~従来パッケージの約1/2の面積で最大75アンペアまで通電可能~
2010年6月28日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、エンジン制御ユニット、ポンプモータ制御ユニットなどの自動車電子制御ユニット向けに、新パッケージに搭載したパワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect-Transistor)7品種を製品化し、本日よりサンプル出荷を開始いたしました。

 新製品は、各種ソレノイド、モータのスイッチング用途やバッテリの逆接続からユニットを保護する用途などに向けたもので、定格電圧40V、60VのNチャンネルMOSFETおよび-30VのPチャンネルMOSFETの計7品種です。新製品の主な特長は、(1)パッケージサイズが従来品TO-252と比較し約1/2に小型化されていること、(2)直流電流として最大75アンペア(A)までの大電流通電に耐えられること、(3)最大175℃までのチャンネル温度で使用できること、などとなっております。なかでもNP75N04YUGは、同等パッケージを用いた車載用パワーMOSFETとしては業界トップクラスとなる連続通電電流75A、最大4.8ミリオーム(mΩ)の超低オン抵抗を実現しています。

 新製品を採用することにより、自動車電子制御ユニットの小型化あるいはより多くの部品を搭載することでユニットの高機能化を実現することができます。

 新製品のサンプル価格は、NP23N06YDGが65円/個、NP75N04YUGが110円/個となっており、2010年7月より量産を開始し、量産規模は2012年度に月産200万個を計画しております。

 MOSFETはゲート、ドレイン、ソースの三端子で構成される 半導体素子で、ゲートに信号を印加することでドレイン、ソース間を導通するスイッチ素子です。特に、通電できる電流が数10Aに上る大電流のMOSFET をパワーMOSFETと呼んでいます。その特性上、パワーMOSFETは大電流を扱うため、素子発熱の低減が課題となります。このため従来は、放熱性に優 れる大型のパッケージが採用されてきました。しかし、近年では、自動車に搭載される電子制御ユニットは年々増加する一方で小型化・高機能化が求められてお り、搭載されるパワーMOSFETにもこのような要望が求められています。

 新製品は、これらのニーズにこたえるために開発されたパワーMOSFETで、従来パッケージ製品の性能を損なうことなく、車載電装品質に対応できる新開発の8ピンHSONパッケージで製品化したものです。

 新製品の主な特長は次の通りです。

(1)パッケージサイズを従来品(TO-252)の約1/2へ小型化

 従来TO-252パッケージの48%の面積となる、新開発8ピンHSONパッケージを採用。小型パッケージでありながらNP75N04YUGでは、チャンネル・ケース間熱抵抗(注)は1.09℃/ワット(W)以下を保証。これによりケース温度25℃固定条件において連続印加電力として最大138Wまで許容でき、TO-252パッケージ製品の性能を損なわずユニットの小型化が可能となっている。

(2)最大75Aまでの直流電流通電が可能

 NP74N04YUG、NP75N04YUG、NP75P03YDGの3品種では、連続通電電流として75Aを保証。本製品では製品チップと端子間を接続する配線に、車載用途での実績が高いアルミ線を採用し、多本数のボンディングにより大電流化を実現している。

(3)最大175℃までのチャンネル温度を保証

 車載信頼性基準となるAEC-Q101に準拠した175℃/1000時間の耐久試験に合格。これにより、高温環境となるエンジンルームなどへの搭載が可能となっている。

 当社は、新製品が自動車電子制御ユニットの小型化を実現し、限られる自動車のスペース活用に貢献できるものと考えています。ルネサスは今後、ユニットの小型化に向けて新製品の積極的な拡販活動を展開するとともに、8ピンHSONパッケージ製品の拡充を行っていく予定です。

新製品の主な仕様は別紙をご参照下さい。

以 上

(注) チャンネル・ケース間熱抵抗:チャンネル(チップ発熱部)とケース(パッケージ)間の熱の逃げにくさを示す指標であり、小さいことが望ましい。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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