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HEV/EV用モータ制御を効率化する角度センサ(レゾルバセンサ)の特性をプログラマブルに補正できる高性能マイコン「V850E2/PJ4-E」を発売

~機能安全規格ISO26262にも対応し、HEV/EV用モータシステムの高い安全性かつ低コスト化に貢献~

2012年1月18日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)は、このたび、ハイブリッド電気自動車 や電気自動車(HEV/EV)用モータ制御など向けの車載用マイコンとして、高度な機能安全に対応したシステムの高機能化と低コスト化の同時実現に貢献する「V850E2/PJ4-E」を製品化し、2012年3月よりサンプル出荷を開始します。

 新製品は、当社ハイエンドマイコン「V850ファミリ」でかねてよりシャシー制御と機能安全向けに実績のあるPシリーズの最上位版であり、(1)角度センサ(レゾルバセンサ(注1))用インタフェースを内蔵することでHEV/EV向けのモータ制御システムの低コスト化を追求し、センサ毎の特性をプログラマブルに補正する機能によりエネルギー効率の追求を可能とします。また、(2)今後自動車業界で適応されるISO26262(注2)に対応するため、高度な故障検出技術のDual Core Lockstep(デュアルコア・ロックステップ(注3))を搭載しており、モータ制御など高い安全性が求められるシステムに対応できます。(3)1Mバイトのフラッシュメモリなど、大容量メモリの内蔵や、CPU最大動作周波数を128MHzに高速化する等により、高性能かつ高精度なモータ制御を実現します。

 新製品の量産は2013年4月から開始し、月産5万個を計画しております。

背景

 昨今の地球温暖化対策の一環として、自動車のCO2排出量削減要求が高まるなか、HEV/EVの普及拡大が急激に進んでいます。このHEV/EVの環境性能を支える技術として、走行用モータの制御性能の向上が非常に重要なポイントとなっています。また、これら車の普及促進に向けたシステムコスト低減も強く求められると共に、ISO26262が発行され安全要求への対応が求められております。

 ルネサスはこのような市場ニーズに応えるため、「V850」のPシリーズにおいて、新開発のレゾルバセンサインタフェースとDual Core Lockstepを同時に内蔵したことで、高い安全要求の実現と同時に(レゾルバセンサとの接続に必要な変換器等の)部品削減による安価なシステム構築を容易にした初めての製品となる「V850E2/PJ4-E」を製品化しました。

特長

新製品の主な特長は、以下の通りです。

(1)モータ制御に最適なレゾルバセンサインタフェース、A/Dコンバータ、3相PWMタイマを搭載

新規開発した、様々なレゾルバセンサの特性に対応できるレゾルバセンサインタフェースを内蔵し、従来システムで使用されている外付け変換器(R/Dコンバータ(注4))の削減を実現します。

また、レゾルバセンサ用の励磁信号生成機能(TPBA)と併せて12ビットA/Dコンバータや多機能3相PWMタイマなど、2モータ制御可能な機能を有しており、走行用モータ制御に最適な構成としました。

(2)高度な故障検出技術のDual Core LockstepによりISO26262に対応

Dual Core Lockstepにより常時演算結果の誤りを検出可能で、マイコンハードウエアのみでリアルタイムに高い故障検出率を達成しています。今後、自動車業界で適用されるISO26262において、高い安全要求に対応しなければならないモータ制御系などのアプリケーションに幅広く適用頂けます。

なお、レゾルバセンサ対応で外付けのR/Dコンバータを必要とせず、かつDual Core Lockstepを搭載した業界初の製品となります。

(3)大容量メモリ、高速CPU、豊富な通信機能搭載

ROMが1Mバイト、RAMが80Kバイトの大容量メモリ内蔵と、CPUは128MHzの高速動作で、制御の高速化、多機能化に伴う使用メモリの増大と高性能要求に対応します。また、他の制御ユニットとの協調制御や周辺ICとの通信チャネルの増加に対応できるようCAN(注5)、CSI(クロック同期式シリアルインタフェース)、UARTなど豊富な通信機能を搭載しています。

 このほか、新製品は、動作周囲温度は-40~+125℃に対応します。また、外付けトランジスタを使用することにより、5V単一電源動作が可能なレギュレータ回路を内蔵しています。

 サンプル価格は、1個あたり5,000円からとなっております。

 ルネサスは、今回の「V850E2/PJ4-E」の他に、「SuperH」ファミリにR/Dコンバータを内蔵したマイコン「SH72AW/AY」もサンプル 出荷を開始しており、今後、更なる走行用モータ制御の高性能化、高機能化に対して、CPU性能向上や、内蔵メモリ容量の増加、周辺機能の充実化など、マイ コンラインアップの拡充を図っていきます。

 また、新製品に適合する電源ICのほか、モータ制御に必要なアナログ・パワーデバイスも取り揃えており、急成長するHEV/EV市場を支えるトータルシステムソリューションの提供に邁進していきます。

 新製品の仕様は、別紙をご参照下さい。

 なお、当社は本年1月18日から20日まで、東京ビックサイトで開催される第4回「国際カーエレクトロニクス技術展」にて、新製品の展示を行います。

以 上

(注1)レゾルバセンサ:モータに取り付け、回転軸の角度を検出するセンサ。

(注2)ISO26262:プロセス産業における電気(electric)・電子(electronic)・プログラマブル電子( Programmable electronic)(E/E/PE)安全関連の機能安全に関する国際規格(IEC61508)の自動車版としてISOより発行された機能安全規格。

(注3)Dual Core Lockstep(デュアルコア・ロックステップ):ロックステップを実行する2つのプロセッシングユニットの結果を随時比較して故障を検出する故障検出技術。

(注4)R/Dコンバータ(レゾルバ/デジタル変換器):レゾルバセンサのアナログ信号からモータ回転軸の角度を算出する機能。

(注5)CAN(Controller Area Network):独Robert Bosch GmbHが提唱している車載用のネットワーク仕様。

*SuperHTM は、ルネサス エレクトロニクス株式会社の商標です。

その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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