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スマート社会に向けたハイエンドマイコンの製品ラインアップ拡充について

~フラッシュメモリ内蔵マイコン「RXファミリ」の40nm高性能版と、ARMコア採用の組み込みプロセッサ「RZファミリ」を展開し、ルネサス ・マイコンの幅広いスケーラビリティを実現~

2012年10月23日

 ルネサス エレクトロニクス株式会社(代表取締役社長:赤尾 泰、以下ルネサス)は、このたび、スマート社会でのエコ、安心・安全、便利・快適にフルラインアップで対応するため、次の通りハイエンドマイコンのラインアップを拡充いたします。まず、32ビットフラッシュメモリ内蔵マイコン(マイクロコントローラ、以下MCU(注1)) 「RXファミリ」では、40nmプロセス採用により240MHz動作などの高性能版を展開します。そして、RXの上位にあたる高性能組込みプロセッサ(マイクロプロセッサ、以下MPU(注1))として、新規にARMコア採用「RZファミリ」を追加し、300MHzを超える高速データ処理等が必要な幅広い分野向けに展開します。

 近年の情報機器の高性能化とそれを支える広帯域ネットワークの整備により、家電・産業機器・ビル管理・電力網・交通など人々の生活に関わるあらゆるものがインテリジェント化しクラウドに接続される「スマート社会」が実現されようとしています。そしてマイコンには、機器における高性能・省電力制御に加えITネットワークとの連携処理やインテリジェント化されたシステムの使い勝手を向上するためにより自然なGUI(Graphical User Interface)(注2)による表示対応など、更なる高速データ処理が求められています。

 この「制御とITの融合」が求められる時代に向け、当社では既に40nmプロセス採用の車載向けハイエンドMCU「RH850ファミリ」を製品化しておりますが、今回それ以外の用途向けMCUとして「RXファミリ」によるハイエンド領域までの製品拡充とARMコア採用によるハイエンド組み込みMPUの新ラインアップ投入を行うものです。

【RXファミリの拡充】

高速化対応版

「RXファミリ」は、高信頼、高速読み出し可能なMONOS型(注3)のフラッシュメモリ内蔵MCU(90nmプロセス採用)として、これまで主にミッドレンジでの製品展開を行い好評を頂いておりますが、今回、更なる性能向上のニーズに対応し、「RX600シリーズ」の高速版(120MHz動作)および、新シリーズとして最大240MHz動作可能な高性能版「RX700シリーズ」を展開します。これらの製品は40nm MONOS混載プロセス採用により、最大8MBのフラッシュメモリ(ROM)を内蔵すると共に、 CPUコア自体の改良を進めることにより同一動作周波数の場合でも従来以上の性能を発揮できるよう開発を進めています。

低消費電力対応版

上記の高速化と同時に省電力化への対応も行い、更に低消費電力化を進めた「RX100シリーズ」を新規展開します。この製品群は、低消費電力とシステムコスト低減が必須のローエンドマイコン用に開発した130nmフラッシュメモリ混載プロセスを「RXファミリ」にも適用することにより、32MHz動作時50 DMIPS(注4)という高性能と155uA/DMIPSの高い電力効率を両立しました。

 上記の40nm高性能版とこの低消費電力版の拡張により、「RXファミリ」は内蔵フラッシュメモリ容量8KBから8MBまで、動作周波数32MHzから240MHzまでの広い範囲で完全な命令互換性を維持したラインアップとなり、コストを優先する小さなマイコン応用機器から高いデータ処理性能が必要なアプリケーションまで幅広く対応することができます。

【RZファミリの投入】

 組み込みMPUの「RZファミリ」は、今後需要の伸張が期待される300MHz以上の高性能処理やLinuxなどの汎用OSが使えるMPUラインアップへの要求に応えるべく投入する新ファミリです。

 グローバルなソフトエコシステム(注5)を持つARMコアと当社独自の高性能・低消費電力技術の融合によるシナジー効果に加え、当社がMCUビジネスで蓄積した豊富で実績ある周辺機能を活用した製品展開により、今後のスマート社会において求められる機器やシステムに最適なソリューションを提供します。具体的にはクラウドや他の機器とつながるための「コネクティビティ」、人をよりよく理解しかつ理解されやすくするための「ヒューマン・マシン・インタフェース」という2つの要素技術に対応した「RZ/Nシリーズ」、「RZ/Aシリーズ」 を展開し、それぞれの要素技術が重要となるアプリケーションに高い付加価値を提供します。

  • 「RZ/Nシリーズ」はコネクティビティにフォーカスしたシリーズです。第1弾製品ではギガビット Ethernetや最新規格であるUSB3.0などIT機器と接続するための多様なインタフェース機能を持たせ、800MHzのARM Cortex-A9コアによる高性能によりスマート社会におけるマイコン応用機器のコネクティビティの進化を促します。
  • 「RZ/Aシリーズ」はグラフィック処理を始めとするヒューマン・マシン・インタフェースにフォーカスしたシリーズです。第1弾製品では400MHz動作のARM Cortex-A9コアと10Mバイトの大容量RAM内蔵により、高性能・低消費電力・システムコスト低減・DRAM供給不安解消などのメリットを提供すると共に、OpenVG1.1対応のグラフィック機能搭載によりリッチなヒューマン・マシン・インタフェースを手軽に実現できる製品を提供します。

 それぞれの第一弾製品のサンプル出荷は、130nmプロセスの「RX100シリーズ」が2013年第1四半期、40nmプロセスの「RX600シリーズ」高速版(120MHz動作)と組み込みMPU「RZファミリ」が2013年第2四半期をそれぞれ予定しております。

 当社では、これらのマイコン製品拡充により、かねてより製品展開しているスーパーローパワーマイコン「RL78ファミリ」からハイエンドまでのラインアップが整備でき、幅広いスケーラビリティとスマート社会へのシステムソリューションを提供していきます。

以 上

(注1)マイコン(Microcontroller/ Microprocessor)には、MCU(Micro Control Unit) とMPU(Micro Processing Unit)の2種類がある。MCUは、一般的にマイコンのソフトウェア(プログラム)を格納するメモリのROMと頻繁に使用するメモリを格納するRAM、およびインタフェースや周辺機能などのコンピュータシステムの要素をすべて内蔵するLSIであり、1チップマイコンとも呼ばれる。一方、MPUは一般的にROMを内蔵しない。

(注2)GUI(Graphical User Interface)は、情報がグラフィックスで表示され、直感的に操作することができるユーザインタフェース。

(注3)MONOSは、「Metal(メタル)-Oxide(酸化膜)-Nitride(窒化膜)-Oxide(酸化膜)-Silicon(シリコン)」の略称。シリコンの上に、酸化膜/窒化膜/酸化膜の3層構造があり、その上に制御ゲート(メタル)が載った、記憶用トランジスタ(メモリセル)の構造のこと。ルネサスでは、MONOS技術を20年以上前からICカード用メモリに搭載している。この実績を元に、ゲート電極を二つに分けた「スプリットゲート(SG)」構造のMONOS技術「SG-MONOS」を開発し、高信頼性・高速動作・低消費電力を実現するSG-MONOS型フラッシュメモリとして、マイコンに内蔵している。

(注4)DMIPS CPUベンチマークの一つであるDhrystone2.1で測定した性能指標。uA/DMIPSは1DMIPSの性能を出すためにどのくらいの動作電流を必要とするかを示した指標で、小さいほど電力効率が良い 。

(注5)ソフトエコシステム 同一CPUアーキテクチャを軸にしてOS、コンパイラ、デバッガなどの開発環境やデベロッパー、ソリューションプロバイダなどが集まり大きなビジネスを形成している集合を指す。語源である「生態系」をITビジネスに見立てて「エコシステム」と表現している。

*ARM、CortexはARM Limitedの登録商標または商標です。Linuxは、Linus Torvalds氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。OpenVGは、 Khronos Group(クロノスグループ)の商標です。

「RX100」と「RL78」は、Silicon Storage Technology, Inc.からライセンスを受けたSuperFlash®技術を使用しています。 SuperFlash®は、米国Silicon Storage Technology, Inc.の米国、日本などの国における登録商標です。

その他、本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


ニュースリリースに掲載されている情報(製品価格、仕様等を含む)は、発表日現在の情報です。 その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご承知ください。

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