~シャシー&セーフティ、ダッシュボード、ボディ向けに70品種の市場投入を開始~
2010年11月4日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、車載用32ビットマイコン「V850ファミリ」第4世代品の開発を完了し、本日より順次サンプル出荷を開始します。

 車載用V850ファミリの第4世代品は、(1)車載用ソフトウェアの標準化団体「AUTOSAR(オートザー)」が定めた最新標準規格「AUTOSAR R3.0/3.1 MCAL(注1)」のソフトウェアドライバに対応、(2)第3世代品と比べて1.3倍の400DMIPS(Dhrystone MIPS(ドライストーンミップス、注2)、160MHz(メガヘルツ)から120DMIPS(48MHz)までの幅広いラインアップを準備、(3)システムや部品の故障リスクを低減する各種診断機能をLSIに組みこむ「機能安全」に対応、といった特長を有しております。

 またルネサスはAUTOSAR規格の採用を容易にするため、ルネサスが開発する最新の「AUTOSAR」規格に対応したMCALと、パートナー企業との幅広い協業により、トータルなAUTOSAR基本ソフトウェア・ソリューションおよび開発環境を新製品のサンプル出荷に併せて準備いたします。AUTOSAR規格の採用により顧客はアプリケーションプログラムの開発に注力できるので、システム開発コストおよび評価コストの低減、ソフトウェア品質の向上が可能になります。

 このたびサンプル出荷を開始する第4世代品の第一弾製品は、車載用途に適したPシリーズ5品種、Dシリーズ11品種、Fシリーズ54品種で、これにカーオーディオ向けのSシリーズを含めて、今後2年間で100製品以上をラインアップする計画です。

 各シリーズの詳細は、以下のとおりです。

1. シャシー&セーフティ(機能安全)向けマイコンファミリ「Pシリーズ」

 Pシリーズの第4世代品は、最も高度な機能安全レベルであるSIL3やASIL Dが求められるパワーステアリング、電気自動車向けモータコントロールなど、ハイブリッドカーのバッテリ管理、統合安全システム等に向けて、5品種を展開します。第4世代品はリダンダントコア(注3)、ロジック/メモリ自己診断機能、ECC(Error Correcting Code)によるメモリ保護機能などの機能を搭載しているため、誤動作の有無を検知する監視ソフトまたは監視ハードウエアが簡略化でき、開発期間の大幅な短縮による電子制御ユニットの開発費削減に貢献します。

 また機能安全規格対応については第三者試験認証機関を通して、IEC61508 SIL3の認証取得に向け取り組んでおり、今後ISO26262 ASIL D対応にも取り組んでまいります。

2. ダッシュボード向けマイコンファミリ「Dシリーズ」

 Dシリーズの第4世代品は、メーターの制御機能に加え、描画エンジンやビデオRAMなどの内蔵によりグラフィック機能を強化し、11品種を展開します。具体的には、1パッケージに従来型メーターとWVGA(800ピクセル×480ピクセル)までのカラーTFTを組み合わせ、複合メーターに必要な全ての機能を内蔵し、カラーグラフィックダッシュボードの大幅なシステムコスト削減に貢献します。

 さらにフルグラフィックダッシュボード向けに、3D描画エンジンを搭載した製品も計画しており、今後市場の急速な拡大が見込まれるカラーTFT液晶付きメーター市場へビジネスを拡大していきます。

3. ボディ向けマイコンファミリ「Fシリーズ」

 Fシリーズの第4世代品は、1ファミリ製品で自動車用ボディアプリケーションの広範囲な制御用途に対応できるよう、内蔵フラッシュメモリ容量256KB~4MB、端子数64~256ピンのパッケージで54品種を展開します。BCM(Body Control Module)、ゲートウェイ(注4)、オートエアコン、ライトモジュールなどに向けて、第3世代品と比べてタイマ機能など周辺機能を強化しています。

 ルネサスは、新製品を、自動車の電子制御ユニットの高機能化・高信頼化に貢献するものと位置づけ、今後も幅広い製品拡充および積極的な拡販活動を推進してまいります。

以 上

(注1) MCAL(Microcontroller Abstraction Layer)とは、AUTOSAR Basic Software (BSW)の中でマイコンの依存部分を抽象化したソフトウェアモジュール群を指す。

(注2) Dhrystone MIPS(Million Instructions Per Second)とは、コンピュータの演算性能を評価するプログラムDhrystoneによる性能測定値のこと。本製品の性能値は、測定基準Dhrystone2.1で測定したものです。

(注3) リダンダントコアとは、2つのコアが同じ演算を行い、その結果を随時比較して異常を検出すること。

(注4) プロトコル(FlexRay、CAN、LIN等)が異なる車内LANデータを相互に中継して、ユニット間の 通信を可能にする装置。

*本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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