~産業ロボットやPLC、モーションコントローラに最適な高性能アプリケーション処理と高速リアルタイム制御を実現~

2024年11月26日

  ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、このたび、産業機器向けとしてルネサス史上最高の性能を誇るハイエンドMPU(マイクロプロセッサユニット)「RZ/T2H」を発売、量産を開始しました。新製品は、高いアプリケーション処理能力とリアルタイム性能を持つため、産業ロボットのモータを最大9軸まで高速・高精度に制御できます。さらに、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、モーションコントローラ、DCS(分散制御システム)、CNC(数値制御装置)など、コントローラ機器に求められる産業イーサネットを含めた様々なネットワーク通信を1チップで実現します。

 工場における無人化、省人化のニーズの高まりに伴い、垂直多関節型ロボットなどの産業ロボットや、工場のオートメーション化を実現するコントローラ機器の導入が進んでいます。RZ/T2Hは、こうしたアプリケーション開発に不可欠となる性能と機能を集積しました。これにより、従来MPUを複数チップ使用したり、FPGAを組み合わせて実現していたシステムをRZ/T2Hの1チップで実現できるようになるため、部品点数の削減や、FPGAのプログラム開発にかかる工数の削減が可能です。

 ルネサスのエンベッデドプロセッシング第一事業部の事業部長、Daryl Khooは次のように述べています。「RZ/T2MとRZ/T2Lは、市場で大きな成功を収めています。RZ/T2H はその成功を土台にして、産業分野のお客様が既存の設計資産を活用しながら、さらに革新的な機能追加や性能向上を実現可能にします。特に、RZ/T2H によって 9 軸モータ制御を 1 つのチップで実現できる点について、お客様から高い評価をいただいています。」

高いアプリケーション処理能力とリアルタイム性能を1チップに

 RZ/T2HはアプリケーションCPUとして最大動作周波数1.2GHzのArm® Cortex®-A55を4つ搭載し、外部メモリ用に高速データ転送規格LPDDR4-3200(32ビット)をサポートします。リアルタイムCPUには最大動作周波数を1GHzまで高めたCortex-R52を2つ搭載し、各コアに大容量密結合メモリ(TCM)を合計576KB搭載しました。これにより、高いCPU性能と大容量のメモリが必要なLinuxアプリケーションや、ロボットの軌道計画生成、PLCのシーケンス処理に加え、リアルタイム性能が要求されるモータ制御や産業イーサネットのプロトコル処理を1チップで実行することが可能です。

最大9軸のモータ制御により、部品コストと開発工数を削減

 RZ/T2Hは産業ロボットなどで使用されるサーボモータを最大9軸まで高速・高精度に1チップで制御可能です。モータ制御に必要な三相PWMタイマ、電流値測定用のΔΣインタフェース、エンコーダインタフェース(A-format ™、EnDat、BiSS®、Hyperface DSL、FA-CODERに対応)を全て9軸分搭載しています。また、これらのモータ制御向け周辺機能をリアルタイムCPUコアであるCortex-R52の低遅延バス(Low Latency Peripheral Bus)上に配置することでCPUからの高速アクセスが可能です。

産業イーサネットや汎用イーサネット通信に柔軟に対応

 RZ/T2Hは4つのイーサネットポートと、3つのギガビットイーサネットMAC(GMAC)、およびイーサネットスイッチを搭載しています。EtherCAT、PROFINET、EtherNet/IP、OPC UAや、次世代のTSN(Time-Sensitive Networking)規格にも対応します。これらイーサネットスイッチやGMACなどの組み合わせにより、複数の産業イーサネット通信におけるコントローラおよびデバイスのサポートだけでなく、上位層との汎用イーサネット通信など、コントローラ機器に求められる多様なネットワーク要件に柔軟に対応します。

産業ロボットやコントローラに特化したボード&ソフトウェアを提供

 RZ/T2H向けソフトウェアとして、ルネサスの共通ソフトウェアであるFlexible Software Package(FSP)や、長期サポートのLinuxパッケージを提供します。さらに、9軸のモータを駆動可能なインバータボード、多軸モータ制御サンプルソフトウェア、モータ制御ツールMotion Utility Toolも提供するため、最大9軸のモータ制御をすぐに評価できます。産業イーサネットのサンプルプロトコルや、ソフトウェアPLCに対応するサンプルソフトウェアなども提供するため、早期の機器開発が可能です。

 IARシステムズのProduct ManagerであるMicael Borgefeldtは次のように述べています。「産業機器の進化に伴い、求められる機能や性能はますます複雑化しています。IARは、ルネサスの32 ビットマイコンから、最新のRZ/T2Hなど64ビットのハイエンドMPUまで幅広く対応します。マルチコア上で多彩なアプリケーション構成の選択肢を提供することで、次世代産業機器の革新を力強くサポートし、開発の自由度と効率を大幅に向上させます。」

ウィニング・コンビネーション

 ルネサスは、RZ/T2Hと、IGBT駆動用フォトカプラ「RV1S9231A」、光絶縁型ΔΣ変調器「RV1S9353A」 などの様々なルネサスのデバイスを組み合わせ、「産業イーサネット対応9軸モータ制御」ソリューションを提供します。ルネサスのウィニング・コンビネーションは、ルネサス製品を最適に組み合わせて技術的に動作検証を行っているため、設計のリスクを低減し、市場投入までの時間を短縮することができます。ルネサスは、様々なアプリケーションに向けた400種類以上のウィニング・コンビネーションを提供しています。詳しくは、こちらからご覧いただけます。renesas.com/win

 なお、ルネサスは同等の性能を継承しつつ、PLCやモーションコントローラなどのコントローラ機器に最適な小型パッケージを採用した「RZ/N2H」を2025年1Qに発売予定です。

 RZ/T2Hはライフサイクルが長い産業機器に向けて、長期製品供給プログラムに対応します。製品の詳細についてはこちらをご覧ください。https://www.renesas.com/rzt2h

 以 上

*ArmとArm Cortexは、EUやの他の国におけるArm Limitedの商標または登録商標です。本リリース中の製品名やサービス名は全てそれぞれの所有者に属する商標または登録商標です。


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