ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)はこのたび、マウスなどの周辺機器が未接続の状態の消費電力を従来製品比85%削減したUSB3.0対応ホスト・コントローラLSIを製品化し、「μPD720200A」の名称で、本日よりサンプル出荷を開始いたします。
新製品は、5ギガビット/秒(以下5Gbps)という高速データ転送を実現するLSIで、(1)USB周辺機器を接続していない状態の消費電力を従来製品「μPD720200」比85%減の50ミリワット(mW)に抑えていること、(2)従来製品と端子配置が同じであるため既存のプリント基板を流用できること、などが主な特長です。
これらの特長により、高速データ転送が可能かつバッテリ駆動時間の長いノートパソコンを容易に構成することができます。さらに本製品では、すでに市場実績のある当社製デバイスドライバソフトを無償で活用することが可能です。
新製品のサンプル価格は1,000円/個、また注文数量などの各種条件にもよりますが量産価格は300円/個からとなります。また当社は新製品の量産を本年10月より月産200万個で開始する計画です。
USBは、パソコンやデジタル家電、マウスなどの周辺機器などを接続するインタフェース規格で、現在、世界中に幅広く普及しています。当初の用途はキーボードやマウスといった周辺機器とパソコンとの接続でしたが、最近では、映像コンテンツのデータ量の増大や記録メディアの大容量化に伴い、データ転送速度の高速化へのニーズが高まってきております。USB3.0はこのような大容量データのやりとりを最終消費者がストレスなく行えるように規格化されたもので、現在一般に普及しているUSB2.0と互換性を維持しつつ10倍以上となる5Gbpsもの高速なデータ転送を可能にします。
当社は1996年より、USB関連の仕様策定団体であるUSBインプリメンターズ・フォーラムにおいて、規格策定、技術開発などの積極的な活動を展開しております。2000年4月には世界で初めてUSB2.0に準拠したホスト・コントローラLSIの市場投入に続き、数多くのUSB2.0対応製品を出荷することにより、その品質と供給の面においても実績を積んでまいりました。
そして当社は、2009年5月にUSB3.0に対応したホスト・コントローラLSI、μPD720200を世界で初めて市場投入し、わずか4カ月後の同年9月にはUSBインプリメンターズ・フォーラムからUSB3.0対応であることを保証する「サーティファイド・USB3.0」を世界で初めて取得すると同時に量産出荷を開始いたしました。同製品はすでに市場に出回っている何十億というUSB2.0対応の周辺機器との互換性を維持する必要があるため、当社は主要な周辺機器メーカーと共同で互換性テストを実施し、互換性向上に努めております。また、デバイスドライバを自社開発することで、同製品のきめ細かな制御を可能にし、特殊な動作をする周辺機器にも対応させ、既存周辺機器との互換性を高めております。これらの取り組みに加え、USB2.0に対応する数多くのLSI開発で培われた技術への信頼、同製品が業界に先駆けてUSB3.0の認証を取得しかつ現在業界で唯一のホスト・コントローラ製品の認証取得品であること(注)、さらに安定供給が可能であることから、μPD720200はパソコンメーカーやマザーボードメーカーなど世界中のユーザーに採用していただき、その結果、約半年後となる翌年3月には累計で300万個の出荷を達成し、実質的に業界標準のホスト・コントローラとなっております。
ルネサスは、新製品がノートパソコンやネットブックのバッテリによる長時間駆動を可能にするほか、デスクトップパソコンやデジタル家電などの低電力化を実現するなど昨今の省エネニーズを満たしながらUSB3.0の普及にはずみをつけるものと位置づけ、積極的な拡販活動を展開する計画です。
新製品の仕様は別紙をご参照下さい。
以 上
(注) 2010年7月13日現在、USBインプリメンターズ・フォーラムが正式にUSB3.0の認証取得を認めているホスト・コントローラLSIは当社のμPD720200のみ。
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