~SATAで高速のRevision 3.0に対応し、USB3.0を活かしきった世界最高レベルの転送性能6Gビット/秒を実現~
2011年8月30日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)は、このたび、USB対応外付けストレージ機器向けに、USB3.0とシリアルATA(以下SATA)(注)間のデータをつなぐブリッジLSIを開発し、大容量データの高速転送モードであるUASP(USB Attached SCSI Protocol)に世界で初めて対応したUSB3.0‐SATA3ブリッジLSI「µPD720230」を製品化しました。本日よりサンプル出荷を開始します。

 「新製品は、(1)SATA規格では最高レベルのデータ転送速度を規定したSATA Revision 3.0に対応し、6ギガビット/秒(以下6Gbps)の高速データ転送をサポート。(2)UASPモードにより、USBでは世界最高となる370メガバイト/秒以上の転送性能を実現。(3)48pin QFNの小型パッケージ、かつ、バスパワードモード対応や、USB3.0/USB2.0の新しい電力制御機構をサポートし、USB対応外付けストレージ機器向けにデー タ転送の高速化、小型化、低消費電力化といったソリューションを提供できます。さらに、本製品では、当社製のUASPドライバソフトを無償で活用可能です。

 新製品のサンプル価格は、1個あたり300円となっており、量産は本年10月から月産50万個を計画しております。

背景

 USB3.0は、現在主流となっているUSB2.0の10倍以上となる高速データ転送速度5ギガビット/秒(以下5Gbps)を実現し、記録メディアの大容量化等のニーズに対応可能です。ルネサスでは2009年5月に世界に先駆けてUSB3.0対応のホストコントローラLSIで「μPD720200」を製品化、同年6月に販売を開始しており、その後の後継品も含め、世界中のユーザーに採用されております。既に累計出荷数量は4,000万個を超え、2010年5月よりUSB3.0ホストコントローラLSIの月産生産量を6百万個に増産しております。一方、周辺機器向けの取組みとして、USB2.0で用いられてきたBOT(Bulk Only Transfer)規格の性能限界を改善し、高速化のメリットを享受できるストレージの高速データ転送を実現するUASPドライバを2009年12月に市場投入しております。

 そして今回、ストレージ市場で扱うデータの大規模化に伴い、より高速のデータ転送性能に対するニーズに応えるため、UASPドライバとの組み合わせで、世界最速レベルの転送性能を実現するUSB3.0‐SATA3ブリッジ LSI「µPD720230」を製品化しました。

特長

 新製品の主な特長は以下の通りです。

(1)シリアルATAでSATA Revision 3.0に対応し、6Gbpsの高速データ転送をサポート

USBバス上ではUSB3.0のデータ転送レートである5Gbpsをサポートし、一方、シリアルATA上ではSATA Revision 3.0に対応して、6Gbpsのビット レートをサポートしています。したがって、USB3.0の理論的には限界性能まで実現することが可能です。

(2)UASPとBOTの両モードに対応し、かつUASPモードで370メガバイト/秒を越える転送性能を実現

新製品では、USB2.0で用いられてきた大容量記憶装置(マスストレージ)用のBOTモード(規格)に加え、BOTモードの性能限界を改善するためUSB3.0で規格化されたUASPモードにも対応しています。ATTO Disk Benchmark v2.46で検証した結果、SATA 6Gpbs対応のSSD(Solid State Drive)との結線で、UASPモードにおいてリード時370メガバイト/秒を越える転送性能を実現できています。

(3)小型化、低消費電力化に貢献

新製品は、わずか6mm角の48pin QFNパッケージの採用、バスパワード モードのサポート、電圧レギュレータの内蔵により、システムの小型化に貢献します。また電力制御面では、USB2.0では、通常状態のU0とサスペンド(一時停止)状態のU3の二つの電力状態しか規定されていませんでしたが、よりこまめに電力の制御を行うためにUSB3.0ではU1、U2の二つの電力状態が定義されました。

新製品はU1、U2の採用により、アイドル時(転送のない状態)の消費電力はU0/U3のみをサポートした場合に比べて、約40%削減することができます。また、USB3.0ではUSB2.0の理論上10倍のスピードでデータを処理できます。同一データをUSB2.0とUSB3.0で転送する場合、USB3.0では転送時間を10%に削減でき、よりアイドルの時間が相対的に長くなるため、結果としてU1、U2のサポートによる電力削減効果はさらに大きくなることが見込まれます。

(4)当社製のUASPドライバソフトを無償提供

ルネサスのUSB3.0対応ホストコントローラLSI「μPD720200」とその後継品である「μPD720200A」、「μPD720201」、および「μPD720202」、さらにAMD社との協業によりAMD社のチップセットである「A70M」および「A75」の上で動作するUASPドライバを無償提供。このドライバはAMD社の将来のチップセットのみならず主要なチップセットとの互換性も実現していく予定です。

また、本ドライバはUASPに準拠したLSIを提供している半導体ベンダに対してはライセンス供与しており、株式会社メディアロジック社とライセンス契約を締結しております。

 当社では、今後もUSB3.0製品の拡充を進め、市場ニーズにタイムリーに対応してまいります。

新製品の仕様は、別紙をご参照ください。

以 上

(注) シリアルATA(SATA)は高速のシリアル通信(1本の信号線を使って1ビットずつ順番にデータを送受信する方式)に対応した、ストレージ・インタフェース規格。コンピュータとハードディスクを繋ぐ際などの大容量ストレージの高速データ転送用に開発された。Serial ATA International Organization(SATA-IO)がSATAの開発や運営、SATA仕様採用の推進を行っている。

SATA-IOのホームページ: http://www.sata-io.org/

*SATAはSerial ATA International Organizationの未登録の商標です。

AMDはAdvanced Micro Devices, Inc.の商標です。

その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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