メインコンテンツに移動

リアルタイムOSアクセラレータを搭載し高速応答性・低電力を実現する産業用イーサネット通信LSI「R-IN32M3シリーズ」を発売

~産業用イーサネット通信の様々なプロトコル(CC-Link IE、EtherCAT(注1)等)に対応~

2012年11月26日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社 (代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)は、このたび、普及が急速に進む産業用イーサネット通信向けに、複数の通信プロトコル規格(以下 プロトコル)に対応する産業用イーサネット通信LSI「R-IN32M3シリーズ」を順次サンプル出荷する予定です。その第一弾製品として2013年1月より「R-IN32M3-CL」、「R-IN32M3-EC」の2製品のサンプル出荷を開始します。

 新製品は、(1)産業用イーサネット通信に対して特に求められる、高速リアルタイム応答や高精度通信制御を実現するために、リアルタイムOSが持つ基本機能の一部をハードウェア化して大幅な高速動作を実現した点が大きな特長です。CPUの負荷が大きい処理をハードウェアで肩代わりしますので、従来製品比で5~10倍の高速動作を可能とするだけでなく、CPUがプロトコル制御に集中できることで、CPU処理による制御時間のばらつきを1/5~1/10程度低減することができます。(2)CPUコアは100MHzで高速稼働するARM Cortex-M3を搭載。イーサネットコントローラはCC-Link IE、EtherCATなど産業用イーサネット通信に必要なプロトコルに対応しており、同じく産業用に多用されるCAN(注2)をはじめ、I2C、UARTなどの汎用的なインターフェースにも対応しています。また今後、完全同期通信による装置の高速化を実現する光ネットワーク「SSCNETⅢ/H」(注4)にも対応予定です。

 新製品は、2013年6月から量産を開始し、2015年4月より月産30万個を生産する予定です。

背景

 産業用イーサネット通信分野において工場の生産効率の向上、及び機器制御の精度向上が強く求められています。特にリアルタイム応答性の向上と、CPUによる通信及び機器制御の処理時間のブレ低減などが課題になっています。また、他の分野同様にコスト低減、低電力化、安全性の向上という要求もあります。

 今回開発した「R-IN32M3-CL/EC」はこれらの市場ニーズに応えるため、以下の特長を有しています。

特長

(1)リアルタイムOSアクセラレータ(HW-RTOS(注3))及びイーサネット・アクセラレータ搭載

多タスク数、高速時刻同期、低電力が要求される産業用イーサネット通信において、従来CPU処理の中で大きな負荷となっていたリアルタイムOSの処理、及びチェックサム、ヘッダーの並べ換えなどの標準イーサネット通信のプロトコル処理をハードウェア化することで従来比5~10倍の高速処理を実現しています。HW-RTOS用のドライバーはμITRON準拠です。今後徐々にサポートするOSを増やして行く計画です。

(2)CC-Link IE、EtherCAT、EtherNet/IP等のマルチプロトコルに対応

CC-Link IE対応「R-IN32M3-CL」は、日本のオープンネットワーク推進団体であるCC-Link協会が提唱した業界最速1Gbit対応の産業用イーサネット通信規格「CC-Link IE Field」に対応したSlave Controllerをハードウェアの回路として搭載した通信LSI製品です。一方、EtherCAT対応「R-IN32M3-EC」は、ドイツの産業機器企業であるBEckhoff社が開発した産業用イーサネット通信規格「EtherCAT」に対応したSlave Controllerを同様にハードウェアの回路として搭載した通信LSIです。どちらも、32ビットのRISC CPU「ARM Cortex-M3(100MHz)」、産業用イーサネット通信に必要な高速スイッチ機能付きMAC、十分な内蔵メモリを搭載しており、ソフトウェアにより実現可能なプロトコルであるEtherNet/IP、FL-net等にも対応する予定です。 また、産業イーサネット通信対応の通信インターフェースのほか、CC-Link、CAN、SPI、UART等のインターフェースも搭載しており、産業用イーサネットとのゲートウェイ・モジュールとしても利用することができます。

(3)1Gbps-MAC搭載「R-IN32M3-CL」、10/100EtherPHY搭載「R-IN32M3-EC」

CC-Link IEプロトコルをハードウェア搭載した「R-IN32M3-CL」は1Gbps対応のイーサネットMACを搭載し、外付けの1GbpsのEtherPHYと合わせて1Gbpsのイーサネット通信が実現できます。一方、「R-IN32M3-EC」では10/100EtherPHYを内蔵しており、外付けPHYが不要になる為、モジュール基板の小型化を実現できます。また、PHYの外付け、内蔵に係わらず、ハードウェアの購入コストはほぼ同値です。

 なお、新製品のサンプル価格は1個あたり2000円となっております。

新製品の主な仕様は、 別紙をご参照ください。

以 上

(注1)ルネサス エレクトロニクスはEtherCATの技術ライセンス契約ユーザーです。

(注2)CAN(Controller Area Network):独Robert Bosch GmbHが提唱している車載用のネットワーク仕様。

(注3)HW-RTOSはカーネロンシリコン社「ARTESSO」に搭載された専用技術です。

(注4)「SSCNETⅢ/H」は、三菱電機社が開発した高速モーションネットワーク規格です。

*ARM、CortexはARM Limitedの登録商標または商標です。その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

この記事をシェアする