM内蔵の80ピンLQFPパッケージ(Low Profile Quad Flat Package、12mm角)の「R5F10WMGAFB」は、1個あたり230円となっております。
今後も、市場ニーズにマッチしたLCDドライバ内蔵マイコンの開発を進め、豊富な製品ラインアップを展開してまいります。
新製品の主な仕様は、別紙をご参照ください。
なお、当社は本年11月14日から11月16日まで、パシフィコ横浜で開催される「Embedded Technology 2012/組込み総合技術展」にて新製品を出展いたします。
以 上
(注1)セグメント表示方式は、例えば電卓の数字のように1つの数字が7つの部分(セグメント)で構成される場合に、各セグメントの点灯・消灯を時分割で制御することにより、7本以下の信号で数字を表示できる方式です。
(注2)交流電圧のゼロ点(ゼロクロス点)の通過を検出する機能。この機能を利用し、電源回路制御での突入電流・逆起電力・スイッチングノイズなどを抑制することができます。
(注3)時計/カレンダーの機能を持ち、時刻を刻み続ける機能です。
(注4)当社従来品の「78K0R/Lx3」に対し、サブ・システム・クロック動作 HALTモード時のLCD表示状態で消費電流を比較した場合です。
(注5)80ピンパッケージ製品、8コモン×47セグメント動作時の総セグメント数です。
(注6)RL78/L13グループ」に搭載するRTCは、時計誤差を定期的に補正する機能を内蔵しています。補正分解能は、この時計誤差補正の刻みの細かさを表しています。補正分解能が高い程、精度の高い補正を実現でき、RTCの高精度化に繋がります。
*新製品は、Silicon Storage Technology, Inc.からライセンスを受けたSuperFlash®技術を使用しています。
SuperFlash®は、米国Silicon Storage Technology, Inc.の米国、日本などの国における登録商標です。
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